1928年の日本ハナゲ學会第3分科會において瓢箪屋蓑吉氏が発表した「傳説の白ハナゲと黑ハナゲの脱色化の判別に關する文化論的一考察 ―ルウブル美術館をくまなく回ろうとして挫折したフレデリツク勅使河原氏の手記を中心に―」を再読したり、検証したりするBLOGではないことは確かなことです。ええ!確かなことですとも!
◈Pablo de Sarasate: Zigeunerweisen, op.20
◈Camille Saint-Saëns: Introduction and Rondo Capriccioso, op.28
◈Jule Massenet: Meditation from "Thaïs"
海野義雄 (Vn)
CBS交響楽団 / 森正
(Rec. 1969)
◈Fritz Kleisler: Schön Rosmarin◈Fritz Kleisler: Rondino über ein Thema von Beethoven
◈Fritz Kleisler: Liebesfreud
◈Fritz Kleisler: Liebesleid
◈Antonín Dvořák (arr. Fritz Kreisler): Slavonic Dance No.10 in E minor
◈Antonín Dvořák (arr. Fritz Kreisler): Humoresque, op.101-7
◈Johann Sebastian Bach (arr. August Wilhelmj): Aria on the G-String
◈Sergei Rachmaninoff: Vocalise, op.34-14
海野義雄 (Vn)
伊達 純 (Pf)
伊達 純 (Pf)
(Rec. 1974)
元NHK交響楽団のコンサート・マスターにして世界的ソリストとして盛名を馳せた海野義雄(Yoshio Unno, 1936-)のヴァイオリン名曲集。CBS交響楽団と共演してパブロ・デ・サラサーテ(Pablo de Sarasate、1844-1908)の《ツィゴイネルワイゼン》、カミーユ・サン=サーンス(Camille Saint-Saëns, 1835-1921)の《序奏とロンド・カプリチオーソ》、ジュール・マスネ(Jule Massenet, 1842-1912)の《タイス》から〈瞑想曲〉の3曲を録音した頃は、ミシェル・シュヴァルベとヨーゼフ・シゲティの薫陶を受けた後に当たり、世界各国に招かれて日本の名演奏家として売り出し中でした。伴奏指揮を務めるのは、NHK交響楽団の正指揮者を務めていた日本指揮界の重鎮、森正(Tadashi Mori, 1921-1987)です。
CBS交響楽団は、日本コロムビアのスタジオ・オーケストラですが、世界に恥じぬ演奏をという気合が入っており、森のタクトに俊敏に反応し、海野のヴァイオリンをガッチリと支えています。サン=サーンスのロンド・カプリチオーソの部分のリズムの刻みの生硬さは御愛嬌ですが、サラサーテの作品では格調を崩さぬまま音色に熱気をこめた伴奏は聴き応えがあります。
海野のヴァイオリンは、欧米のヴァイオリニストに比べると、細かいパッセージが音量の面で競り負けています。しかし、ボウイングの卓越と音程の正確なフィンガリングには、生真面目さと勤勉さに裏打ちされた安定があり、これらの名曲を先入観抜きで楽しむのに好適な演奏に仕上がっています。マスネの作品など、その清廉な歌い口が「瞑想」にぴったりです。
