1928年の日本ハナゲ學会第3分科會において瓢箪屋蓑吉氏が発表した「傳説の白ハナゲと黑ハナゲの脱色化の判別に關する文化論的一考察 ―ルウブル美術館をくまなく回ろうとして挫折したフレデリツク勅使河原氏の手記を中心に―」を再読したり、検証したりするBLOGではないことは確かなことです。ええ!確かなことですとも!
CD1:
◈Camille Saint-Saëns: Symphony in A major
Orchestre National de l'O.R.T.F / Jean Martinon
(Rec. 18-20&23 September 1974, Salle Wagram, Paris)
◈Camille Saint-Saëns: Symphony No.1 in E-flat major, op.2◈Camille Saint-Saëns: Symphony No.2 in A minor, op.55
Orchestre National de l'O.R.T.F / Jean Martinon
(Rec. 11-12 June & 29-30 September 1973, Salle Wagram, Paris)
CD2:
◈Camille Saint-Saëns: Symphony No.3 in C minor, op.78 "avec Orgue"
Bernard Gavoty (Org)
Orchestre National de l'O.R.T.F / Jean Martinon
Orchestre National de l'O.R.T.F / Jean Martinon
(Rec. 9-10 January 1975, Église saint Louis des Invalides, Paris)
◈Camille Saint-Saëns: Symphony in F major "Urbus Roma"Orchestre National de l'O.R.T.F / Jean Martinon
(Rec. 18-20 & 23 September 1972, Salle Wagram, Paris)
カミーユ・サン=サーンス(Camille Saint-Saëns, 1835-1921)は、フランスの作曲家です。
あるときには詩人、またあるときには数学者といったように、多彩な活躍をしていたサン=サーンスですが、生涯に150を超える作品を書き、ほとんどのジャンルの音楽を網羅しています。
また、サイレント映画のための音楽も手がけ、世界初の映画音楽の作曲家となったことも、特筆すべきことなのかもしれません。
サン=サーンスの交響曲は、1885年に作られた最後の交響曲である第3番《オルガン付》が広く知られていますが、第3番があるということは、第1番や第2番もあるということを自ずと物語っています。
本CDの全集は、番号つきの3曲だけでなく、番号をつけなかった2作品も収録しているのがウリのひとつでもあります。
CD1に収録されているイ長調の交響曲は、1850年ごろの作品で、作曲者自身が習作と見做していた作品です。
作品として発表するのではなく、あくまで自分の腕試しとして作った作品らしく、ハイドンらが確立した交響曲の形式を踏まえて模範的な作品を作っています。
こんこんと湧き出てくるようなメロディの美しさは、ジョルジュ・ビゼーを髣髴とさせる才気を感じさせますが、紋切り型の音楽に終わらせていないところに、10代のサン=サーンスの非凡さを感じさせます。
交響曲第1番は、1853年に書き上げられた作品です。
この交響曲の初演時には、名前が伏せられ、作曲者の名前が明かされたときには驚嘆と賞賛の声があがったといいます。
サン=サーンスは、無駄のない熟達したオーケストレーションと、安易なモノフォニーに流れない用意周到なモチーフ処理で、流麗な音楽を作り上げています。
金管楽器を要所要所に配しながら、弦楽器や木管楽器を蹴散らさせない配慮を示しているところに、サン=サーンスの趣味の一端をうかがう事が出来るでしょう。
交響曲《ローマ》は、ボルドーの作曲コンクールに応募した1956年の作品です。
ここで示される《ローマ》は、別にイタリアのローマを描写した音楽ではありません。
ここでサン=サーンスが為そうとした仕事は、明晰性と非合理性の調和であり、それはとりもなおさず、イタリアのラテン的美とドイツ・ロマン主義のゴシック的な美を融和させることでありました。
おそらくは、そうした美的融和の形を「ローマ」という副題に込めたものと思われます。
