1928年の日本ハナゲ學会第3分科會において瓢箪屋蓑吉氏が発表した「傳説の白ハナゲと黑ハナゲの脱色化の判別に關する文化論的一考察 ―ルウブル美術館をくまなく回ろうとして挫折したフレデリツク勅使河原氏の手記を中心に―」を再読したり、検証したりするBLOGではないことは確かなことです。ええ!確かなことですとも!
◈George Friedrich Händel: Concerto for Harp and Orchestra in B flat major, op.4-6
◈Carl Ditters von Dittersdolf: Concerto for Harp and Orchestra in A minor
◈Jean Françaix: Jeu Poetique en Six Mouvements
Jutta Zoff (Hp)
Staatskapelle Dresden / Heinz Rögner
(Rec. 11-14 July 1973, Lukas Kirches, Dresden)
ハインツ・レーグナー(Heinz Rögner, 1929-2002)がドレスデン・シュターツカペレ(ドレスデン国立管弦楽団)を指揮して録音した、ハープ協奏曲集です。
ソリストには、このオーケストラの首席ハープ奏者として活躍したユッタ・ツォフ(Jutta Zoff, 1928-)を起用しています。
ドイツ生まれの作曲家ゲオルク・フリードリッヒ・ヘンデル(George Friedrich Händel, 1685-1759)は、1712年にイギリスにわたり、1727年にはイギリスに帰化しています。後半生はイギリス人として生活し、名前もヘンデル(Händel)からハンデル(Handel)へと改めたこともあり、英語読みで「ジョージ・フレデリック・ハンデル」と呼ぶ人もいます。
こういった経緯から、本来「ハンデル」と呼ぶのが正しいはずなのですが、日本ではドイツ国籍のときの名前を使っており、ドイツ人もドイツの作曲家として遇しています。
ヘンデルのop.4は、彼がオラトリオなどの幕間に演奏したオルガン協奏曲のコレクションの第1集ですが、その中でも特に名高いのが、この変ロ長調の協奏曲です。1738年の出版に際して、オルガン協奏曲として出版されたこの曲ですが、初演されたのは、1736年にオラトリオ《アレクサンダーの饗宴》が演奏されたときではないかとされています。
ただし、この曲はクライマックスでオルガンを使うことから、クライマックス演出のために敢えてオルガンを引っ込めてハープを独奏者に据えた協奏曲として演奏したことが分かっています。
ゆえに、この変ロ長調の協奏曲は、ハープで演奏されることも多く、ハープ協奏曲の先駆けと位置づけられています。
オーストリアの作曲家であるカール・ディッタース・フォン・ディッタースドルフ(Carl Ditters von Dittersdolf, 1739-1799)。彼のハープ協奏曲は、オーストリアのピアニストであるカール=ヘルマン・ピルネイ(Karl Hermann Pillney, 1896-1980)がディッタースドルフのピアノ協奏曲からハープ用に仕立て直した曲だそうで、ハーピストたちの重要なレパートリーとしてよく演奏されています。
ウィーンで活躍したディッタースドルフは、モーツァルトの先輩格の作曲家で、古典派音楽を代表する人物でしたが、世代的にハイドンとモーツァルトに挟まれてしまったために、今日では、彼らと同等の知名度を誇るとはいえないようです。
しかし、このハープ協奏曲で奏される優美なメロディは、モーツァルトもかくやと思わせるほどで、世のハーピストたちに愛されるのも納得できる作品です。
収録されている演目は、一気に20世紀へと飛び、ジャン・フランセ(Jean Françaix, 1912-1997)の《6楽章の詩的な遊戯》となります。
この作品は、アメリカ在住のハーピストのパール・チャートクのために1969年に作られたものですが、初演は、本演奏を担当しているツォフが、ハインツ・ボンガルツの伴奏指揮で1972年の10月12日に行っています。
この曲は、子守歌のような序奏、分散和音をちりばめた〈バラビル(小舞踊曲)〉、ハープのグリッサンドを活用したアンダンテ、ヴァイオリンとハープの絡みの妙を聴かせる〈スケルツォ〉、これまでのハープの技巧を組み合わせたロンドを経て、序奏の音楽に戻ってきます。
フランセは終生メロディを捨てることなく、まとまりのいい音楽を書き続けた作曲家でしたが、この曲でも非常に分かりやすく、ドビュッシーの音楽を、より甘くした感じの音楽に仕上がっています。
ツォフのハープは、典雅でありながら、雰囲気に溺れないしっかりとした演奏振りで、特にディッタースドルフの作品では、キリッと引き締まった演奏を聴かせます。
