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1928年の日本ハナゲ學会第3分科會において瓢箪屋蓑吉氏が発表した「傳説の白ハナゲと黑ハナゲの脱色化の判別に關する文化論的一考察 ―ルウブル美術館をくまなく回ろうとして挫折したフレデリツク勅使河原氏の手記を中心に―」を再読したり、検証したりするBLOGではないことは確かなことです。ええ!確かなことですとも!
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CD1:
◈Olivier Messiaen: Vision de l'Amen
John Ogdon (1st Pf)
Brenda Lucas (2nd Pf)
(Rec.1970)

CD2-3:
◈Olivier Messiaen: Vingt Regards sur l'Enfant-Jésus
John Ogdon (Pf)
(Rec. March 1969, London)

CD4:
◈Olivier Messiaen: Catalogue d' Oiseaux (1er livre - 3e livre)
Robert Sherlaw-Johnson (Pf)
(Rec.1972)

CD5:
◈Olivier Messiaen: Catalogue d'Oiseaux (4e livre - 6e livre)
Robert Sharlaw-Johnson (Pf)
(Rec. 1972)

CD6:
◈Olivier Messiaen: Catalogue d'Oiseaux (7e livre)
◈Olivier Messiaen: Cantéyodjayâ
◈Olivier Messiaen: Neumes Rythmique - Études de Rythme
◈Olivier Messiaen: Ile de feu 1 - Études de Rythme
◈Olivier Messiaen: Ile de feu 2 - Études de Rythme
Robert Sharlaw-Johnson (Pf)
(Rec. 1972)



オリヴィエ・メシアン(Olivier Messiaen, 1908-1992)のピアノ曲集です。
このCDボックスでは、ジョン・オグドン(John Ogdon, 1937-1989)とブレンダ・ルーカス(Brenda Lucas)夫妻による《アーメンの幻影》、オグドンによる《幼子イエスへの20の眼差し》、ロバート・シャーロー=ジョンソン(Robert Sharlaw-Johnson, 1932--2000)による《鳥のカタログ》全曲と《カンテヨジャヤ》、そして、《リズムの練習曲》から〈リズムの音譜群〉、〈火の鳥Ⅰ〉と〈火の鳥Ⅱ〉の3曲が収録されています。
どれもメシアンのピアノ作品の重要作品といえます。

メシアンは、フランスの作曲家としてだけでなく、フランスの誇る鍵盤楽器奏者としても活躍した人で、パリ音楽院の教授として数多くの門下生を輩出したことでも知られています。
このCDに収録された曲の名前からも分かるように、神学や鳥類学など、彼の知的好奇心は多方面に及んでいました。
メシアンは、音から色彩を感じる共感覚の持ち主でもあり、彼の音楽は、その共感覚によっても緻密に計算された音楽でした。

《アーメンの幻影》は、第二次世界大戦終末期の混乱の中にあった1943年の作品。戦時中のメシアンは、ドイツ軍の捕虜となり、ザクセンのゲルリッツ収容所で《世の終わりのための四重奏曲》を書いていました。捕虜から解放されたメシアンは、矢継ぎ早に作品を発表し、この《アーメンの幻影》は、そうした時期の所産になります。この《アーメンの幻影》は2台のピアノ用の作品で、1台目のピアノには主に物理的なものの表現を割り振り、2台目のピアノには情念的なものを割り振ったとのこと。この2台のピアノの音色の混交によって、現実世界を映し出し、その果てにある幻影に思いを馳せます。曲は〈創造のアーメン〉、〈星と輪のある惑星のアーメン〉、〈イエスの苦悶のアーメン〉、〈欲求のアーメン〉、〈天使たち、聖者たちと鳥の歌声のアーメン〉、〈裁きのアーメン〉、〈成就のアーメン〉の7曲から成ります。天地創造のエピソードを挟みながら、現世の原罪と、神の被創造者としての生命体の贖罪への渇望、そしてその断罪と救済までをまとめた作品ですが、もしもアレクサンドル・スクリャービンが神智学にのめり込まなかったら、こういう曲を書いたのではないかと思わせる響きを持っています。