海野は1970年に母校である東京芸術大学の非常勤講師になりましたが、翌年、そこのピアノ科教授の伊達純(Jun Date, 1920-2000)を伴奏者に立ててヴァイオリン名曲集を録音しています。本CDに収録されているのは、フリッツ・クライスラー(Fritz Kreisler, 1875-1962)の《美しきロスマリン》、《ベートーヴェンの主題によるロンディーノ》、《愛の喜び》と《愛の悲しみ》、アントニン・ドヴォルジャーク(Antonín Dvořák, 1841-1904)のスラヴ舞曲第10番とユーモレスク第7番、ヨハン・ゼバスティアン・バッハ(Johann Sebastian Bach, 1685-1750)の管弦楽組曲第3番のアリアをアウグスト・ヴィルヘルミ(August Wilhelmj, 1845-1908)が編曲した《G線上のアリア》、セルゲイ・ラフマニノフ(Sergei Rachmaninoff, 1873-1943)の〈ヴォカリーズ〉の8曲です。クライスラーの作品は活きの良さで勝負していますが、本家クライスラーに比べると、肌理の粗さが目立ちます。伊達の伴奏は微妙に陰影をつける職人芸。ドヴォルジャークの作品あたりから海野のヴァイオリンから力みが取れ出し、ユーモレスクでは聴き手のツボを心得た見事な演奏を披露します。特に絶品なのがラフマニノフのヴォカリーズで寂寥感漂うメロディを感情に任せず、品を保ちながら美しい余韻を感じさせます。
この録音の後、海野はトントン拍子で教授職に駆け上がりましたが、1981年に学生への楽器斡旋で楽器商から賄賂を受け取ったかどで起訴されてしまい、大学を追われることになりました。その後、東京音楽大学の学長として教職に復帰し、日本ヴァイオリン界の重鎮として後進の指導と演奏活動に当たっています。
CBS交響楽団は、日本コロムビアのスタジオ・オーケストラですが、世界に恥じぬ演奏をという気合が入っており、森のタクトに俊敏に反応し、海野のヴァイオリンをガッチリと支えています。サン=サーンスのロンド・カプリチオーソの部分のリズムの刻みの生硬さは御愛嬌ですが、サラサーテの作品では格調を崩さぬまま音色に熱気をこめた伴奏は聴き応えがあります。
海野のヴァイオリンは、欧米のヴァイオリニストに比べると、細かいパッセージが音量の面で競り負けています。しかし、ボウイングの卓越と音程の正確なフィンガリングには、生真面目さと勤勉さに裏打ちされた安定があり、これらの名曲を先入観抜きで楽しむのに好適な演奏に仕上がっています。マスネの作品など、その清廉な歌い口が「瞑想」にぴったりです。
海野は1970年に母校である東京芸術大学の非常勤講師になりましたが、翌年、そこのピアノ科教授の伊達純(Jun Date, 1920-2000)を伴奏者に立ててヴァイオリン名曲集を録音しています。本CDに収録されているのは、フリッツ・クライスラー(Fritz Kreisler, 1875-1962)の《美しきロスマリン》、《ベートーヴェンの主題によるロンディーノ》、《愛の喜び》と《愛の悲しみ》、アントニン・ドヴォルジャーク(Antonín Dvořák, 1841-1904)のスラヴ舞曲第10番とユーモレスク第7番、ヨハン・ゼバスティアン・バッハ(Johann Sebastian Bach, 1685-1750)の管弦楽組曲第3番のアリアをアウグスト・ヴィルヘルミ(August Wilhelmj, 1845-1908)が編曲した《G線上のアリア》、セルゲイ・ラフマニノフ(Sergei Rachmaninoff, 1873-1943)の〈ヴォカリーズ〉の8曲です。クライスラーの作品は活きの良さで勝負していますが、本家クライスラーに比べると、肌理の粗さが目立ちます。伊達の伴奏は微妙に陰影をつける職人芸。ドヴォルジャークの作品あたりから海野のヴァイオリンから力みが取れ出し、ユーモレスクでは聴き手のツボを心得た見事な演奏を披露します。特に絶品なのがラフマニノフのヴォカリーズで寂寥感漂うメロディを感情に任せず、品を保ちながら美しい余韻を感じさせます。
この録音の後、海野はトントン拍子で教授職に駆け上がりましたが、1981年に学生への楽器斡旋で楽器商から賄賂を受け取ったかどで起訴されてしまい、大学を追われることになりました。その後、東京音楽大学の学長として教職に復帰し、日本ヴァイオリン界の重鎮として後進の指導と演奏活動に当たっています。
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