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1928年の日本ハナゲ學会第3分科會において瓢箪屋蓑吉氏が発表した「傳説の白ハナゲと黑ハナゲの脱色化の判別に關する文化論的一考察 ―ルウブル美術館をくまなく回ろうとして挫折したフレデリツク勅使河原氏の手記を中心に―」を再読したり、検証したりするBLOGではないことは確かなことです。ええ!確かなことですとも!
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CD1:
◈Thomas Arne: Overture No.3 in G major
◈Thomas Arne: Overture No.1 in E minor
◈Thomas Arne: Overture No.2 in A major
◈Thomas Arne: Overture No.4 in F major
◈Thomas Arne: Overture No.5 in D major
◈Thomas Arne: Overture No.6 in B flat major
◈Thomas Arne: Overture No.7 in D major
◈Thomas Arne: Overture No.8 in G minor
The Academy of Ancient Music / Christher Hogwood
(Rec. September 1973, All Saints, Petersham)
◈Thomas Arne: Baccus and Ariadne
◈Thomas Arne: Fair Caelia love pretended
Robert Tear (T)
Academy of St. Martin in the Fields / Neville Marriner
(Rec. November 1969, St. John's Square)

CD2:
◈Thomas Arne: 'The Soldier tir'd' from "Artaxerxes"
Joan Sutherland (S)
Orchestra of the Royal Opera House Covent Garden / Francesco Molinari-Pradelli
Harry Dilley (Tp-Solo)
(Rec. August 1960)
◈Thomas Arne: Harpsichord Concerto No.5 in G minor
George Malcolm (Cemb)
Academy of St. Martin in the Fields / Neville Marriner
(Rec. November 1967)
◈Thomas Arne: Organ Concerto No.4 in B flat major
◈Thomas Arne: Organ Concerto No.5 in G minor
◈Thomas Arne: Organ Concerto No.6 in B flat major
Jean Guillou (Org)
Berlin Brandenburg Orchestra / René Klopfenstein
(Rec. 1967, Lutheran Church, Berlin)
◈Thomas Arne: 'Rise, Glory, rise' from "Rosamond"
◈Thomas Arne: 'By the rushy-fringed bank' from "Comus"
◈Thomas Arne: 'Brightest Lady - There upon thy Finger's Tip' from "Comus"
◈Thomas Arne: 'Where the bee sucks there lurk I' from "The Tempest"
Emma Kirkby (S)
The Academy of Ancient Music / Christher Hogwood
(Rec. September 1991, Walthamstow Assembly Hall)
◈Thomas Arne (arr. William Hayman Cummings): 'O Ravishing Delight' from "Judgemwnr of Paris"
Jennifer Vyvyan (S)
Ernest Lush (Pf)
(Rec. May 1953, Kingsway Hall)



