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1928年の日本ハナゲ學会第3分科會において瓢箪屋蓑吉氏が発表した「傳説の白ハナゲと黑ハナゲの脱色化の判別に關する文化論的一考察 ―ルウブル美術館をくまなく回ろうとして挫折したフレデリツク勅使河原氏の手記を中心に―」を再読したり、検証したりするBLOGではないことは確かなことです。ええ!確かなことですとも!
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◈Max Reger: Variations and Fugue on a Theme by Mozart, op.132
◈Max Reger: Variations and Fugue on a Theme by Hiller, op.100
New Zealand Symphony Orchestra / Franz-Paul Decker
(Rec. April 1994, Lower Hutt Town Hall, Wellington)



マックス・レーガー(Max Reger, 1873-1916)はドイツの作曲家です。レーガーは無類の大食漢として知られ、不摂生がたたって43歳で心筋梗塞で亡くなりましたが、イェーナ大学とベルリン大学から名誉博士号を贈られる程の学究肌でもありました。また、1884年からアダルベルト・リンドナーという音楽教師の下でピアノとオルガンの演奏を極め、生前はそれらの第一級の演奏家としても活躍していたことが知られています。作曲家としてのレーガーのきっかけは、1886年に観たリヒャルト・ヴァーグナーの音楽に夢中になったことです。見よう見まねで作品を書き上げたレーガーは、リンドナーを通して音楽理論家のフーゴー・リーマンの評価を得、1890年からリーマンの下で和声や対位法など、作曲の様々な技法を会得していきました。1893年にはフロイデンベルク音楽院でオルガンと和声法の講師ができるほどの研究家になりましたが、1896年に兵役に行って鬱になり、この時期に過食深酒の習慣が身につきました。1898年には退役して実家に戻ってから作曲家として活発に作品を作るようになり、1901年にミュンヘンに行って演奏家・作曲家として華々しく活動をするようになりました。1905年にはミュンヘン音楽院の講師として招聘されましたが、旧弊的な雰囲気に馴染めず、1907年にはライプツィヒ音楽院に転出しています。1911年には、亡くなったハンス・フォン・ビューローの後継としてマイニンゲン宮廷管弦楽団の首席指揮者に任命されていましたが、様々な仕事を掛け持ちしていたため、ストレスから深酒に拍車がかかり、1914年には神経症を発症してマイニンゲンの職を辞めることになりました。その後もスケジュールの多忙化に比例して暴飲暴食を重ね、若くして亡くなってしまう羽目になってしまいました。
本CDで演奏されている《モーツァルトの主題による変奏曲とフーガ》、《ヒラーの主題による変奏曲とフーガ》をきいてみると、その変奏曲からフーガに至るまでの音楽の膨満ぶりが、レーガーの生涯と重なります。《モーツァルトの主題による変奏曲とフーガ》のほうは、ヴォルフガング・アマデウス・モーツァルト(Wolfgang Amadeus Mozart, 1756-1791)のピアノ・ソナタ第11番(K331)の第1楽章から、《ヒラーの主題による変奏曲とフーガ》はドイツ人作曲家のヨハン・アダム・ヒラー(Johann Adam Hiller, 1728-1804)の歌劇《収穫の花束》からそれぞれ主題を拝借しています。これらの変奏曲は、ヨハネス・ブラームスのハイドン変奏曲の着想を援用しています。しかし、和声・対位法の大家だったレーガーならではの偏執的な主題の変奏ぶりは、もはや変奏というよりも変容といったほうが近いもので、簡素で可憐な主題が次第に肥大していく様は、暴飲暴食を繰り返して太っていくレーガーその人を暗示しているかのようです。それぞれの変奏曲につけられたフーガは、一連の変奏曲の肥大ぶりを圧縮したもので、対位法の大家であるレーガーの面目躍如といえます。オーケストラの響きは、さながらアントン・ブルックナーの交響曲の大合奏のような飽和状態ギリギリのところまで追いつめられますが、おなかが満たされるまで食べることをやめなかったレーガーの食事のエピソードと重ね合わせて聴くと、楽しく聴くことが出来るでしょう。

本CDで演奏するのは、>ドイツ人指揮者フランツ=パウル・デッカー(Franz-Paul Decker, 1923-)指揮するニュージーランド交響楽団です。デッカーはケルンの生まれで、生地の音楽院でフィリップ・ヤルナッハとオイゲン・パブストに学んだ人。生前のリヒャルト・シュトラウスと親交を持ち、作曲にも精通している指揮者です。ニュージーランド交響楽団とは、1991年に首席指揮者に就任してからの付き合いで、1996年に退任してからは桂冠指揮者として関係を保っています。
デッカーはどんどん肥大化していくこれらの変奏曲の響きを手際よくまとめ、見通しのはっきりした音楽を作り上げています。特にモーツァルト変奏曲のフーガで、その声部処理の手際良さを堪能することが出来るでしょう。オーケストラの反応も大変よく、ヒラー変奏曲の提示主題のリズムもよく弾んでいます。

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