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1928年の日本ハナゲ學会第3分科會において瓢箪屋蓑吉氏が発表した「傳説の白ハナゲと黑ハナゲの脱色化の判別に關する文化論的一考察 ―ルウブル美術館をくまなく回ろうとして挫折したフレデリツク勅使河原氏の手記を中心に―」を再読したり、検証したりするBLOGではないことは確かなことです。ええ!確かなことですとも!
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◈Jehan Alain: Litanies, JA119
◈Jehan Alain: Variations sur un thème de Clément Janequin, JA118
◈Jehan Alain: Première Fantasie, JA72
◈Jehan Alain: Dexième Fantasie, JA117
◈Jehan Alain: Suite pour orgue, JA69, 70 & 82
◈Jehan Alain: Deux danses à Agni Yavishta, JA77 & 78
◈Jehan Alain: Petit pièce, JA33
◈Jehan Alain: Choral Dorien, JA67
◈Jehan Alain: Choral Phrygien, JA68
◈Jehan Alain: Variation sur Lucis Creator, JA27
◈Jehan Alain: Prélude et Fugue, JA75 & 57
◈Jehan Alain: Premier Prélude "Wieder an", JA64
◈Jehan Alain: Dexième Prélude "Und Jetzt", JA65
◈Jehan Alain: Trois Minutes, JA30-32
Marie-Clair Alain (Org)
(Rec. 6-12 October 1999, Basilique Saint-Ferjeux, Besançon)



フランスの作曲家、ジャン・アラン(Jehan Alain, 1911-1940)のオルガン作品を集めたアルバムです。オルガン・ビルダーで作曲家のアルベール・アランの息子として生まれたJ.アランは、父親の手ほどきでオルガンを習得し、1927年からはパリ音楽院に行き、アンドレ・ブロックとジョルジュ・コサードに音楽理論を、マルセル・デュプレの下でオルガン演奏法を学んでいます。ブロックの和声法とコサードの対位法のクラスで一等賞をとり、さらにオルガンの即興演奏でもプルミエ・プリを得て1939年に卒業しています。しかし、音楽院を卒業後、程なくして第二次世界大戦に従軍し、ソミュールの戦線で戦死してしまいました。
作曲活動は在学中からはじめ、ピアノ曲や合唱曲等を含めて100を超えますが、そのかなりの数を10分に満たない小品が占めます。それらの中でもオルガン用の作品は後世のオルガニスト達のレパートリーに積極的に組み入れられています。
本CDに収録されている演目は以下の通り。
▤ 連祷, JA119 (1937年作)
▤ クレマン・ジャヌカンの主題による変奏曲, JA118 (1937年作)
▤ 幻想曲 第1番, JA72 (1933年作)
▤ 幻想曲 第2番, JA117 (1936年作)
▤ オルガンのための組曲 (1934-1935年作)
- 序奏と変奏曲 (Introduction et variations), JA69
- スケルツォ (Scherzo), JA70
- コラール (Choral), JA82
▤ アニ・ヤヴィシュタの2つの舞曲, JA77 & 78 (1932年作)
▤ 小曲, JA33 (1932年作)
▤ ドリア調のコラール, JA67 (1935年作)
▤ フリギア調のコラール, JA 68 (1935年作)
▤ 創造主の光による変奏曲, JA27 (1932年作)
▤ 前奏曲とフーガ, JA75 & 57 (1935年作)
▤ 前奏曲 第1番 《また新たに》, JA64 (1933年作)
▤ 前奏曲 第2番《そして今》, JA65 (1933年作)
▤ 3つの小品 (1932年作)
- 銀の環 (Un cercle d'argent), JA30
- ロマンス (Romance), JA31
- グラーヴェ (Grave), JA32

