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1928年の日本ハナゲ學会第3分科會において瓢箪屋蓑吉氏が発表した「傳説の白ハナゲと黑ハナゲの脱色化の判別に關する文化論的一考察 ―ルウブル美術館をくまなく回ろうとして挫折したフレデリツク勅使河原氏の手記を中心に―」を再読したり、検証したりするBLOGではないことは確かなことです。ええ!確かなことですとも!
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CD1:
◈Georg Friedrich Händel: Organ Concerto No.7 in B flat major, op.7-1
◈Georg Friedrich Händel: Organ Concerto No.8 in A major, op.7-2
◈Georg Friedrich Händel: Organ Concerto No.9 in B flat major, op.7-3
◈Georg Friedrich Händel: Organ Concerto No.10 in D minor, op.7-4
◈Georg Friedrich Händel: Organ Concerto No.11 in G minor, op.7-5
Herbert Tachezi (Org)
Concentus Musicus Wien / Nikolaus Harnoncourt
(Rec. February 1975, Casino Zögernitz, Vienna)


CD2:
◈Georg Friedrich Händel: Organ Concerto No.12 in B flat major, op.7-6
◈Georg Friedrich Händel: Organ Concerto No.1 in G minor, op.4-1
◈Georg Friedrich Händel: Organ Concerto No.2 in B flat major, op.4-2
◈Georg Friedrich Händel: Organ Concerto No.3 in G minor, op.4-3
◈Georg Friedrich Händel: Organ Concerto No.4 in F major, op.4-4
◈Georg Friedrich Händel: Organ Concerto No.5 in F major, op.4-5
◈Georg Friedrich Händel: Organ Concerto No.6 in b flat major, op.4-6
Herbert Tachezi (Org)
Concentus Musicus Wien / Nikolaus Harnoncourt
(Rec. February 1975, Casino Zögernitz, Vienna)



ゲオルク・フリードリッヒ・ヘンデル(Georg Friedrich Händel, 1685-1759)は、ドイツ出身の作曲家ですが、1712年からイギリスに移住し、そのまま帰化してジョージ・フリデリック・ハンデル(George Frideric Handel)を名乗りました。
ヘンデルの作曲の興味は、主にオペラやオラトリオといった舞台音楽にありましたが、ドイツにいた頃は、ヨハン・ゼバスティアン・バッハに比肩しうるオルガニストとしても広く知られていました。ヘンデルは、即興演奏を得意とし、イギリスに渡ってからも、自作のオペラやオラトリオの上演の際には、自分の即興演奏を披露するための協奏曲をアトラクションとして組み込み、音楽家としての名声を高めました。
ヘンデルの作品は、イギリスに渡ってから、出版商のジョン・ウォルシュ親子が主に出版していましたが、ウォルシュは、ヘンデルのオルガン協奏曲の人気に目をつけ、1738年に6曲からなるオルガン協奏曲集(op.4)を刊行しました。この協奏曲集の売れ行きに気を良くしたウォルシュは、続編の協奏曲集を1740年に刊行しましたが、この続編は、2曲のみがオルガン協奏曲で、残りの4曲をヘンデルの旧作をオルガン用に編曲したもので埋めるという杜撰なものでした。この続編は、本来あるべき出版用の作品番号が割り振られておらず、ヘンデルに何の断りも入れずに、ウォルシュが独断で刊行したものと思われます。こうしたことが影響したのか、ヘンデルは、亡くなるまで、オルガン協奏曲の出版を差し控えるようになってしまいました。
ヘンデルの死後、彼の楽譜は、ジョン・クリストファー・スミスが保管していましたが、ウォルシュは、そのスミスの協力を得て、1761年にオルガン協奏曲集(op.7)を出版しました。出版に協力したスミスは、ヘンデルのアシスタントを務め、場合によってはヘンデルの代演もしていました。しかし、現存するヘンデルの自筆譜と出版譜に違いがあることから、スミスの校訂がヘンデルの意図をどこまで汲んでいたか、その点が今日では問題になっています。

