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1928年の日本ハナゲ學会第3分科會において瓢箪屋蓑吉氏が発表した「傳説の白ハナゲと黑ハナゲの脱色化の判別に關する文化論的一考察 ―ルウブル美術館をくまなく回ろうとして挫折したフレデリツク勅使河原氏の手記を中心に―」を再読したり、検証したりするBLOGではないことは確かなことです。ええ!確かなことですとも!
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CD1:
◈Johannes Brahms: Violin Sonata No.3 in D minor, op.108
David Oistrakh (Vn)
Vladimir Yampolsky (Pf)
(Rec. 7 March 1955, 日本ビクター・スタジオ, 東京)
◈Pietro Locatelli (arr. Eugène Ysaÿe): Violin Sonata in F minor, op.6-7
◈Fritz Kreisler (attrib. Giuseppe Tartini): Variation on a Theme by Corelli
◈Pyotr Ilyich Tchaikovsky: Meditation, op.42-1
◈Manuel de Falla (arr. Paweł Kochański): 'Jota' from "Seven popular Spanish Song"
David Oistrakh (Vn)
Vladimir Yampolsky (Pf)
(Rec. 8 March 1955, 日本ビクター・スタジオ, 東京)
◈Johannes Brahms: Sonata No.3 in D minor, op.108 - 1st movement
David Oistrakh (Vn)
Vladimir Yampolsky (Pf)
(Rec. 7 March 1955, 日本ビクター・スタジオ, 東京) alternative take

CD2:
◈Sergei Prokofiev: Violin Sonata No.2 in D major, op.94bis
◈Jean-Marie Leclair: Violin Sonata in D major, op.9-3
◈Claude Debussy (arr. Alexandre Roelens): 'Clair de lune' from "Suite Bergamasque"
◈Richard Wagner (arr. August Wilhelmj): Albumblatt
◈Aleksander Zarzycki: Mazurka in G major, op.26
David Oistrakh (Vn)
Vladimir Yampolsky (Pf)
(Rec. 7 March 1955, 日本ビクター・スタジオ, 東京)
◈Message From David Oistrakh in Russian
(Rec. 8 March 1955, 日本ビクター・スタジオ, 東京)
◈メッセージの日本語訳
◈オイストラフの芸術
村田 武雄 (語り)




本CDは旧ソ連のヴァイオリニスト、ダヴィット・オイストラフ(David Oistrakh, 1908-1974)が1955年に来日した時、日本ビクターで行った全録音を収録したものです。ピアノ伴奏は全てヴラディミール・ヤンポリスキー(Vladimir Yampolsky, 1905-1965)が受け持っています。
オイストラフは、ピョートル・ストリャルスキーに学んだ人。1935年のヴィエニャフスキー国際ヴァイオリン・コンクールでジネット・ヌヴーに次ぐ第2位を獲得した後、1937年に開催されたブリュッセルのイザイ・コンクール(現:エリザベート王妃国際音楽コンクール)で優勝して名声を確立しました。後進の指導にも熱心で、ギドン・クレーメルなどは、オイストラフの門下生です。
ヤンポルスキーはキエフ音楽院のセルゲイ・タルノフスキーやレニングラード音楽院(現:ペテルブルク音楽院)のレオニード・ニコラーエフに学んだピアニストで、オイストラフの他にマイロン・ポリアキンやユリアン・シトコヴェツキーの伴奏者も務めていました。
本CDの演目は以下の通り。
▤ ヨハネス・ブラームス:ヴァイオリン・ソナタ 第3番 二短調, op.108
▤ ピエトロ・ロカテッリ (編曲:ウジェーヌ・イザイ):ヴァイオリン・ソナタ ヘ短調, op.6-7
▤ フリッツ・クライスラー (伝:ジュゼッペ・タルティーニ):コレッリの主題による変奏曲
▤ ピョートル・イリイチ・チャイコフスキー:《懐かしい土地の想い出》から〈瞑想曲〉, op.42-1
▤ マヌエル・ファリャ (編曲:パヴェウ・コハンスキ):スペイン民謡組曲から〈ホタ〉
▤ セルゲイ・プロコフィエフ:ヴァイオリン・ソナタ 第2番 ニ長調, op.94bis
▤ ジャン=マリー・ルクレール:ヴァイオリン・ソナタ ニ長調, op.9-3
▤ クロード・ドビュッシー (編曲:アレクサンデル・ローレンス):ベルガマスク組曲から〈月の光〉
▤ リヒャルト・ヴァーグナー(編曲:アウグスト・ヴィルヘルミ):アルバムの一葉
▤ アレクサンドル・ザルジツキ:マズルカ ト長調, op.26
なお、ボーナス・トラックとして、ブラームスのヴァイオリン・ソナタ第3番の別テイク、オイストラフからの日本へ向けてのメッセージ、そのメッセージの日本語訳と、村田武雄(Takeo Murata, 1908-1997)によるオイストラフの芸術へのコメントが収録されています。