《連祷》はJ.アランの名刺代わりとなる作品。元々ギャグ的作品として構想されましたが、妹のマリー=オディールがアルプス登山に出掛けたまま遭難死したのを受けて、シリアスな作品に作り直しています。単旋律の動機を導入にして、その動機に和音をつけ、そうして出来上がった一連の運動を短縮したり引き延ばしたりしています。和音を叩きつけるような激しさは、亡くなった妹への慟哭の表現でしょうか。
J.アランの音楽への興味は、古の音楽にもその手を伸ばしており、《クレマン・ジャヌカンの主題による変奏曲》は、そうした興味の延長線上で作られた作品です。16世紀フランスの作曲家、クレマン・ジャヌカンの作と伝えられたメロディを軸に、自己流の和声をつけなおしたり、メロディのモチーフを対位法に絡ませたりして自由に遊んでいます。余談ながら、J.アランの死後、彼の元にしたメロディはジャヌカンの作ではないことが判明しています。
幻想曲第1番は、オマル・ハイヤームの四行詩集『ルバイヤート』から着想を得て作曲された作品です。表現の題材にしたのは、その第33の歌―「空がぐるぐる巡るので、私は声を上げた。/『幼子が暗闇で迷うなら/それを導く明りは何だ?』/空は答えた『それは目に見えぬ知恵なり』」―です。つまり、流転する空と、空への人の問いかけ、そして空の人への応答をオルガンで描出しようと試みた作品です。
幻想曲第2番のほうは、グレゴリオ聖歌とヘブライ民謡をミックスさせて作り上げた作品。独自のセンスで和声をつけているので、異国風よりも神秘性が勝った不思議な作品に仕上がっています。
J.アランはポール・デュカスとアンリ・ロジェ=デュカスに作曲を教わっていましたが、オルガン組曲は、そうした作曲の学習の成果が結実した作品でした。1936年にこの作品でオルガン楽友賞を獲得しています。曲は〈序奏と変奏曲〉、〈スケルツォ〉、〈コラール〉の3曲からなり、〈スケルツォ〉がこの曲集の山場になるように配置されています。1934年の段階では変奏曲とスケルツォの組み合わせで弦楽四重奏用に書かれていましたが、オルガン用に作り直すにあたって、変奏曲に序奏をつけ、コラールを加えて現在の形にしました。〈コラール〉は、敬虔な祈りというよりは、コラールという作品ジャンルのカリカチュアのような作品になっています。
《アニ・ヤヴィシュタの2つの舞曲》は、1931年の植民地展覧会が契機になった作品。アニ・ヤヴィシュタとは、インド神話に出てくる火の神です。ただし、インドの音楽とは類縁がありません。モチーフの使い方が同じ頃に作られた《魔術幻影》を彷彿とさせますが、この舞曲のほうが洗練され、19世紀的な和声に近い音楽になっています。
《小曲》と題された作品は、「小さな前奏曲、変奏曲とコラール」として計画されましたが、何らかの理由で頓挫し、現在の形に落ち着いています。4分ほどの作品の中に、変奏の痕跡とコラールと思しき部分が残っています。
ドリア調とフリギア調のコラールは、現在の長調・短調の音の配列とは違った、ルネッサンス時代の教会旋法にこだわった作品。しかし、素朴なメロディ・ラインにJ.アランならではのひねりの聴いた和声がつけられています。
《創造主の光による変奏曲》と《前奏曲とフーガ》は、コサードに学んでいる時に課題として作った作品。《創造主の光による変奏曲》は5声からなるポリフォニー音楽として書かれ、グレゴリオ聖歌に基づく主題をフーガ風に処理しています。《前奏曲とフーガ》の前奏曲は、18世紀フランスの作曲家であるルイ・クープランの流儀に則った作品ですが、フーガのほうは、無調音楽に近づいており、音色の選択もアントン・ウェーベルンを彷彿とさせます。
《また新たに》と《そして今》の2つの前奏曲は、アランが病気療養中に書いたものです。前者は、病気になった時期の自分を表し、後者は病状からの回復を表現しています。前者では沈んだ響きが病気の重さを表し、後者の不協和音は病床に伏せることでオルガンに触ることのできないもどかしさや、腕の衰えへの不安などを感じ取ることができるでしょう。これらの作品について、J.アランは「憩いも希望もなく、両手は分厚く硬くなってしまった。その時、少しずつではあるが、手に偉大な生命の鼓動が入り込んできた」とメモを残しています。
《銀の環》、《ロマンス》、《グラーヴェ》の3曲は、1943年に《グラーヴェ》が出版され、《銀の環》と《ロマンス》は1944年に出版され、ピアノ曲としても取り扱われます。本CDで演奏しているJ.アランの妹のマリー=クレール・アラン(Marie-Clair Alain, 1926-)によれば、生前のJ.アランが3曲を束ねて出版する希望を持っていたということで、《3つの小品》として一括りにして録音しています。

M-C.アランは、兄であるJ.アランのオルガン作品を積極的に録音し、この録音は確か2回目のものです。本CDでは、作曲者にゆかりのあるブザンソンのサン=フェルジューの教会にある、ジャン=バティスト・ギス製のオルガンを用いています。
その演奏は、出来るだけまろやかに仕上げるといった風情のもの。《クレマン・ジャヌカンの主題による変奏曲》や《アニ・ヤヴィシュタの2つの舞曲》などは、オルガンの音色と作風が合致して、物腰の柔らかさがあります。ただ、《連祷》は、他のオルガニストたちがするような切れ味鋭い腕の冴えで一気にたたみかけるような戦術を採っていないので、ダイナミックな演奏を期待すると、少々肩透かしを食らうことでしょう。

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