フランセの作品でも、気まぐれなメロディの移ろいを抜群のテクニックで手中に収め、巧みにムード音楽に堕するのを防いでいます。
レーグナー率いるドレスデン・シュターツカペレの伴奏も、ヘンデルのハープ協奏曲ではモダン楽器ながら、とても純度の高い響きでツォフを支えています。ディッタースドルフの作品においても、カチッとしたツォフのハープを包み込む柔和さが忘れられません。
フランセの作品でも、ハープと戯れるような軽妙洒脱なオーケストラ・コントロールが光っており、レーグナーの芸風の多彩さを垣間見ることが出来ます。
ソリストには、このオーケストラの首席ハープ奏者として活躍したユッタ・ツォフ(Jutta Zoff, 1928-)を起用しています。
ドイツ生まれの作曲家ゲオルク・フリードリッヒ・ヘンデル(George Friedrich Händel, 1685-1759)は、1712年にイギリスにわたり、1727年にはイギリスに帰化しています。後半生はイギリス人として生活し、名前もヘンデル(Händel)からハンデル(Handel)へと改めたこともあり、英語読みで「ジョージ・フレデリック・ハンデル」と呼ぶ人もいます。
こういった経緯から、本来「ハンデル」と呼ぶのが正しいはずなのですが、日本ではドイツ国籍のときの名前を使っており、ドイツ人もドイツの作曲家として遇しています。
ヘンデルのop.4は、彼がオラトリオなどの幕間に演奏したオルガン協奏曲のコレクションの第1集ですが、その中でも特に名高いのが、この変ロ長調の協奏曲です。1738年の出版に際して、オルガン協奏曲として出版されたこの曲ですが、初演されたのは、1736年にオラトリオ《アレクサンダーの饗宴》が演奏されたときではないかとされています。
ただし、この曲はクライマックスでオルガンを使うことから、クライマックス演出のために敢えてオルガンを引っ込めてハープを独奏者に据えた協奏曲として演奏したことが分かっています。
ゆえに、この変ロ長調の協奏曲は、ハープで演奏されることも多く、ハープ協奏曲の先駆けと位置づけられています。
オーストリアの作曲家であるカール・ディッタース・フォン・ディッタースドルフ(Carl Ditters von Dittersdolf, 1739-1799)。彼のハープ協奏曲は、オーストリアのピアニストであるカール=ヘルマン・ピルネイ(Karl Hermann Pillney, 1896-1980)がディッタースドルフのピアノ協奏曲からハープ用に仕立て直した曲だそうで、ハーピストたちの重要なレパートリーとしてよく演奏されています。
ウィーンで活躍したディッタースドルフは、モーツァルトの先輩格の作曲家で、古典派音楽を代表する人物でしたが、世代的にハイドンとモーツァルトに挟まれてしまったために、今日では、彼らと同等の知名度を誇るとはいえないようです。
しかし、このハープ協奏曲で奏される優美なメロディは、モーツァルトもかくやと思わせるほどで、世のハーピストたちに愛されるのも納得できる作品です。
収録されている演目は、一気に20世紀へと飛び、ジャン・フランセ(Jean Françaix, 1912-1997)の《6楽章の詩的な遊戯》となります。
この作品は、アメリカ在住のハーピストのパール・チャートクのために1969年に作られたものですが、初演は、本演奏を担当しているツォフが、ハインツ・ボンガルツの伴奏指揮で1972年の10月12日に行っています。
この曲は、子守歌のような序奏、分散和音をちりばめた〈バラビル(小舞踊曲)〉、ハープのグリッサンドを活用したアンダンテ、ヴァイオリンとハープの絡みの妙を聴かせる〈スケルツォ〉、これまでのハープの技巧を組み合わせたロンドを経て、序奏の音楽に戻ってきます。
フランセは終生メロディを捨てることなく、まとまりのいい音楽を書き続けた作曲家でしたが、この曲でも非常に分かりやすく、ドビュッシーの音楽を、より甘くした感じの音楽に仕上がっています。
ツォフのハープは、典雅でありながら、雰囲気に溺れないしっかりとした演奏振りで、特にディッタースドルフの作品では、キリッと引き締まった演奏を聴かせます。
フランセの作品でも、気まぐれなメロディの移ろいを抜群のテクニックで手中に収め、巧みにムード音楽に堕するのを防いでいます。
レーグナー率いるドレスデン・シュターツカペレの伴奏も、ヘンデルのハープ協奏曲ではモダン楽器ながら、とても純度の高い響きでツォフを支えています。ディッタースドルフの作品においても、カチッとしたツォフのハープを包み込む柔和さが忘れられません。
フランセの作品でも、ハープと戯れるような軽妙洒脱なオーケストラ・コントロールが光っており、レーグナーの芸風の多彩さを垣間見ることが出来ます。
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