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1928年の日本ハナゲ學会第3分科會において瓢箪屋蓑吉氏が発表した「傳説の白ハナゲと黑ハナゲの脱色化の判別に關する文化論的一考察 ―ルウブル美術館をくまなく回ろうとして挫折したフレデリツク勅使河原氏の手記を中心に―」を再読したり、検証したりするBLOGではないことは確かなことです。ええ!確かなことですとも!
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◈Jacques Ibert: Divertissement pour Orchestre de chambre
◈Francis Poulenc: Les Biches, Ballet Suite
Paris Conservatoire Orchestra / Roger Désormière
(Rec. June 1951, La maison de la Mutualité)
◈Frédéric Chopin (arr. Roger Désormière): Les Sylphides
Paris Conservatoire Orchestra / Roger Désormière
(Rec. February 1950, La maison de la Mutualité)



ロジェ・デゾルミエール(Roger Désormière, 1898-1963)は、フランスの指揮者であり、エリック・サティを慕って集まったアルクイユ楽派のメンバーとして知られた人でした。
ただ、1951年には麻痺性の疾患のために一切の活動から引退を余儀なくされており、彼の残した録音はあまり多くありません。
本CDでは、そうしたデゾルミエールの録音の中から、ジャック・イベール(Jacques Ibert, 1898-1963)のディヴェルティスマン、フランシス・プーランク(Francis Poulenc, 1899-1963)のバレエ組曲《牝鹿》、フレデリック・フランソワ・ショパン(Frédéric François Chopin, 1810-1849)の《レ・シルフィード》が収録されています。《レ・シルフィード》については、デゾルミエール自身の編曲版が用いられており、この編曲で用いられた作品は、以下の7曲です。

・夜想曲 第10番, op.32-2
・ワルツ 第11番, op.70-1
・マズルカ 第23番 op.33-2
・マズルカ 第46番 op.67-3
・前奏曲 第7番 op.28-7
・ワルツ 第7番 op.64-2
・華麗なる大円舞曲 第1番, op.18

ここに収録されたジャック・イベール(Jacques Ibert, 1898-1963)のディヴェルティスマン、フランシス・プーランク(Francis Poulenc, 1899-1963)のバレエ組曲《牝鹿》、フレデリック・フランソワ・ショパン(Frédéric François Chopin, 1810-1849)のピアノ曲をオーケストラ用にデゾルミエール自身が編曲した《レ・シルフィード》の3曲は、デゾルミエールが引退するちょっと前の演奏です。

イベールのディヴェルティスマンは、元々『イタリアの麦藁帽子』という劇のBGMとして1929年に作曲された作品ですが、1930年に16人編成のオーケストラ用に編曲した作品とのこと。フェリックス・メンデルスゾーンの《真夏の夜の夢》の〈結婚行進曲〉やウィンナ・ワルツのパロディが聴かれ、イベールのユーモア・センスを知ることができます。

プーランクの《牝鹿》は、セルゲイ・ディアギレフ率いるロシア・バレエ団の依頼で1923年に書かれたバレエ音楽です。「牝鹿」というのは、いわゆる「若く可愛い子」の俗語で、サロンでの男女の交わりを描いた作品だとされています。
バレエ音楽は、大概コンサートでも演奏できるよう組曲を用意するのが慣わしで、プーランクもその慣わしに従い、5曲からなる組曲を作りました。デゾルミエールは、さらに第2曲目に〈シャンソン・ダンセ〉という、バレエの終幕近くの音楽を組み込んで演奏しています。

本CDでは、デゾルミエールがパリ音楽院管弦楽団(Orchestre de la Société des Concerts du Conservatoire de Paris)を指揮して録音しています。
パリ音楽院管弦楽団は、しばしば"Paris Conservatoire Orchestra"と略称され、パリ音楽院の学生オーケストラかと勘違いする人がいるかもしれませんが、その正式名称が示すように、パリ音楽院の関係者団体である楽友協会が設立したオーケストラでした。楽員は主にパリ音楽院の教授とOBからなり、ある意味、腕自慢がひしめき合っていたオーケストラだといえます。1828年の創立以来、19世紀に於いては、ドイツ音楽のフランスへの受容の要としての責務を果たしていたオーケストラでした。1967年に文化政策の一環で、パリ音楽院との直接的な関係を離れ、「パリ管弦楽団」として再スタートを切りましたが、パリ音楽院管弦楽団の時代の録音を、もはや戻らぬ過去の遺産として、その独特の味わいを見出して慈しむ音楽愛好家も存在します。
フランスの音楽における文化使節としての自負を持っていたオーケストラだけに、そのサウンドの魅力は一筋縄ではいかないトリッキーな魅力がありますが、イベ-ルのディヴェルティスマンでは、作曲者が辛辣な皮肉を込めたのではないかと思えるほどに、鋭角的な表現が聴かれます。メンデルスゾーンの結婚行進曲をパロディにした個所では、まるで無表情のまま処刑台に上るかのような雰囲気を湛えています。
プーランクの音楽においては、ところどころで遊び心を加えながら、古典的な佇まいの枠にきっちり収めるというアンサンブルの妙が聴きものです。
ショパンの作品編曲も、ワルツやマズルカのリズムの取り方のむずかしさを乗り越えて、しっとりとした美しい叙情を散りばめるくらいの表現能力を感じさせます。
表現者としてのデゾルミエールと、オーケストラの自発性が上手く噛み合った、非常に面白いアルバムと言えるでしょう。

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