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1928年の日本ハナゲ學会第3分科會において瓢箪屋蓑吉氏が発表した「傳説の白ハナゲと黑ハナゲの脱色化の判別に關する文化論的一考察 ―ルウブル美術館をくまなく回ろうとして挫折したフレデリツク勅使河原氏の手記を中心に―」を再読したり、検証したりするBLOGではないことは確かなことです。ええ!確かなことですとも!
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◈Gian Carlo Menotti: Amelia al Ballo
Margherita Carosio (S: Amelia)
Rolando Panerai (Br: Amelia's husband)
Giacinto Prandelli (T: Amelia's lover)
Maria Amadini (A: Amelia's friend)
Enrico Campi (Bs: The Chief of Police)
Silvana Zanolli (Ms: Maid)
Elena Mazzoni (Ms: Maid)
Orchestra & Coro del Teatro alla Scala di Milano / Nino Sanzogno
(Rec. 1954, Milan)



ジャン・カルロ・メノッティ(Gian Carlo Menotti, 1911-2007)は、イタリアのカデリアーノ=ヴィコナーゴというスイス国境付近の町に生まれた作曲家です。7歳で作曲をはじめ、11歳で曲がりなりにもオペラを書き上げるほどの早熟ぶりを示しました。このためミラノのジュゼッペ・ヴェルディ音楽院に進学しています。その後ほどなくして父親が亡くなり、1928年には母親とアメリカのフィラデルフィアに移り住み、カーティス音楽院のロザリオ・スカレロから教えを受けました。本CDに収録されている《アメリア舞踏会へ行く》は、カーティス音楽院に在学中の1937年に書き上げたイタリア語のオペラです。
このオペラは、ホモ友達で同級生のサミュエル・バーバーとヴェネツィアに遊びに行った時、昔の舞踏会の話を聞き、そこから想像を膨らませて書き上げたものとされます。台本は、もちろんメノッティ自身が書きあげています。「アメリア」と「舞踏会」といえば、察しのいい人は、ジュゼッペ・ヴェルディの《仮面舞踏会》を連想する人もいるでしょう。《仮面舞踏会》にしても、この《アメリア舞踏会に行く》にしても、アメリアの不審な行動が事件を巻き起こしている点で共通点があります。このオペラでは、アメリアが自分の主人を「オテロみたいに血の気が多い」と言っていることからも、ヴェルディを意識しているという指摘は、あながち間違っていないのかもしれません。ヴェルディの《仮面舞踏会》のカリカチュアとして本作品を見ると、また違った面白さがあると思います。

