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1928年の日本ハナゲ學会第3分科會において瓢箪屋蓑吉氏が発表した「傳説の白ハナゲと黑ハナゲの脱色化の判別に關する文化論的一考察 ―ルウブル美術館をくまなく回ろうとして挫折したフレデリツク勅使河原氏の手記を中心に―」を再読したり、検証したりするBLOGではないことは確かなことです。ええ!確かなことですとも!
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◈Pavel Haas: String Quartet No.2. op.7 "Z Opičic Hor"
◈Pavel Haas: String Quartet No.3, op.15
◈Hans Krása: String Quartet
Hawthorne String Quartet
{Ronan Lefkowitz (1st Vn), Si-Jing Huang (2nd Vn)
Mark Ludwig (Vla), Sato Knudsen (Vc)}
(Rec. 7 & 8 September 1996, Antwerpen)



パヴェル・ハース(Pavel Haas, 1899-1944)とハンス・クラーサ(Hans Krása, 1899-1944)は、共にチェコの作曲家です。
両方とも生没年が同じですが、ハースの誕生日は6月21日、クラーサの誕生日は11月30日です。しかし、彼らの命日は、共に10月16日です。何故命日が一緒なのかというと、ナチスのアウシュヴィッツ強制収容所で同じ日にガス室で殺されてしまったからです。
本CDでは、ハースの弦楽四重奏曲第2番《猿の山々から》(1925年作)と、弦楽四重奏曲第3番(1938年作)、そしてクラーサの弦楽四重奏曲(1921年作)が収録されています。

ハースの弦楽四重奏曲第2番に副題としてつけられている「猿の山々」というのは、モラヴィア地方の山々の俗称です。その内容は、ハース流の筆致でモラヴィア地方の人々の暮らしを活写した音楽となっています。
第1楽章と第3楽章は、それぞれ〈風景〉,〈月と私〉というタイトルがつけられており、それぞれ〈馬と馬車と御者〉,〈荒々しい夜〉と名づけられた第2,第4楽章と好対照を成しています。第1、第3楽章は、叙情的な佇まいで緩やかな旋律線を編み上げていく音楽ですが、第3楽章では、微分音とポルタメントを巧みに使い、不気味な律動性を演出しています。第4楽章では、ハースはジャズを意識したらしく、リズム処理にその痕跡を残しています。また、その躍動的な音楽は、大変技巧的で、スリリングですらあります。また、第4楽章では第1楽章や第3楽章の雰囲気も楽章の後半で取り込んでいて、一筋縄ではいかない構成の妙も楽しむことができます。

第3番の四重奏曲は、3楽章形式で斬新さは鳴りを潜めていますが、自作の歌劇《シャルラターン》の動機が埋め込まれたり、チェコの抵抗のシンボルとして知られるコラールが引用されたり、作曲当時行われていた体育競技大会「ソコル大会」の雰囲気を写し取ったりと、チェコ人としてのアイデンティティを強く意識した作品になっています。
当時のチェコスロヴァキア共和国を脅かしていたナチス・ドイツのファシズムに抵抗の意を現した作品と見做すこともできます。この曲からおよそ3年後、ハースはテレジン強制収容所に連行され、1944年にクラーサとともにアウシュヴィッツ強制収容所で殺されてしまうことになりました。

クラーサの作品は、第一次世界大戦が終わってまもなくの頃の作品ですが、ベドルジヒ・スメタナの《売られた花嫁》のメロディを用いるなどの点で、チェコ人としてのアイデンティティの自覚が感じられます。
また一方で、コル・レーニョ(弓の木の部分で弦をたたく奏法)を効果的に使うなど、なかなか実験的なサウンドも楽しめます。それでいて、どこか厳粛な雰囲気を漂わせるのは、クラーサ本人のキャラクターなのかもしれません。

演奏するホーソーン弦楽四重奏団は、ヴィオラを担当するマーク・ルートヴィヒを中心に、ボストン交響楽団に在籍する奏者たちによって1986年に結成された団体です。中心人物であるルートヴィヒは、テレージェンシュタット室内楽財団という財団の創業者でもあります。
テレージェンシュタットというのは、ハースやクラーサら、ナチスによって迫害された作曲家たちが収容されたテレジン強制収容所のことです。この財団は、この強制収容所の名前を冠することで、ナチスによって頽廃音楽の烙印を押され、抹殺されてきた作曲家の作品を評価・普及しようという目的で活動を行っています。
ホーソーン弦楽四重奏団のヴィオラ奏者が、そうした財団のボスである以上、財団の活動に恥じない演奏が期待されます。
ホーソーン弦楽四重奏団は、これらの音楽に要求される高い技術を難なくクリアするだけでなく、深い共感を持って演奏しています。技術的練成度の高さは、ハースの《猿の山々から》の四重奏曲において十二分に示されていますが、第3番の四重奏曲では、その音楽に込められた意味をかみ締めながら演奏しているようであり、高い説得力を獲得しています。クラーサの音楽では、躍動性だけでなく、その音楽の背後にある厳粛な雰囲気にも気を配っており、聴き手に確かな手応えを感じさせます。

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