この作品で、サン=サーンスは作曲コンクールで優勝を飾り、このコンクールを主催した聖セシル協会の名誉会員に推挙されるという栄誉に浴しました。
しかし、サン=サーンスは、この曲には番号をふらず、出版もせずにしまいこんでしまいました。
交響曲第2番は、1858年の作品。
この曲においても、交響曲という形式を遵守していますが、この曲を作った頃には、ドイツのリヒャルト・ヴァーグナーの音楽の影響がフランスでも見られ始め、形式の瓦解を懸念したサン=サーンスが意固地になって形式遵守を表明した交響曲でもあります。
おかげで、この交響曲は、ヴァーグナー以前のドイツの作曲家(ロベルト・シューマンやフェリックス・メンデルスゾーン)に接近した作風を示しています。
革新的なことは何もしない代わりに、基礎基本の形式面を徹底的に守り抜くことにより、質の高い音楽を作り上げています。
交響曲第3番は、1886年に作られた、サン=サーンスにとっては久し振りの、そして最後の交響曲です。
この曲は、敬愛するフランツ・リストに捧げられ、前作まで形式を遵守していたサン=サーンスからすればかなり大胆な音楽になっています。
全体の構造は、アレグロの第1楽章、緩徐的な第2楽章、諧謔的な第3楽章を経て壮大なフィナーレ楽章に突入するという、伝統的な作法に則っているようですが、第1楽章と第2楽章を第1楽章として結合し、第3楽章と第4楽章を第2楽章として結合し、都合2楽章構成の交響曲に仕立てています。
オルガニストとしても実績を積んでいたサン=サーンスは、オルガンも効果的に使って、この曲の雄渾さを演出しています。第2楽章ではピアノも使って煌びやかさを演出し、後半部分ではスケールの大きな奏楽で聴き手を圧倒させます。
この交響曲は、フランス国内では大いに賞賛されましたが、国外ではその並外れた音響スケールに聴衆が当惑したそうです。
今日では、この曲がサン=サーンスの交響曲の中でもっともよく知られた曲になっています。
演奏は、ジャン・マルティノン(Jean Martinon, 1910-1976)指揮するフランス国立放送管弦楽団です。
マルティノンは、1968年から1973年までこのオーケストラの首席指揮者を務めており、職をセルジュ・チェリビダッケに譲った後に、この交響曲全集を完成させています。
また、《オルガン付》の交響曲を録音したその年に、このオーケストラはラジオ・フランスの管轄になり、「フランス国立管弦楽団」と名称変更されているので、「フランス国立放送管弦楽団」としては終末期の録音ということになります。
この《オルガン付》の交響曲でオルガンを担当しているのは、ベルナール・ガヴォティ(Bernard Gavoty, 1908-1981)です。
ガヴォティは、音楽学者として有名ですが、ルイ・ヴィエルヌ門下のオルガニストとしても活動していた人でした。
オルガン抜きの交響曲では、マルティノンの的確な棒さばきで、サン=サーンスの交響曲の明晰さに十分に光が当てられています。
フランス国立放送管弦楽団も精度の高いアンサンブルもさることながら、音の一つ一つに熱いパトスを感じさせます。
肝心の《オルガン付》は、マルティノンの調子がいまいち優れないのか、他の交響曲ほどに強い求心力が感じられないのが残念です。
また、ガヴォティは、サン・ルイ・デザンヴァリード教会のグランド・オルガンを使っているのですが、このオルガンの音のピッチがオーケストラと比べてやや低い感じがします。
あるときには詩人、またあるときには数学者といったように、多彩な活躍をしていたサン=サーンスですが、生涯に150を超える作品を書き、ほとんどのジャンルの音楽を網羅しています。
また、サイレント映画のための音楽も手がけ、世界初の映画音楽の作曲家となったことも、特筆すべきことなのかもしれません。
サン=サーンスの交響曲は、1885年に作られた最後の交響曲である第3番《オルガン付》が広く知られていますが、第3番があるということは、第1番や第2番もあるということを自ずと物語っています。
本CDの全集は、番号つきの3曲だけでなく、番号をつけなかった2作品も収録しているのがウリのひとつでもあります。
CD1に収録されているイ長調の交響曲は、1850年ごろの作品で、作曲者自身が習作と見做していた作品です。
作品として発表するのではなく、あくまで自分の腕試しとして作った作品らしく、ハイドンらが確立した交響曲の形式を踏まえて模範的な作品を作っています。
こんこんと湧き出てくるようなメロディの美しさは、ジョルジュ・ビゼーを髣髴とさせる才気を感じさせますが、紋切り型の音楽に終わらせていないところに、10代のサン=サーンスの非凡さを感じさせます。