ヘンデルのオルガン協奏曲の特徴として、自作を改作したり、他人の作品からメロディを拝借したりしている点が挙げられます。
例えば、op.4に収録されている第6番は、1736年にオラトリオ《アレクサンダーの饗宴》を上演した時にハープ協奏曲としてお披露目された作品で、同じくop.4に収録されている第5番も、作曲者が以前に作ったリコーダー・ソナタの編曲です。ヘンデルにとって、オルガン協奏曲は、自作を聴きに来てくれる聴衆へのサービスであって、厳密に細部まで作り込む作品ではなかったようです。ヘンデル自身が演奏したであろうオルガンのパートも、アドリブの指示をそこかしこに散りばめており、その場の気分に合わせて自由自在に演奏し、聴衆を喜ばせていたヘンデルの在りし日の姿を偲ばせます。
また、ヘンデルがオルガン協奏曲で演奏を想定していたオルガンは、大聖堂に設置されているような大きなパイプ・オルガンではなく、ポジティフ・オルガンという、比較的小規模のパイプ・オルガンではないかと考えられています。自作の歌劇やオラトリオなどを上演する際には、大聖堂ではなく、劇場が用いられます。そうした劇場に常備されていたオルガンは、それほど規模の大きなものは置かれていなかったのではないかと考えられています。ただし、ヘンデルの死後に刊行されたオルガン協奏曲集の第一曲目には、特例としてペダル鍵盤の指定があり、このことから、劇場によっては、ペダル鍵盤も備えた立派なオルガンが配備されていたのではないかと推測されます。

本CDで演奏しているのは、ヘルベルト・タヘツィ(Herbert Tachezi, 1930-)と、ニコラウス・アーノンクール(Nikolaus Harnoncourt, 1929-)の指揮するウィーン・コンツェントゥス・ムジクスです。
独奏のタヘツィが使用したオルガンは、ほとんどの曲でユルゲン・アーレント製が用いられ、件のペダル鍵盤入りの曲では、カール・ブコウ製のオルガンが用いられました。
タヘツィは、オーストリアの鍵盤楽器奏者で、ウィーン音楽院でオルガンやピアノ、作曲から音楽教育学まで学び、さらにフライブルクでフリッツ・ノイマイヤーの薫陶を受けました。18世紀以前の音楽に造詣が深いほか、即興演奏にも秀でており、1958年からは、母校のウィーン音楽院で作曲とオルガンの教授を務め、弟子にはヴォルフガング・ミッテラーやヨハネス・エーベンバウアー等がいます。ウィーン・コンツェントゥス・ムジクスには1963年から参加し、数多くの録音を残しています。
アーノンクールは、ウィーン音楽院でチェロを専攻し、1952年から1969年までウィーン交響楽団のチェロ奏者を務めていた人です。1953年に奥さんのアリスとウィーン・コンツェントゥス・ムジクスを創設(1957年に初の公開演奏)し、時代考証を経た古楽器による演奏の第一人者としての地位を次第に固めていきました。1980年代からは、19世紀以降の作品も積極的に演奏するようになり、今日では世界的な名指揮者としての名声を誇っています。

アーノンクールの指揮するウィーン・コンツェントゥス・ムジクスは、アール・デコを思わせる、アクセントの効いた直線的なサウンドで、隈取りのはっきりした演奏を披露していますが、そのアクセントの付け方が当意即妙なため、無機的な雰囲気に陥ることはありません。また、その直線的なサウンドが、オルガンの発音特性とも合致しています。こうした演奏は、特にヘンデルの没後に刊行された方の協奏曲で成功しているようです。タヘツィのオルガン演奏も、アーノンクールのカッチリとした伴奏を土台にしながら、曲のテンポが破綻しないように装飾音を組み込んでおり、そこに職人芸的な面白さを感じさせてくれます。第11番の協奏曲の第2楽章には、そうしたタヘツィの手堅い装飾テクニックがしっかり刻印されています。
しかし一方で、曲によっては、アーノンクールの熟慮されたアーティキュレーションが裏目に出て、音楽本来のしなやかな流れが阻害されているように思えるものもあります。ハープ協奏曲を原曲とするop.4の第6番など、表情のつけ方が細かすぎて、カリカチュアのようになっています。

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