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1928年の日本ハナゲ學会第3分科會において瓢箪屋蓑吉氏が発表した「傳説の白ハナゲと黑ハナゲの脱色化の判別に關する文化論的一考察 ―ルウブル美術館をくまなく回ろうとして挫折したフレデリツク勅使河原氏の手記を中心に―」を再読したり、検証したりするBLOGではないことは確かなことです。ええ!確かなことですとも!
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◈Eugène Ysaÿe: 6 Sonaten für Violine solo, op.27
四方 恭子 (Vn)
(Rec. 16 July 1990, Lutheran Hall, Sapporo) Live Rcording



ウジェーヌ・イザイ(Eugène Ysaÿe, 1858-1931)はベルギーの作曲家です。
ヴァイオリンをアンリ・ヴュータンとヘンリク・ヴィエニャフスキから学び、ヴィルトゥオーゾ・ヴァイオリニストとして19世紀末から20世紀初頭にかけて活躍した人でした。
作曲家としてのイザイの代表作は、1924年に作曲された6つの無伴奏ヴァイオリン・ソナタで、それぞれのソナタを、作曲当時の若手ヴァイオリニストたちに捧げています。

第1番のソナタは、ハンガリー出身の名手で、ヨハン・ゼバスティアン・バッハの無伴奏ヴァイオリン・ソナタ&パルティータ集の真価を20世紀に伝えたヨーゼフ・シゲティに捧げられています。
全部で4つの楽章からなり、第1楽章の〈グラーヴェ〉と最終楽章の〈情熱的なフィナーレ〉では、ハンガリーの民族舞踊のリズムを織り込んでいます。第2楽章〈フーガ〉は、シゲティが積極的に取り組んでいた、J.S.バッハの作品へのオマージュとしており、第3楽章のスケルツォではシゲティの演奏技術が十分に発揮されるよう、しっかりとした難易度の作品に仕上げています。

第2番のソナタは、小粋な味わいで聴衆を魅了したフランスの名手のジャック・ティボーに献呈されました。
ティボーは、ロマンティックな小品の演奏に人気の高い人でしたが、バロック音楽や古典派の音楽にも果敢に取り組む姿勢を見せていた人でした。そうしたことを評価したのか、イザイはJ.S.バッハの無伴奏ヴァイオリンのためのパルティータ第3番のパルティータを、〈妄想〉と題した第1楽章に引用しています。第2楽章の〈メランコニア〉は、グレゴリオ聖歌をモチーフにした作品で、第3楽章の〈死者の踊り〉において、そのモチーフがピツィカートで変奏されます。最終楽章である第4楽章は、〈フュリ〉と名づけられており、これは復讐の女神を意味するとのこと。激怒の感情を持って演奏するように指示されており、華々しい演奏技巧を披露できます。

第3番のソナタは、ルーマニア人のジョルジェ・エネスクに捧げられており、彼はヴァイオリニストとしてだけでなく、作曲家としても独自の地位を気づいた多彩な人でした。そのエネスコのとらえどころのなさから、イザイは、このソナタを「バラード」と名づけ、ラプソディックな音楽に仕上げました。イザイのこのソナタ集の中でも、特に有名な作品です。

第4番のソナタは、オーストリアの作曲家兼ヴァイオリニストのフリッツ・クライスラーに捧げられています。
クライスラーも、古典的手稿と称して、17~18世紀の作曲家の名前で作品を発表しており、そのクライスラーの姿勢に倣って、〈アルマンド〉〈サラバンド〉〈フィナーレ〉の3つの楽章からなるソナタに仕上げました。
特に、〈サラバンド〉は、実質的にパッサカリアを形成しており、至難な作品として知られています。また、〈フィナーレ〉も、クライスラーがガエターノ・プニャーニの名前を騙って発表した《前奏曲とアレグロ》をモチーフにしており、一汗掻かせる作品になっています。

第5番は、イザイ自身の弟子であったマテュー・クリックボームに捧げられています。クリックボームはスペインを中心に活動を展開したため、録音が残っていないようです。〈オーロラ〉と〈田舎の踊り〉という2つの楽章からなり、特に〈オーロラ〉ではドビュッシーの作品を思わせるアルペジオを使っております。

第6番は、スペインの名手、マヌエル・キロガに捧げられました。イザイの弟子だったキロガは、1937年に交通事故でヴァイオリニストとしての活動を停止せざるを得なくなりますが、20世紀初頭のスペインを代表するヴァイオリニストとして、広く尊敬を集めた人でした。この作品も、第3番同様に単一楽章の作品ですが、キロガの卓越した演奏技術が映えるよう、ハバネラのリズムを用い、アルゼンチン・タンゴまで持ち出して盛り上げています。

これらの曲を一晩で演奏するのは、J.S.バッハの無伴奏ヴァイオリンのためのソナタ&パルティータを演奏するのと同じくらいの苦行ですが、本CDは、そうした苦行をやり遂げた記録でもあります。
演奏しているのは、日本人ヴァイオリニストの四方恭子(Kyoko Shikata, 1957-)です。
四方は、ヴォルフガング・マルシュナー門下のヴァイオリニストで、1981年にルートヴィヒ・シュポア国際ヴァイオリン・コンクールで優勝した経歴の持ち主です。この録音時は、1987年からケルン放送交響楽団の、コンサート・ミストレスを務めていました。
札幌のルーテル・ホールで行われたライヴ録音を全く手直しせずにリリースしたとのことで、一気にくたびれずに弾き切り、しかも高い完成度を誇っているというのは、驚異的ですらあります。
生半可な演奏だと、楽譜に書かれた音を実音化する作業で手一杯なのですが、この演奏は、その高度な技術の向こうにあるテンペラメントを見据えたような演奏で、その集中力の高さに、聞いているこちら側の身が引き締まります。
特に、第6番のソナタは、鬼のような弾きっぷりと優雅さが同居していて、思わず目を見開いてしまう出来栄えでした。

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