《幼子イエスへの20の眼差し》は、《アーメンの幻影》の翌年に作られたピアノ独奏用の作品。曲は〈父なる神のまなざし〉、〈星のまなざし〉、〈交易〉、〈聖母のまなざし〉、〈御子の御子を見るまなざし〉、〈神によりすべては成された〉、〈十字架のまなざし〉、〈高き御空のまなざし〉、〈時のまなざし〉、〈喜びの精霊のまなざし〉、〈聖母の最初の聖体拝領〉、〈全能の御言葉〉、〈ノエル〉、〈天使たちのまなざし〉、〈幼子イエスの口づけ〉、〈預言者と羊飼いと東方の三賢者のまなざし〉、〈沈黙のまなざし〉、〈恐ろしい抹油式のまなざし〉、〈我は眠る、されど心は目覚め〉、〈愛の教会のまなざし〉の20曲から成ります。
メシアンは、既に音楽理論家として、「移調の限られた旋法」や「不可逆なリズム」(回文構造によるリズム法)などの作曲技法を編み出していました。この作品において、自らの共感覚に基づいて、自分の編み出した技法を駆使して色彩的な作品を書こうと試みました。房状に書かれた和音の塊は、教会のステンドグラスの色ガラスの一枚一枚を連想させます。
1956年に書かれた《鳥のカタログ》は、鳥類学者としてのメシアンの興味が音楽と結びついた例です。
メシアンは、これまでにも音楽の中に鳥の鳴き声を模した音型を挟みこむのを好みましたが、ここでは、鳥の鳴き声を素材にした作品を書き上げました。メシアンの鳥への偏愛ぶりは相当なもので、フランスにいる鳥なら、ほぼすべて識別が出来、なおかつ季節や時間帯によって、それぞれの鳥の鳴き声の違いをくまなく調べようとしたほどでした。

《カンテヨジャヤ》は、メシアンが1948年にタングルウッドに行ったときに書いた作品。
メシアンは音楽の三要素の一つであるリズムにも大変な関心を寄せた人で、いろんなところに出かけて、様々なリズムを研究していました。さらには、リズムだけでなく、音の強度や音価自体の組み合わせにも凝るようになり、そうした凝り性は、彼の作品の端々にも見られるものです。このメシアンの凝り性は、のちに音列主義の作曲技法の利用者たちを大いに刺激し、トータル・セリーにまで厳格化されて行きましたが、メシアンは、そこまでの厳格化に否定的だったようです。
なにはともあれ、この《カンテヨジャヤ》は、そうしたメシアンの凝り性の成果として生み出された作品で、明暗の作品の規模の中では小品に属するものです。
この作品で示したスタンスをさらに推し進めた形で、メシアンは1949年からその翌年にかけて《リズムのエチュード》を書き上げましたが、本CDではそのうちの〈リズムの音符群〉、〈火の鳥I〉〈火の鳥II〉が収録されています。

オグドン&ルーカス夫妻による《アーメンの幻影》は、ルーカスのピアノがやや気後れ気味ですが、破れかぶれながら、ひたすら前進しようとするオグドンのピアノが勇ましく、なかなか迫力があります。
ただ、《幼子イエスへの20の眼差し》にもいえることですが、神への信仰告白というよりは、メシアン作品を自分がどれだけ弾くことができるのか挑戦しているような感じで、神秘的な感覚はさほど演奏からは感じられません。実際、オグドンのメシアン作品の演奏は、ミス・タッチも結構指摘されています。

メシアンの助手だったシャーロー=ジョンソンは、音楽学者でもあり、節度を保った演奏で明瞭さを保っています。
《鳥のカタログ》では、精妙にハーモニーを作り上げながら、鳥の鳴き声を模したモチーフをちりばめ、オグドンの演奏とは違った、静寂のある演奏を展開しています。
技巧的に挑戦するのではなく、楽譜に忠実に弾きながらメシアンの意図を掘り起こそうとするかのような演奏であるがゆえに、共感豊かで美しい演奏になっています。

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