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1928年の日本ハナゲ學会第3分科會において瓢箪屋蓑吉氏が発表した「傳説の白ハナゲと黑ハナゲの脱色化の判別に關する文化論的一考察 ―ルウブル美術館をくまなく回ろうとして挫折したフレデリツク勅使河原氏の手記を中心に―」を再読したり、検証したりするBLOGではないことは確かなことです。ええ!確かなことですとも!
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CD1:
◈Ludwig van Beethoven: Cello Sonata No.1 in F major, op.5-1
Enrico Mainardi (Vc)
Carlo Zecchi (Pf)
(Rec. 19-20 October 1955, Beethovensaal, Hannover)
◈Ludwig van Beethoven: Cello Sonata No.2 in F major, op.5-2
Enrico Mainardi (Vc)
Carlo Zecchi (Pf)
(Rec. 17-19 October 1955, Beethovensaal, Hannover)
◈Ludwig van Beethoven: Cello Sonata No.3 in A major, op.69
Enrico Mainardi (Vc)
Carlo Zecchi (Pf)
(Rec. 27-29 May 1956, Beethovensaal, Hannover)

CD2:
◈Ludwig van Beethoven: Cello Sonata No.4 in F major, op.120-1
Enrico Mainardi (Vc)
Carlo Zecchi (Pf)
(Rec. 6 & 7 January 1957, Beethovensaal, Hannover)
◈Ludwig van Beethoven: Cello Sonata No.5 in F major, op.120-2
Enrico Mainardi (Vc)
Carlo Zecchi (Pf)
(Rec. 8-10 January 1957, Beethovensaal, Hannover)
◈Ludwig van Beethoven: Sieben Variationen über das Thema "Bei Männnern, Liebe fühlen" aus der Oper "Die Zauberflöte" von Mozart, WoO46
Enrico Mainardi (Vc)
Carlo Zecchi (Pf)
(Rec. 29 & 30 May 1956, Beethovensaal, Hannover)



ルートヴィヒ・ヴァン・ベートーヴェン(Ludwig van Beethoven, 1770-1827)のチェロ・ソナタ全集です。
彼のチェロ・ソナタは全部で5曲ありますが、5曲全曲を一気呵成に作ったわけではありません。
チェロ・ソナタの第1番と第2番に相当するop.5の2曲は、1796年の作品で、フリードリヒ大王の甥にあたるフリードリヒ・ヴィルヘルム2世に献呈されています。
このチェロ・ソナタ2曲に見るベートーヴェンのソナタの書法は、ピアノがガンガン弾く横でチェロがちょっかいを出すような立ち位置になっております。どちらの曲も緩徐楽章を省いた2楽章構成になっておりますが、第1楽章の序奏を長めにとり、緩徐楽章的な役割を割り振っています。
第1番のソナタでは、ピアノの繰り出す和音や低音を補強したり、メロディの合の手を入れたりといった書き方が目立ちますが、第2楽章では、合の手を入れながら積極的にメロディの生成に関わっており、単に旧来的な書法を模倣にとどまらず、チェロとピアノを対等に扱おうとする意志が聴き取れます。
第2番でも、美味しいところはピアノにとられてしまうものの、かなりのメロディをチェロが先取りしており、チェロの役割が増えています。
チェロにある程度の雄弁さを許すこれらの書法は、被献呈者のヴィルヘルム2世がチェロの名手だったことが関係しています。ヴィルヘルム2世は、ジャン=ピエールとジャン=ルイのデュポール兄弟をチェロ奏者として召抱えていて、ベートーヴェンは、特にジャン=ルイのほうと仲良くしていました。
ジャン=ルイは名うてのチェロの名手だったこともあり、その名手と共演する以上、チェロにも見せ場を作らなければならず、さらに献呈先のヴィルヘルム2世もチェロを堪能にするとあれば、なおさらチェロのパートをないがしろにできません。
結果として、旧来的な書法の面影を残しながら、チェロのパートも忙しいソナタが出来上がりました。

