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1928年の日本ハナゲ學会第3分科會において瓢箪屋蓑吉氏が発表した「傳説の白ハナゲと黑ハナゲの脱色化の判別に關する文化論的一考察 ―ルウブル美術館をくまなく回ろうとして挫折したフレデリツク勅使河原氏の手記を中心に―」を再読したり、検証したりするBLOGではないことは確かなことです。ええ!確かなことですとも!
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◈Luigi Dallapiccola: Il Prigioniero
Phyllys Bryn-Julson (S: La Madre)
Jorma Hynninen (Br: Il Prigioniero)
Howard Haskin (T: Il Carceriere, Il Grande Insquisitore)
Sven Erik Alexandersson (T: Sacerdora)
Lage Wedin (Br: Sacerdota)
Swedish Radio Choir
Eric Ericson Chamber Choir (Chorus master: Mats Nilsson)
Swedish Radio Symphony Orchestra / Esa-Pekka Salonen
(Rec. 24 & 25 March 1995, Berwald Hall, Stockholm) Live Recording without Applause
◈Luigi Dallapiccola: Canti di prigionia
Swedish Radio Choir
Eric Ericson Chamber Choir (Chorus master: Per Borin)
Swedish Radio Symphony Orchestra / Esa-Pekka Salonen
(Rec. 27 March 1995, Berwald Hall, Stockholm)



ルイージ・ダッラピッコラ(Luigi Dallapiccola, 1904-1975)は、イタリアの作曲家です。
イタリアでシェーンベルクの十二音音楽を積極的に導入したことで知られており、彼の代表作であるオペラ《囚われ人》でも、効果的に十二音技法が使われています。
ダッラピッコラについては、アントニオ・ヴィヴァルディの音楽に対して不敬発言をしたとかで、バロック音楽の愛好家からは目の敵にされてきましたが、彼自身は、別にバロック音楽を毛嫌いしていたわけではなく、ジュゼッペ・タルティーニの作品を研究して、《タルティニアーナ》という作品を書いたこともあります。

《囚われ人》は、一幕もののオペラで、オーギュスト・ヴィリエ・ド・リラダンというフランスの作家の短編『希望による拷問』が元ネタになっています。この作品を書くまでに、ダッラピッコラはかなりの辛酸をなめてきました。

ダッラピッコラの生まれはイストリア半島のピシーノ(現:クロアチア領パジン)というところでしたが、当時、ここはオーストリア帝国領でした。彼の両親はともにイタリア人で、父親がイタリア語学校の校長先生でしたが、ほどなく政情不安で学校を閉鎖され、家族は危険分子としてオーストリアのグラーツに連行されました。
その後、成人して作曲家兼ピアニストとして生計を立てるようになったダッラピッコラは、ユダヤ人女性のラウラ・ルッツァートと結婚しますが、この結婚によって、苦難の日々を送ることになります。
イタリアは、1922年末からベニート・ムッソリーニが政権を取り、独裁政治を行っていましたが、ダッラピッコラは、当初ムッソリーニに非常に好意的かつ協力的でした。ところが、1930年代に入ると、次第に好戦的なムッソリーニの政策に疑問を持ち始め、ムッソリーニが人種差別政策を導入してからは、妻のラウラが差別対象のユダヤ人であったため、ムッソリーニ政権や、ドイツのアドルフ・ヒトラーに背を向けて活動せざるを得なくなりました。
ダッラピッコラは、《囚われの歌》でファシスト政権への敵意を表明しましたが、この《囚われの歌》の作曲中に、妻からリラダンの小説を手渡され、そのリラダンの短編の着想を下地にして、オペラを書くことになったのでした。
当時危ない橋を渡っていたダラピッコラにとって、台本を作ってくれる知り合いの作家もおらず、自分で台本の構想を練り上げています。リラダンの小説を読んで着想したのは1938年ごろでしたが、オペラとして完成したのは、1948年になってからのことでした。
出来上がった作品をヘルマン・シェルヘンに見せたところ、シェルヘンはこの作品に感銘を受け、1949年12月1日のイタリア放送でこの曲を初演しました。その後、舞台上演も行われ、ここにきてダッラピッコラの名声が確立されるようになりました。