交響曲第1番は、1853年に書き上げられた作品です。
この交響曲の初演時には、名前が伏せられ、作曲者の名前が明かされたときには驚嘆と賞賛の声があがったといいます。
サン=サーンスは、無駄のない熟達したオーケストレーションと、安易なモノフォニーに流れない用意周到なモチーフ処理で、流麗な音楽を作り上げています。
金管楽器を要所要所に配しながら、弦楽器や木管楽器を蹴散らさせない配慮を示しているところに、サン=サーンスの趣味の一端をうかがう事が出来るでしょう。
交響曲《ローマ》は、ボルドーの作曲コンクールに応募した1956年の作品です。
ここで示される《ローマ》は、別にイタリアのローマを描写した音楽ではありません。
ここでサン=サーンスが為そうとした仕事は、明晰性と非合理性の調和であり、それはとりもなおさず、イタリアのラテン的美とドイツ・ロマン主義のゴシック的な美を融和させることでありました。
おそらくは、そうした美的融和の形を「ローマ」という副題に込めたものと思われます。
この作品で、サン=サーンスは作曲コンクールで優勝を飾り、このコンクールを主催した聖セシル協会の名誉会員に推挙されるという栄誉に浴しました。
しかし、サン=サーンスは、この曲には番号をふらず、出版もせずにしまいこんでしまいました。
交響曲第2番は、1858年の作品。
この曲においても、交響曲という形式を遵守していますが、この曲を作った頃には、ドイツのリヒャルト・ヴァーグナーの音楽の影響がフランスでも見られ始め、形式の瓦解を懸念したサン=サーンスが意固地になって形式遵守を表明した交響曲でもあります。
おかげで、この交響曲は、ヴァーグナー以前のドイツの作曲家(ロベルト・シューマンやフェリックス・メンデルスゾーン)に接近した作風を示しています。
革新的なことは何もしない代わりに、基礎基本の形式面を徹底的に守り抜くことにより、質の高い音楽を作り上げています。
交響曲第3番は、1886年に作られた、サン=サーンスにとっては久し振りの、そして最後の交響曲です。
この曲は、敬愛するフランツ・リストに捧げられ、前作まで形式を遵守していたサン=サーンスからすればかなり大胆な音楽になっています。
全体の構造は、アレグロの第1楽章、緩徐的な第2楽章、諧謔的な第3楽章を経て壮大なフィナーレ楽章に突入するという、伝統的な作法に則っているようですが、第1楽章と第2楽章を第1楽章として結合し、第3楽章と第4楽章を第2楽章として結合し、都合2楽章構成の交響曲に仕立てています。
オルガニストとしても実績を積んでいたサン=サーンスは、オルガンも効果的に使って、この曲の雄渾さを演出しています。第2楽章ではピアノも使って煌びやかさを演出し、後半部分ではスケールの大きな奏楽で聴き手を圧倒させます。
この交響曲は、フランス国内では大いに賞賛されましたが、国外ではその並外れた音響スケールに聴衆が当惑したそうです。
今日では、この曲がサン=サーンスの交響曲の中でもっともよく知られた曲になっています。
演奏は、ジャン・マルティノン(Jean Martinon, 1910-1976)指揮するフランス国立放送管弦楽団です。
マルティノンは、1968年から1973年までこのオーケストラの首席指揮者を務めており、職をセルジュ・チェリビダッケに譲った後に、この交響曲全集を完成させています。
また、《オルガン付》の交響曲を録音したその年に、このオーケストラはラジオ・フランスの管轄になり、「フランス国立管弦楽団」と名称変更されているので、「フランス国立放送管弦楽団」としては終末期の録音ということになります。
この《オルガン付》の交響曲でオルガンを担当しているのは、ベルナール・ガヴォティ(Bernard Gavoty, 1908-1981)です。
ガヴォティは、音楽学者として有名ですが、ルイ・ヴィエルヌ門下のオルガニストとしても活動していた人でした。
オルガン抜きの交響曲では、マルティノンの的確な棒さばきで、サン=サーンスの交響曲の明晰さに十分に光が当てられています。
フランス国立放送管弦楽団も精度の高いアンサンブルもさることながら、音の一つ一つに熱いパトスを感じさせます。
肝心の《オルガン付》は、マルティノンの調子がいまいち優れないのか、他の交響曲ほどに強い求心力が感じられないのが残念です。
また、ガヴォティは、サン・ルイ・デザンヴァリード教会のグランド・オルガンを使っているのですが、このオルガンの音のピッチがオーケストラと比べてやや低い感じがします。
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