1928年の日本ハナゲ學会第3分科會において瓢箪屋蓑吉氏が発表した「傳説の白ハナゲと黑ハナゲの脱色化の判別に關する文化論的一考察 ―ルウブル美術館をくまなく回ろうとして挫折したフレデリツク勅使河原氏の手記を中心に―」を再読したり、検証したりするBLOGではないことは確かなことです。ええ!確かなことですとも!
Johann Sebastian Bach: Inventions and Symphonies, BWV772-801
Kenneth Gilbert (Cemb)
(Rec. 2-4 April 1984, Musée Du Cloitre Notre Dame, Chartres)
本CDは、ドイツの作曲家、ヨハン・ゼバスティアン・バッハ(Johann Sebastian Bach, 1685-1750)の《インヴェンションとシンフォニア》をケネス・ギルバート(Kenneth Gilbert, 1931-)の演奏で聴くアルバムです。
《インヴェンションとシンフォニア》は1723年ごろに成立されたと思われる教材的な芸術作品です。息子たちや弟子たちの音楽的素養を磨くため、彼らに作品を写譜させ、装飾音の付け方や楽曲分析などにも活用したことが分かっています。テクニック面での鍛錬としても有用ということで、ピアノ学習者の教材に使われますが、プロフェッショナルな人たちが弾いても充分鑑賞に耐えられる作品であるところに、J.S.バッハの音楽の深遠さがあります。
本CDで演奏するギルバートは、カナダ出身の鍵盤音楽の専門家です。フランスに渡ってガストン・リテーズとモーリス・デュリュフレにオルガンを、ナディア・ブーランジェに音楽理論を学び、さらにイタリアでルッジェーロ・ジェルリンとシルヴィ・スピケットの下でチェンバロ奏法を習得しています。また、グスタフ・レオンハルトの薫陶も受け、古楽研究にも一家言を持つようになりました。
本CDで使われている楽器は、ブックレットによるとジャン・クーシェ(Jan Couchet)の工房で1671年に作られ、1759年にフランソワーズ=エティエンヌ・ブランシェ2世(Françoise-Etienne Blanchet II)、1778年にパスカル・タスカン(Pascal Taskin)によって改造を施されたモデルで、ギルバート個人のコレクションの中の一台とのこと。ピッチはA=392Hzという、かつてのヴェルサイユ宮殿の公式ピッチで、現在の標準ピッチ(A=440Hz)より一全音分くらい低いもの。このヴェルサイユ・ピッチは、J.S.バッハが存命の頃には「カンマー・ピッチ」としてしばしば用いられており、フランスのプロテスタント系の音楽家たちがドイツに持ち込んで広まっていたと考えられています。J.S.バッハもプロテスタント系の作曲家だったことから、ヴェルサイユ由来のピッチは、馴染みのあるものだったのでしょう。
ギルバートの演奏は、ゆとりをもったテンポで泰然自若。特別なことは何もしていないようでいて、微妙なアゴーギクでフレーズ感を出し、機械的にならないように配慮しています。短調のインヴェンションでは、こうしたアゴーギクが効いていて、例えば第9番のインヴェンションではやるせない心情を吐露するかのようなドラマを内包した音楽のように聴こえます。ただ、第13番のインヴェンションでは一箇所つっかえてしまっています。
シンフォニアは第3番の壮麗さや第5番の繊細な装飾など、ギルバート自慢のチェンバロの玄妙な音色にマッチして、古雅な雰囲気を醸し出しています。第15番などの技巧的な作品でも技に走らずにじっくりと仕上げているので、曲の一つ一つの風合いをしみじみと味わうことができます。
《インヴェンションとシンフォニア》は1723年ごろに成立されたと思われる教材的な芸術作品です。息子たちや弟子たちの音楽的素養を磨くため、彼らに作品を写譜させ、装飾音の付け方や楽曲分析などにも活用したことが分かっています。テクニック面での鍛錬としても有用ということで、ピアノ学習者の教材に使われますが、プロフェッショナルな人たちが弾いても充分鑑賞に耐えられる作品であるところに、J.S.バッハの音楽の深遠さがあります。
本CDで演奏するギルバートは、カナダ出身の鍵盤音楽の専門家です。フランスに渡ってガストン・リテーズとモーリス・デュリュフレにオルガンを、ナディア・ブーランジェに音楽理論を学び、さらにイタリアでルッジェーロ・ジェルリンとシルヴィ・スピケットの下でチェンバロ奏法を習得しています。また、グスタフ・レオンハルトの薫陶も受け、古楽研究にも一家言を持つようになりました。
本CDで使われている楽器は、ブックレットによるとジャン・クーシェ(Jan Couchet)の工房で1671年に作られ、1759年にフランソワーズ=エティエンヌ・ブランシェ2世(Françoise-Etienne Blanchet II)、1778年にパスカル・タスカン(Pascal Taskin)によって改造を施されたモデルで、ギルバート個人のコレクションの中の一台とのこと。ピッチはA=392Hzという、かつてのヴェルサイユ宮殿の公式ピッチで、現在の標準ピッチ(A=440Hz)より一全音分くらい低いもの。このヴェルサイユ・ピッチは、J.S.バッハが存命の頃には「カンマー・ピッチ」としてしばしば用いられており、フランスのプロテスタント系の音楽家たちがドイツに持ち込んで広まっていたと考えられています。J.S.バッハもプロテスタント系の作曲家だったことから、ヴェルサイユ由来のピッチは、馴染みのあるものだったのでしょう。
ギルバートの演奏は、ゆとりをもったテンポで泰然自若。特別なことは何もしていないようでいて、微妙なアゴーギクでフレーズ感を出し、機械的にならないように配慮しています。短調のインヴェンションでは、こうしたアゴーギクが効いていて、例えば第9番のインヴェンションではやるせない心情を吐露するかのようなドラマを内包した音楽のように聴こえます。ただ、第13番のインヴェンションでは一箇所つっかえてしまっています。
シンフォニアは第3番の壮麗さや第5番の繊細な装飾など、ギルバート自慢のチェンバロの玄妙な音色にマッチして、古雅な雰囲気を醸し出しています。第15番などの技巧的な作品でも技に走らずにじっくりと仕上げているので、曲の一つ一つの風合いをしみじみと味わうことができます。
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