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1928年の日本ハナゲ學会第3分科會において瓢箪屋蓑吉氏が発表した「傳説の白ハナゲと黑ハナゲの脱色化の判別に關する文化論的一考察 ―ルウブル美術館をくまなく回ろうとして挫折したフレデリツク勅使河原氏の手記を中心に―」を再読したり、検証したりするBLOGではないことは確かなことです。ええ!確かなことですとも!
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CD1:
◈Paul Hindemith: Concerto for Orchestra, op.38
Berliner Philharmoniker / Paul Hindemith
(Rec. 18 October 1957, Jesus-Christus-Kirche Dahlem, Berlin)
◈Paul Hindemith: Konzertmusik for Piano , Brass and Harps, op.49
Monique Haas (Pf)
Berliner Philharmoniker / Paul Hindemith
(Rec. 17, 19 & 21 October 1957, Jesus-Christus-Kirche Dahlem, Berlin)
◈Paul Hindemith: Symphony "Mathis der Maler"
Berliner Philharmoniker / Paul Hindemith
(Rec. 28-29 September 1957 & 10 October 1955, Jesus-Christus-Kirche Dahlem, Berlin)

CD2:
◈Paul Hindemith: Symphonic Dances
Berliner Philharmoniker / Paul Hindemith
(Rec. 23-24 March 1954, Jesus-Christus-Kirche Dahlem, Berlin)
◈Paul Hindemith: Theme and Variations "The Four Temperaments"
Hans Otto (Pf)
Hans Gieseler (Vn solo)
Members of Berliner Philharmoniker / Paul Hindemith
(Rec. 2-3 October 1955, Jesus-Christus-Kirche Dahlem, Berlin)

CD3:
◈Paul Hindemith: Symphonic Metamorphosis after Themes by Carl Maria von Weber
Berliner Philharmoniker / Paul Hindemith
(Rec. 27-28 September 1955, Jesus-Christus-Kirche Dahlem, Berlin)
◈Paul Hindemith: Ballet Overture "Amor und Psyche"
Berliner Philharmoniker / Paul Hindemith
(Rec. 17, 19 & 21 October 1957, Jesus-Christus-Kirche Dahlem, Berlin)
◈Paul Hindemith: Symphony "Die Harmonie der Welt"
Berliner Philharmoniker / Paul Hindemith
(Rec. 21 & 22 March 1954, Jesus-Christus-Kirche Dahlem, Berlin)
◈Interview with Paul Hindemith on his recording of the Symphony "Mathis der Maler"
(Rec. April 1956, 東京)



ドイツの作曲家、パウル・ヒンデミット(Paul Hindemith, 1895-1963)が、第二次世界大戦後にベルリン・フィルハーモニー管弦楽団を振って録音した、自作自演集です。
ヒンデミットは、どんな楽器でも演奏できると豪語していたほどの楽器通でしたが、特にヴィオリストとして活躍し、必要に応じて指揮者としても活動していました。

本CDでは、以下の曲目が演奏されています。
▨ 管弦楽のための協奏曲(1925年作)
▨ ピアノ、金管楽器とハープの為の協奏音楽(1930年作)
▨ 交響曲《画家マチス》(1934年作)
▨ 交響的舞曲(1937年作)
▨ 主題と変奏《4つの気質》(1940年作)
▨ カール・マリア・フォン・ウェーバーの主題による交響的変容(1943年作)
▨ バレエ序曲《エロスとプシュケ》(1943年作)
▨ 交響曲《世界の調和》(1950-1951年作)
ピアノ、金管楽器とハープの為の協奏音楽については、フランス人ピアニストのモニーク・アース(Monique Haas, 1909-1987)、《4つの気質》については、ハンス・オッテ(Hans Otte, 1926-2007)とハンス・ギーゼラー(Hans Gieseler)の名前が、共演者として記されています。
アースは、ラザール・レヴィとロベール・カサドシュ、ルドルフ・ゼルキンの各氏に師事したピアニストで、特にフランス近代の作品に造詣の深かった人です。
オッテはヴァルター・ギーゼキング門下のドイツ人ピアニストで、作曲家としてもヒンデミットの門下生として活躍していました。ヴァイオリンのソロ部分を担当するギーゼラーは、ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団のコンサート・マスターの一人です。