このオペラ《囚われ人》のあらすじは、以下のとおりです。

・プロローグ
政治犯で牢屋に入れられた「囚われ人」のところに、母親が尋ねてくる。
彼女は、毎晩見る夢を見て、息子に災いが降りかかるのではないかと気が気ではない。
彼女の見た夢は、巨大で薄暗い洞窟の中に、ハゲワシの子孫で残忍なフェリペ王が鎮座している夢である。
夢の中で、フェリペ王がステンドグラスの光にさらされると、すでにフェリペ王は髑髏になっていたという。

・本編
「囚われ人」は、サラゴサの異端審問裁判所で死を待つ身である。
母親が面会に来たものの、この面会が最後の面会になることを母親は予感している。
母親の面会が終わると、看守がやってくる。

看守は「囚われ人」に「友よ!」と呼びかけ、妙になれなれしい。
看守はフランドルがスペインの独裁に対して蜂起したことを話し、いたるところでスペインに反旗を翻しているという知らせを「囚われ人」に聞かせて元気付ける。
看守は、わざと「囚われ人」の牢屋の鍵をかけずに去っていき、暗黙に逃亡を勧めるのだった。

牢屋に鍵がかかっていないことを知った「囚われ人」は、脱走を図る。母親が夢で語ったように暗く巨大な洞窟のような通路を抜けようとする。
すると、二人の牧師が、その通路を通ってやってくる。「囚われ人」は、身を隠し、その牧師2人の会話をきくが、その対話はとりとめのないしゅうきょうじょうのやりとりだった。そこに、牧師の片割れが人の気配を察知するが、もう一人の牧師が「今は囚人は寝ている時間だから、誰もいないはずだ。」という、そして「翌日には、囚人は火刑に処すことになっている」といって、その場を立ち去っていった。
恐れおののいた「囚われ人」は、なんとしてでも、この牢獄から抜け出さなければならない。

「囚われ人」は、なんとか刑務所の庭に出ることが出来た。塀のそばに生える杉の木に上れば、脱獄ができる。
脱獄を完遂しようとした丁度そのとき、物陰から刑務所の所長が出てきて、「囚われ人」を捕らえる。
「囚われ人」に各地での蜂起の話を聞かせ、牢屋の鍵を開けたのは、看守のフリをした所長だったのだ。
自由という名の希望をちらつかせて、絶望のどん底に突き落とすことが、ここの最後の拷問だった。
ほどなく夜が明け、「囚われ人」は火柱の台へと連れて行かれる。
よろよろと「囚われ人」が火刑台に向かって歩いていくところで幕となる。
ダッラピッコラは、看守に扮していた裁判所の所長、すなわち、異端審問裁判の裁判長に調性感のある音楽を歌わせ、一方の「囚われ人」に十二音音楽を適用しています。
保守的な規律、足枷としての調性音楽と、それから逃れようとする無調音楽を対置させることによって、ダッラピッコラは、作品のメッセージをより強固なものにしています。

演奏は以下のキャストによります。

・フィリス・ブリン・ジュルソン (母親)
・ヨルマ・ヒュンニネン (囚われ人)
・ハワード・ハスキン (看守&異端審問刑務所所長)
・スヴェン=エリク・アレクサンダーソン (牧師)
・ラーゲ・ウェディン (牧師)
スウェーデン放送合唱団
エリク・エリクソン室内合唱団 (合唱指揮:マッツ・ニルソン)
スウェーデン放送交響楽団/エサ=ペッカ・サロネン
本CDでは、このオペラの端緒となった《囚われの歌》もカップリングされており、スウェーデン放送合唱団とエリク・エリクソン室内合唱団 、エサ=ペッカ・サロネン(Esa-Pekka Salonen, 1958-)指揮するスウェーデン放送交響楽団という、オペラとあまり変わらない顔ぶれで演奏しています。ただ、合唱指揮が、ニルソンからペル・ボリン(Per Borin)に代わっています。
オペラは、フィンランドの歌手ヒュンニネン(Jorma Hynninen, 1941-)やアメリカ人歌手のジュルソン(Phylis Bryn Julson, 1958-)、同じくアメリカ人テノールのハスキン(Howard Haskin)といった、混成メンバーで演奏していますが、国籍の壁を感じさせない、統率の取れた素晴らしい演奏を展開しています。
ドロドロになりがちな曲を、スッキリとまとめているのは、サロネンの卓越したアンサンブルのコントロール力に負うところが多いでしょう。
サロネン自身も作曲家であり、ダッラピッコラが、その作曲技法にこめたメッセージをしっかりと掬い取って、説得力のある演奏を繰り広げています。

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