第3番のソナタは、4楽章分の内容を3楽章に圧縮したソナタです。
このソナタでは、チェロがピアノの助手にはならず、あくまで対等の立場として振舞います。
第1楽章では、チェロが独力で主題を生み出し、ピアノも積極的にチェロに応じ、火花の散るような熱さを持っています。ピアノが紡ぎだす対位法的な楽句においても、チェロは独立した声部を与えられています。
第2楽章も技巧的にチェロとピアノが絡み合い、聴き手に息をつかせません。
第3楽章の冒頭が、いわば緩徐楽章の代わりとなりますが、大変短く、結局チェロとピアノ肉弾戦の様相を呈します。
精力的に作曲活動を展開していたベートーヴェンならではのエネルギーが存分につぎ込まれた作品といえるでしょう。
元々、ヴァイオリン・ソナタとして構想されていたらしく、その名残は、所狭しと動き回るチェロの高音部の多さに残っています。
いつ初演されたのかは分かりませんが、曲は、趣味でチェロを弾いていたというイグナーツ・フォン・グライヒェンシュタイン男爵に献呈されています。

第4番と第5番に相当するのが、op.120の2曲です。
この曲は、ベートーヴェンの弦楽四重奏曲の初演を数多くこなしたシュパンツィヒ弦楽四重奏団のチェリストだったヨーゼフ・リンケのために作ったとされる作品。1815年に矢継ぎ早に書かれ、ピアノのパートは、出版譜に添えられた献辞から、エルデーティ伯爵夫人マリーの演奏を想定して書かれたと思われています。
第4番は、アダージョの序奏つきのソナタ形式による第1楽章と、アダージョからアンダンテのテンポへと推移する回想的な序奏とソナタ形式の主部をもつ第2楽章から成りますが、この2つの楽章を楽章として扱わず、前半部と後半部からなる単一楽章の作品とみなすこともあります。
第5番のソナタは、急-緩-急の3楽章構成をとり、チェロを主役に引き立てるピアノ書法の美しさが聴きどころです。第2楽章のしっとりた味わいは、この第5番でこそ味わえる醍醐味でしょう。最後は、複雑なフーガで全曲を締めており、ピアニストにとってもチェリストにとっても、一筋縄でいく作品ではありません。

本CDは、エンリコ・マイナルディ(Enrico Mainardi, 1897-1976)とカルロ・ゼッキ(Carlo Zecchi, 1903-1984)の演奏で収録しています。
マイナルディは、イタリアのチェリストで、ジュゼッペ・マグリーニにチェロを師事し、作曲も習得していたチェリストでした。しかし、ベルリン高等音楽院でフーゴー・ベッカーに学んだことから、ドイツ音楽に傾倒し、エトヴィン・フィッシャーやゲオルク・クーレンカンプらとの交流を通して、ドイツのチェロ音楽に一家言を持つ傑物になりました。
チェロの名教師としても知られ、ジークフリート・パルムやミクローシュ・ペレーニといった名チェリストを輩出しています。
ゼッキは、ローマの聖チェチーリア音楽院で作曲を学んだあと、ベルリンに行ってフェルッチョ・ブゾーニとアルトゥル・シュナーベルの薫陶を受けたピアニストです。指揮法もアントニオ・グァルニエリやハンス・ミュンヒらに師事し、指揮者としても活動していました。
マイナルディとは、ドイツ音楽への造詣の深さの点で意気投合しやのか、度々コンビを組んで演奏活動を展開していました。

シリアスな音楽づくりを得意とするマイナルディの渋い味わいと、ゼッキの溌剌としたピアノ演奏は、一見水と油のようでいて、ちょうどいいバランスで噛みあう不思議な演奏です。お互い手の内を知り尽くした安心感があるのか、大きな意見の対立もなく、終始にこやかな演奏であり、テンポのゆったりした部分ではマイナルディに味付けを任せ、テンポの速い個所ではゼッキが音楽の流れを作ってマイナルディがそれに従うという約束事が成立しています。
何もかもを絶妙の役割分担でこなしてしまう二人ですが、火花の散るようなぶつかり合いから何かが生まれるというようなことは、期待できません。
あくまでなかよしな二人の連係プレーの巧みさを楽しむ録音です。

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