管弦楽のための協奏曲は、18世紀までに作られていた合奏協奏曲の様式を復活させて作り直そうとする試みの一つです。合奏協奏曲というのは、独奏楽器とオーケストラが協奏するというスタイルが確立される以前に主流だったスタイルで、合奏体を、多人数による「リピエーノ」と少人数による「コンチェルティーノ」に分け、両方の合奏体の掛け合いによって曲を構成させていきます。ヒンデミットは、こうしたバロック音楽の時代のスタイルに思いを馳せました。
しかしヒンデミットは、、単純に合奏協奏曲を再生産するのではなく、自分たちの時代のオーケストラに合わせて換骨奪胎し、技巧的に意匠を凝らした管弦楽曲として、作品を創作しました。この作品で、「管弦楽のための協奏曲」という様式が標榜され、追随した作品が生み出されて行くことになります。

ピアノ、金管楽器とハープのための協奏音楽は、当時ドイツにも流入していたジャズの影響を感じさせる作品。ハープ2台と10の金管楽器をバックに、ピアノが活躍するという趣向の作品です。「協奏音楽」というのは、「演奏会用音楽」とも訳されますが、この用語でもって、ヒンデミットは管弦楽のための協奏曲のスタイルをより一層推し進めて新しい音楽様式を作ろうとしていたようです。それぞれのパートに均一に高い難易度を割り振り、全ての奏者にソリストとしての技術を発揮させるというのが、「協奏音楽」の目的でした。どんな楽器でも人並み以上に演奏できると豪語していたヒンデミットならではの発想による音楽と言えます。

交響曲《画家マチス》は、同名の歌劇を交響曲に仕立て直したものです。この交響曲で、歌劇のダイジェスト版としてコンサート・ホールでお披露目し、オペラ・ハウスで、当該のオペラを楽しむという趣向のはずでした。
ところが、ヒンデミットの舞台作品は、ナチスの介入で頓挫し、交響曲の身が演奏会場で取り上げられるものの、初演の成功に気を悪くしたナチス当局によって批判にさらされます。この交響曲の初演の指揮を担当したヴィルヘルム・フルトヴェングラーは、ナチスの言い分を言いがかりとして糾弾し、ヒンデミットを擁護したため、すったもんだの挙句に、一時的に公職を追放されています。

交響的舞曲は、バレエ《気高き幻想》の音楽からスピン・アウトさせた作品。
《4つの気質》も、ピアノと弦楽合奏のための作品ながら、当初はバレエ音楽として構想された作品です。
ここでいう「4つの気質」というのは、ヒッポクラテスの胆汁質、粘液質、憂鬱質、多血質という人間の性格の分類法です。ヒンデミットはこの分類法を、それぞれ音楽で表現しようと試みました。

《ウェーバーの主題による交響的変容》は、ウェーバー(Carl Maria von Weber, 1786-1826)の劇音楽《トゥーランドット》や、ピアノ連弾のための作品から主題を拝借して、自由にオーケストレーションを施した作品。原曲がそれとは分からなくなるくらいに弄っているところに、ヒンデミットの面白さがあります。

序曲《エロスとプシュケ》は、ヒンデミットがイタリアに立ち寄った際に、ラファエロ・サンティの絵画を見て、そのインスピレーションから作曲した管弦楽曲です。一応バレエ音楽として構想していたらしく、副題として「バレエのための序曲」とされています。

最後に収録されている《世界の調和》の交響曲は、同名のオペラを元にした作品。バーゼル室内管弦楽団から、創立25年の記念に作品を書いてほしいと言われて、この作品を作ったのだとか。
しかし、元になったオペラは、1936年ごろから作曲に着手していたものの、なかなか作品として完成せず、1957年になってようやく脱稿しています。

指揮者としてのヒンデミットは、それほど卓越した人ではありませんでした。しかし、ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団と録音した一連の作品の演奏は、オーケストラの技量に支えられ、なかなか目鼻立ちの整った演奏に仕上がっています。意外とクライマックスを作り上げて盛り上がるようなアプローチが多く、一時期新即物主義に傾倒したものの、その根底にはロマンティークが据えられているのかもしれません。

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