ドイツの作曲家、ブラームス(Johannes Brahms, 1833-1897)は、交響曲だけでなく、ヴァイオリン・ソナタの作曲に熱心に取り組んでいましたが、若書きの4曲のソナタを自ら破棄し、3曲のソナタのみが世に出されました。ここに収録される第3番のソナタ(1886-1888年作)は、その出版された最後のヴァイオリン・ソナタであり、完成した年の12月にイェネー・フバイのヴァイオリンと作曲者自身のピアノによりブダペストで初演されました。作曲中に親友の音楽学者であるカール・フェルディナント・パウルの訃報に接したことで、渋く内省的な作品に仕上がっています。また、交響曲を想定したかのような4楽章構成でもあり、ブラームスのヴァイオリン・ソナタの中では最も入念に書かれています。
ロカテッリ(Pietro Locatelli, 1695-1764)は、イタリアのヴィルトゥオーゾ・ヴァイオリニストとして活躍した作曲家で、協奏曲集の《ヴァイオリンの技法》が代表作に数えられます。ここに収録されているのは、1737年に出版されたソナタ集の第7番の曲。緩-急-緩-急の4楽章構成をとります。本録音では、ベルギー人ヴァイオリニストのイザイ(Eugène Ysaÿe, 1858-1931)が通奏低音の伴奏をピアノ用に書き改めたものを使用しています。
次に収録されるのは、クライスラー(Fritz Kreisler, 1875-1962)による《コレルリの主題による変奏曲》です。原曲はタルティーニ(Giuseppe Tartini, 1692-1770)の《ボウイングの技法》という無伴奏ヴァイオリン曲で、アルカンジェロ・コレッリ(Arcangelo Corelli, 1653-1713)のヘ長調のソナタop.5-10からガヴォットを主題にしています。原曲では50もの変奏が書かれていますが、クライスラーは、中から演奏効果の高い3つの変奏を選び、ピアノ伴奏をつけて、自身のアンコール・ピースにしました。
チャイコフスキー(Pyotr Ilyich Tchaikovsky, 1840-1893)の〈瞑想曲〉は、元々ヴァイオリン協奏曲の第2楽章として着想されたもの。結局、より野趣に富んだ楽章にしたいということで、現行の楽章に差し替えられ、《懐かしい土地の思い出》という曲集の第1曲として使われました。現行のヴァイオリン協奏曲の第2楽章が寂寥感を滲ませるのに対し、こちらは幾分くつろいだ雰囲気を基調にしています。
ファリャ(Manuel de Falla, 1876-1946)の〈ホタ〉は、《スペイン民謡組曲》という7つの歌曲から、コハンスキ(Paweł Kochański, 1887-1934)の手で編曲された作品。ホタというのは急速な三拍子による群舞で、スペインの民族舞踊として知られています。
プロコフィエフ(Sergei Prokofiev, 1891-1953)のソナタ第2番は、元々フルートのために1943年に作曲されたもの。作曲された年の12月7日に、モスクワに於いてニコライ・ハリコフスキーのフルートとスヴャトスラフ・リヒテルのピアノで初演されたものの、全く評判にならず、オイストラフの助言を受けて1944年にヴァイオリン用に改作され、その年の6月17日にレフ・オボーリンのピアノとオイストラフのヴァイオリンで初演されました。4つの楽章からなり、楽章配置は交響曲を思わせます。真ん中の2つの楽章は、軽妙なスケルツォと歌謡的なアンダンテからなり、第1楽章は古典的なソナタ形式をとります。第4楽章はロンド・ソナタ形式による、どこかドミトリ・ショスタコーヴィチの作品を彷彿とさせる弾力的な音楽が書かれています。曲の要となるのは第1楽章で、長調でありながら主題から滲む哀感は、作品全体の基調になっています。
続くルクレール(Jean-Marie Leclair, 1697-1764)のソナタは、12曲からなるソナタ集のうちの一つ。ルクレールは少なくとも4巻のヴァイオリン・ソナタを出版しており、これは4巻目の収録。ここに収録されているソナタは3つの楽章からなるものの、最初の楽章が緩慢な部分と急速な部分に分けられるため、本CDでは4楽章扱いでトラック分けがされています。
ドビュッシー(Claude Debussy, 1862-1918)のベルガマスク組曲は1890年に作曲され、1905年に改訂されて出版された作品。特に第3曲目の〈月の光〉が有名で、ここではドビュッシーと同じくフランス人作曲家の(Alexandre Roelens, 1880s-1948)がヴァイオリン用に編曲したものが演奏されています。
ヴァーグナー(Richard Wagner, 1813-1883)の《アルバムの一葉》は、元々ピアノ曲です。変ホ長調とハ長調の二種類があり、1860年ごろに作られました。ここではハ長調のほうの作品を、アウグスト・ヴィルヘルミ(August Wilhelmj, 1845-1908)の編曲で収録しています。
最後に収録されるのは、ザルジツキ(Aleksander Zarzycki, 1834-1895)のマズルカです。ザルジツキはポーランドでピアニストとして成功した作曲家です。1886年に発表されたヴァイオリン用の小品で、ピアノ伴奏譜とオーケストラの伴奏譜があるのだとか。ここではもちろん前者のバージョンでの演奏になります。