イギリスの作曲家、トマス・アーン(Thomas Arne, 1710-1778)の作品集のアルバムです。アーンといえば、今日ロンドンで夏に開催されるプロムナード・コンサート(略して「プロムス」)で必ず歌われる《ルール・ブリタニア》で広く知られています。この《ルール・ブリタニア》は、元々《アルフレッド大王》という仮面劇用のナンバーとして書かれたものでした。
本アルバムは、その《ルール・ブリタニア》以外の作品に光を当てるものとして、企画されたものです。演目は以下の通り。
▤ 序曲集(全8曲)
▤ カンタータ《バッカスとアリアドネ》
▤ カンタータ《美しきセーリアの偽りの愛》
▤ 《アルタクセルクセス》から〈兵士は疲れ果て〉
▤ 協奏曲第5番 (チェンバロ版)
▤ 協奏曲第4番 (オルガン版)
▤ 協奏曲第5番 (オルガン版)
▤ 協奏曲第6番 (オルガン版)
▤ 《ロザモンド》より〈高まれ、栄光よ、高まれ〉
▤ 《コーマス》より〈イグサの茂る土手で〉
▤ 《コーマス》より〈貞淑な淑女〉
▤ 《嵐》より〈蜜蜂が蜜を吸う野を歩き回れば〉
▤ 《パリスの審判》より〈おお喜ばしい歓喜よ〉
全8曲の序曲集は1751年頃に編纂された作品集で、アーンが出版した最初の器楽曲になります。これらの作品は、アーンがそれまでに作った劇音楽やコンサートの序曲として使われていたと思われ、特に第3番は音楽劇《ヘンリーとエマ》(1749年作)、第7番は仮面劇《コーマス》(1738年)、第8番は仮面劇《パリスの審判》(1742年作)の序曲として作曲されたことが分かっています。ただ、アーンの舞台用作品の多くは散逸紛失しているため、他の序曲がいかなる機会に使われた曲なのかはっきりしていません。作品としては、基本的に急-緩-急のテンポ設定をとりますが、第2番や第3番などでミヌエット、第6番ではガヴォット、第8番ではミヌエットだけでなくジグまで含むように、宮廷舞踊としての器楽曲の伝統も引き継いでいます。
演奏はクリストファー・ホグウッド(Christher Hogwood, 1941-)の率いる古楽アカデミーによるもの。ホグウッドはレイモンド・レパードとサーストン・ダートに学んだ音楽学者で、ラファエル・プヤーナやグスタフ・レオンハルトにも鍵盤楽器の演奏法を学びました。1973年にホグウッドが結成した古楽アカデミーは「エンシェント室内管弦楽団」として日本で広く紹介されていました。この古楽アカデミーを足掛かりにして指揮者として名声を得るようになったホグウッドは、アメリカのヘンデル・ハイドン協会やセント・ポール室内管弦楽団で音楽監督を務めたり、世界各地の歌劇場でオペラを指揮したりと、活躍の場を広げています。アーンの序曲集を録音した頃は、古楽アカデミーを結成したばかりでしたが、舞曲の名残としての作品の側面をメリハリの利いた表現で浮き彫りにし、聴き手の心を弾ませるに足る演奏を繰り広げています。本アルバムでは、序曲集のほかに、エマ・カークビー(Emma Kirkby, 1949-)を伴って歌劇《ロザモンド》(1733年作)や《コーマス》、劇付随音楽《嵐》のそれぞれのソプラノ用アリアも録音しています。カークビーはオックスフォード大学で古典を学んだ才媛で、タヴァナー合唱団のメンバーとして活動を始めました。リュート奏者のアンソニー・ルーリーらとコンソート・オヴ・ミュージックを結成してから、古楽の名歌手として知られるようになり、ホグウッドらと共演して多くの録音を行っています。ヴィブラートを使わない清澄な歌声に定評があり、ここでもその美声と卓越した歌唱テクニックを披露しています。

カンタータ《バッカスとアリアドネ》は、1755年に6曲セットのカンタータの一つとして刊行された作品で、作詞者は不詳。《美しきセーリアの偽りの愛》は1749年に作られたカンタータで、ウィリアム・コングレイヴ(William Congreve, 1670-1729)の詩に基づく作品とのこと。これらの作品の演奏は、ロバート・ティアー(Robert Tear, 1939-)のテノール独唱とネヴィル・マリナー(Neville Marriner, 1924-)の指揮するアカデミー・オヴ・セント・マーティン・イン・ザ・フィールズによる演奏です。マリナーは元々ロンドン交響楽団の団員としてヴァイオリンを弾いていた人でしたが、ピエール・モントゥーに指揮法を学び、1959年にアカデミー・オヴ・セント・マーティン・イン・ザ・フィールズを旗揚げしています。アカデミー・オヴ・セント・マーティン・イン・ザ・フィールズは、日本では「アカデミー室内管弦楽団」として日本では広く知られており、余談ながら、前述のホグウッドも一時期ここでチェンバロを弾いていました。ホグウッドの古楽アカデミーに比べると、モダン楽器を使ったアカデミー・オヴ・セント・マーティン・イン・ザ・フィールズの演奏はまろやかに聴こえます。ティアーの伸びやかな歌唱を支えるには、マリナーの大らかな指揮のほうが良いのかもしれません。