なにはともあれ、出来上がった作品は、完成した年のエイプリル・フールにフィラデルフィアのカーティス音楽院内でフリッツ・ライナーの指揮で初演されて好評を博しました。
このオペラの筋書きは以下の通りです。
20世紀初頭のちょっと豪華なアパートでの出来事。
アメリアがメイドたちと舞踏会に行く支度をしているが、なかなか支度が終わらず、女友達はしびれを切らしている。
舞踏会に一緒に行くはずの夫が帰ってきて、アメリアは舞踏会に行こうとするが、夫は急に「舞踏会に行かない」と言いだす。メイドを下がらせて理由を尋ねるアメリアに、夫は一通の手紙を取り出して朗読し始める。それはアメリアの愛人がアメリアにあてて書いたラブレターだった。
怒る夫を前に泣きだしたアメリアだったが、その涙は、単に舞踏会に行けなくなったからだった。浮気相手が誰か白状すれば舞踏会に一緒に行ってもいいと条件を出した夫に、アメリアはあっさりと白状してしまう。浮気相手は上の階に住む口髭の男だった。
夫は、浮気相手のことを聞くや否や、銃を片手に相手のいる階へと飛んで行った。驚いたアメリアは、上の階に住む愛人に逃げるように言い、自分の部屋に招き入れた。恋人は、かくなるうえは駆け落ちをしようとアメリアに提案するが、アメリアは、そんなことをしたら舞踏会に行けなくなると、申し出を一蹴した。
そこに夫が戻ってきて、アメリアの愛人を銃で撃とうとするが、夫の持っていた銃には弾が入っていなかった。
しかたなく、夫と愛人は話し合いで解決しようとするが、アメリアは舞踏会に遅れるので気が気ではない。
口論が終わりそうにないのに腹を立てたアメリアは、夫を花瓶で殴って気絶させ、そこに現れた警官に「そこにいる口髭の男が夫を殴りました」と供述した。夫は病院に担ぎ込まれ、愛人は警察に連行されていく。ふとアメリアは、一緒に舞踏会に行ってくれる相手がいなくなったことに気づき、途方に暮れてしまう。
そこに警官が「私でよければ、舞踏会にお供しましょう」と申し出るので、アメリアは喜んで舞踏会に行くのだった。
近所の人たちは口を合わせて言う。
「女が舞踏会に行くと決めたら、誰も止められないのだ。」
本作品は、1954年の3月24日にミラノのスカラ座に初登場しており、その評判の良さから、録音されたものと思われます。
本録音のキャストは、以下の通りです。
マルゲリータ・カロージオ(アメリア)
ロランド・パネライ(夫)
ジャチント・プランデッリ(愛人)
マリア・アマディーニ(女友達)
エンリコ・カンピ(警官)
シルヴァーナ・ツァノッリ(メイド)
エレナ・マッツォーニ(メイド)
ミラノ・スカラ座合唱団&管弦楽団/ニーノ・サンツォーニョ
カロージオ(Margherita Carosio, 1908-2005)は、イタリアを代表するプリマドンナの一人でした。ただし、彼女の名前は、かのマリア・カラスが出世する上での踏み台として語られることが多いように思います。
1949年のフェニーチェ劇場で、カラスがリヒャルト・ヴァーグナーの楽劇《ラインの黄金》の〈ワルキューレ〉にブリュンヒルデ役で出演していた時、トゥリオ・セラフィンの指名で急遽ヴィンチェンツォ・ベッリーニの《清教徒》のエルヴィーラ役の代役を務めることになりました。カラスは、この2つの役を完璧に歌いこなしたことで、一気に大スターにのし上ったのですが、このベッリーニの《清教徒》のエルヴィーラ役は、本来カロージオが歌うはずだったのでした。カロージオは、この一件でカラスの後塵を拝する形になり、1959年にはオペラ歌手を引退して音楽評論家に転身しています。
しかし、引退するまでは、スカラ座の重鎮であり、そうであればこそ、スカラ座の本作品の初公演で主役に抜擢されたのでしょう。相手役のパネライ(Rolando Panerai, 1924-)は、何をやらせても巧いということで、イタリア本国のみならず、世界中の歌劇場で重用された職人的なバリトン歌手です。
恋敵(?)役のプランデッリ(Giacinto Prandelli, 1914-)も、イタリア・オペラだけでなく、フランス・オペラにも造詣の深い、主役級のテノール歌手として有名で、パネライと同じ様に、ニューヨークのメトロポリタン歌劇場やシカゴ歌劇場などからもオファーがかかるほどの人でした。
カンピ(Enrico Campi, 1919-1976)やアマディーニ(Maria Amadini)なども、スカラ座で活躍した名脇役で、スカラ座としては手堅い人選で録音に臨んだことが窺えます。
指揮者のサンツォーニョ(Nino Sanzogno, 1911-1983)は、ヘルマン・シェルヘン門下のイタリア人指揮者で、スカラ座でアルバン・ベルクやベンジャミン・ブリテンといった、同時代の人たちの作品を積極的に紹介したことで知られています。
メノッティの作品も、同時代の作品に強い指揮者を起用しようということで、サンツォーニョが抜擢されたのだと思います。

カロージオの歌唱は、キャリアでカラスに差をつけられたとはいえ、本作品の魅力を描き出すには、全く問題がありません。軽めの声質は、本作品のコミカルなタッチと絶妙にマッチしています。
最初の部分のアメリアと友人、メイドたちとのやりとりの鮮やかさだけでも、十分ワクワクさせられます。
アメリアの浮気を知った夫を演じるパネライの歌唱も深刻なはずなのにどこかコミカルで、プランデッリのアメリアに愛を歌う悠長なベルカント風のアリアも、その伸び伸びとした歌いっぷりが、かえって笑いを誘います。
サンツォーニョの指揮するスカラ座のオーケストラの冴えた演奏も、作品のスマートなギャグ・センスを十分に生かしています。ただ、最後に出てくる合唱団の反応がいまいち重ったるく、折角の演奏の明快さが腰砕けになってしまいました。

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