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1928年の日本ハナゲ學会第3分科會において瓢箪屋蓑吉氏が発表した「傳説の白ハナゲと黑ハナゲの脱色化の判別に關する文化論的一考察 ―ルウブル美術館をくまなく回ろうとして挫折したフレデリツク勅使河原氏の手記を中心に―」を再読したり、検証したりするBLOGではないことは確かなことです。ええ!確かなことですとも!
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◈Camille Saint-Saëns: Sonata for Oboe and Piano in D major, op.166
◈Francis Poulenc: Sonata for Oboe and Piano
◈Eugène Bozza: Fantasie Pastorale for Oboe and Piano, op.37
◈Henri Dutilleux: Sonata for Oboe and Piano
◈Richard Rodney Bennett: After Srynx
Hansjörg Schellenberger (Ob)
Rolf Koenen (Pf)
(Rec. 2-3 September 1988, Jesus-Christus-Kirche Dahlem, Berlin)



ハンスイェルク・シェレンベルガー(Hansjörg Schellenberger, 1948-)とロルフ・ケーネン(Rolf Koenen, 1946-)による、フランスのオーボエ・ソナタ集。
シェレンベルガーはマンフレート・クレメントの門下のドイツ人オーボエ奏者です。ハインツ・ホリガーにも学んでおり、バロック音楽から同時代の作品まで、幅広いレパートリーを持っています。本録音時は、ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団の首席奏者を務めていました。
ピアノ伴奏のケーネンもドイツの人で、フォルクヴァング音楽大学でデトレフ・クラウスに師事した後、マリア・ティーポやルートヴィヒ・ホフマンらの薫陶を受けています。

本CDでは、カミーユ・サン=サーンス(Camille Saint-Saëns, 1835-1921)と、フランシス・プーランク(Francis Poulenc, 1899-1963)と、アンリ・デュティユー(Henri Dutilleux, 1916-)の各オーボエ・ソナタと、ウジェーヌ・ボザ(Eugène Bozza, 1905-1991)の《ファンタジー・パストラール》、リチャード・ロドニー・ベネット(Richard Rodney Bennett, 1936-)の《アフター・シランクス》を収録しています。

サン=サーンスのオーボエ・ソナタは、クラリネット・ソナタやバソン・ソナタとともに、作曲者の没年に作曲された作品です。
最晩年のサン=サーンスは、6曲のソナタを書く計画を立てていたようですが、結局3曲書き上げたところで亡くなってしまいました。
オーボエ・ソナタは3つの楽章から成り、第1楽章は、程よく力の抜けた簡素な音楽になっています。第3楽章に至って、効率よく音符を敷き詰める本来のサン=サーンスの作風を示しますが、第2楽章は、沈みゆく夕日を眺めるような静けさを感じさせます。
この作品は、パリで活躍していたオーボエ奏者のルイ・バスに献呈されました。

プーランクのオーボエ・ソナタは、1962年に作曲された作品。親友だったセルゲイ・プロコフィエフの思い出に捧げられました。翌年の1月末には作曲者が亡くなってしまい、その年の6月8日にピエール・ピエルロのオーボエとジャック・フェヴリエのピアノにより、ストラスブールで初演されました。
作品は、プロコフィエフのバレエ音楽《ロミオとジュリエット》を下敷きにしており、「悲歌」と名付けられた第1楽章の冒頭と最後の和音は、このバレエ音楽で主人公たちの死を表現する和音としてプロコフィエフが使っていたものを使っています。
また、第2楽章の中間部では、当該のバレエ音楽からの引用が認められます。第3楽章は、「嘆き」と称する変奏曲形式の楽章。悲しみにくれながら、祈りをささげるような静謐さが、曲全体の雰囲気を支配しています。

ボザの《ファンタジー・パストラール》は、1939年に書かれた作品で、パリ音楽院の卒業試験用に用意された作品。わずか5分程度の曲ながら、その演奏効果の高さから、今日では演奏会用のレパートリーとしてよく演奏されるようになっています。

ディティユーのオーボエ・ソナタは1947年に作曲された作品。この作品も、パリ音楽院の卒業試験に使われました。3つの楽章から成り、第1楽章は「アリア」と題して、カノンで曲を展開していきます。第2楽章はスケルツォですが、第1楽章の動機が回想されます。第3楽章は親しみやすいメロディで第2楽章の雰囲気を包み込んだ仕上がり。全ての楽章が有機的に繋がっていて、なかなか興味深い作品です。

ベネットは、このCDでは特別にイギリスの作曲家ですが、クロード・ドビュッシーの無伴奏フルート曲である《シランクス》を元にしています。1982年に作曲された作品で、この作品のあとにも、《シランクス》を元に様々な作品を書いています。
ベネットは、映画音楽を書いたり、ジャズに傾倒したりと、様々な活動を行っていますが、クラシック音楽の作曲家としては、ピエール・ブーレーズの影響を受けています。この作品では、オーボエが、オリヴィエ・メシアンのピアノ曲を思わせるピアノ・パートに触発されながら、《シランクス》のテーマを自由に展開させています。

シュレンベルガーの演奏は、精巧なクリスタルを思わせるケーネンのピアノも相俟って、純度の高い天然の水晶を目の当たりにするような感覚を味わわせてくれます。
サン=サーンスのオーボエ・ソナタを入り口にして、次第に作品を現代化させていきますが、それぞれの演奏がしっかりと練り上げられているので、どこから聴いても散漫さを感じません。
技術的な完成度はさることながら、ベネットの《アフター・シランクス》の妖しげなきらめきを内包した、研ぎ澄まされた音楽には、その美しさに思わず息をのんでしまいます。
ボザのファンタジア・パストラーレも奔放でありながら、どこか緻密さを感じさせ、この曲の演奏はかくあるべしという説得力を持っています。
フランスの雰囲気を味わうというよりは、オーボエとピアノの絶妙な演奏に、ただただ聴き惚れるアルバムといえるでしょう。

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