本アルバムの2枚目のCDの最初に収録されているのは《アルタクセルクセス》(1762年作)のアリアです。演奏は、ジョーン・サザーランド(Joan Sutherland, 1926-)の独唱と、フランチェスコ・モリナーリ=プラデッリ(Francesco Molinari-Pradelli, 1911-1997)の指揮するコヴェント・ガーデン王立歌劇場管弦楽団によるもの。コヴェント・ガーデン王立歌劇場管弦楽団の首席トランペット奏者のハリー・ディレイ(Harry Dilley)の名前もクレジットされています。サザーランドのうっとりするような美しい歌唱が聴きものですが、オペラ指揮の第一人者だったモリナーリ=プラデッリの伴奏もサザーランドが歌いやすそうな絶妙のサポートで、名唱に花を添えています。
2枚目のCDのメインとなっているのは、アーンの鍵盤楽器用の協奏曲です。アーンは生前、ライバルだったジョージ・フレデリック・ハンデルことゲオルク・フリードリヒ・ヘンデルの流儀を参考にして、自分の舞台上演の幕間に自前の鍵盤楽器用協奏曲を披露していました。アーン自身は特にこれらの作品を出版するつもりはなかったようですが、アーンの没後に遺族が6曲の協奏曲のセットとして1791年に刊行しています。ここではそのうちの第4番から第6番まで収録しています。アーンの協奏曲について、わざわざ「鍵盤楽器用の協奏曲」と書いているのには理由があり、アーンが特に独奏楽器を特定していないことに由来します。ゆえに、第5番の協奏曲については、ジョージ・マルコム(George Malcolm, 1917-1997)のチェンバロ独奏とマリナーの指揮するアカデミー・オヴ・セント・マーティン・イン・ザ・フィールズによる伴奏によるものと、ジャン・ギユー(Jean Guillou, 1930-)のオルガン独奏とルネ・クロプフェンシュタイン(René Klopfenstein, 1927-1984)の指揮するベルリン・ブランデンブルク管弦楽団(おそらく現在ベルリン・ドイツ交響楽団として活躍するオーケストラの選抜メンバー)の演奏が収録されています。
チェンバロ独奏のマルコムはロンドン王立音楽院でハーバート・フライヤーに学んだ人。元々ピアニストでしたが、第二次世界大戦後からチェンバロ演奏に手を染めるようになり、ダートに並ぶイギリスのチェンバロ界の大立者になりました。
ギユーはフランスのオルガニストで、マルセル・デュプレ、モーリス・デュリュフレ、オリヴィエ・メシアンの三氏の薫陶を受けた人。即興演奏を得意とし、オルガン音楽の専門家として知られています。
クロプフェンシュタインはスイスの音楽家で、地元ローザンヌのリボーピエール音楽院でユリアーネ・トムセンにピアノを師事し、バーゼル大学で哲学も修めた人です。ザルツブルクのモーツァルテウムにも留学し、イゴール・マルケヴィチの薫陶を受けて指揮法も習得しています。1957年からフィリップス・レーベルのプロデューサーとして辣腕をふるい、1968年からはモントルー音楽祭のディレクターとして、積極的に同時代の作曲家の作品の紹介に力を傾注しました。
マルコムとマリナーの演奏は、独奏をチェンバロにすることで弦楽セクションの柔軟な音色が生きており、マルコムの独奏も熱のこもった演奏で立派な存在感を示しています。特に終楽章のキビキビとした音楽の流れには耳を奪われます。ただ、収録上、本来4つに分けるべきトラックを1つにまとめて編集しているので、特定の楽章だけ取り出して聴くことはできません。
ギユーとクロプフェンシュタインは第4番から第6番までの協奏曲を録音しています。第5番に関しては、ギユーがオルガンの機能をフル活用して華やかに独奏パートを色揚げしているので、マルコムの独奏とは印象がガラッと変わります。クロプフェンシュタインの指揮するオーケストラは、マリナーのような溌剌さよりも着実さを重んじ、厳格な印象が前面に出ています。ギユーの独奏は、他の協奏曲でも音栓を華麗に活用しており、聴き手の耳を楽しませるという点では絶大な効果を齎していますが、少々効果を狙い過ぎている感があります。クロプフェンシュタインは、ギユーの即興的ともいえるオルガン独奏の華麗さに動じることなく、ガッチリと脇を固めた伴奏で、華麗さだけに終わらない品位を保っています。
本CDの最後に収録されているのは、イギリス往年の名歌手、ジェニファー・ヴィヴィアン(Jennifer Vyvyan, 1925-1974)による《パリスの審判》のアリアです。伴奏はアーネスト・ラッシュ(Ernest Lush, 1908-1988)のピアノ伴奏で、ウィリアム・ヘイマン・カミングス(William Hayman Cummings, 1831-1915)による編曲版が使われています。トビアス・マテイ門下の名ピアニストだったラッシュの、控え目ながらよく磨き上げられたピアノの音色の美しさもさることながら、ヴィヴィアンの独奏の凛とした美しさが耳に残ります。この録音は、昔からずっとアーンの音楽が愛され続けていることを示す、とっておきの音源なのでしょう。


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