オイストラフのヴァイオリンの音色は、鋼のような剛直さがあります。録音に立ち会った藁科雅美によると、柔らかい音で録られるのを気に入らず、強いはっきりした音で録音されることを望み、録音マイクに近接して演奏していたのだとか。ヤンポリスキーのピアノは、オイストラフの要望で、幾分マイクから遠い感じの収録になっています。しかし、ブラームスやプロコフィエフのソナタではオイストラフの芸風に服従するわけではなく、録音上のハンデをものともしない対等な立場の芸風を示しています。特にプロコフィエフでは、その拮抗がうまく作用し、まるで交響曲のようなダイナミックな表現を聴かせます。
ロカテッリのソナタからは濃厚な情感を引き出し、ルクレールのソナタからは溌剌とした生気を感じさせます。ただ、古楽器演奏のような微妙なニュアンスで繊細に表現するのではなく、朗々とヴァイオリンを鳴らしながら音一つとして取りこぼさない精巧なフィンガリングで聴き手を圧倒します。チャイコフスキーの瞑想曲やヴァーグナーの作品も、自信たっぷりに伸びやかに歌い、ファリャやザルジツキの小品ではトリッキーな超絶技巧を堂々たる音色で一気呵成に弾き切っています。その分ドビュッシーの作品は、ちょっとデリカシーが足りず、殊の外平板な仕上がりになっています。

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