1928年の日本ハナゲ學会第3分科會において瓢箪屋蓑吉氏が発表した「傳説の白ハナゲと黑ハナゲの脱色化の判別に關する文化論的一考察 ―ルウブル美術館をくまなく回ろうとして挫折したフレデリツク勅使河原氏の手記を中心に―」を再読したり、検証したりするBLOGではないことは確かなことです。ええ!確かなことですとも!
◈Johannes Brahms: Violin Sonata No.1 in G major, op.78
Toscha Seidel (Vn)
Arthur Loesser (Pf)
Arthur Loesser (Pf)
(Rec. 1931)
◈Johannes Brahms: Violin Sonata No.2 in A major, op.100Toscha Seidel (Vn)
Arthur Loesser (Pf)
Arthur Loesser (Pf)
(Rec. 1926)
◈Edvard Grieg: Violin Sonata No.3 in C minor, op.45Toscha Seidel (Vn)
Arthur Loesser (Pf)
Arthur Loesser (Pf)
(Rec. 1929)
往年の日本の大御所ヴァイオリニストだった江藤俊哉は、その名前を、当時盛名を轟かせていたアメリカ在住のヴァイオリニストであるトーシャ・ザイデル(Toscha Seidel, 1899-1962)の「トーシャ」にあやかったのだとか。
ロシアのオデッサに生まれたザイデルは、レオポルト・アウアーの愛弟子の一人で、アウアーが1918年にアメリカに亡命してきた時、アウアーが一緒に連れてきたのは、このザイデルでした。
アウアーが亡命してくる前年に、同門のハイフェッツがカーネギー・ホールでデビューしており、ハイフェッツを「ヴァイオリンの天使」になぞらえる人は、ザイデルを「悪魔」にたとえていたのだとか。
ハイフェッツの好敵手としてアメリカのキャリアをスタートさせ、1920年代から1930年代にかけて、ザイデルは、ヴァイオリンの大スターへの道をひた走りに走っていました。
本CDに収録されているヨハネス・ブラームス(Johannes Brahms, 1833-1897)とエドヴァルド・グリーグ(Edvard Grieg, 1843-1907)のヴァイオリン・ソナタの録音からも、ザイデルが名ヴァイオリニストしての活動を期待されていたのが分かります。
伴奏を受け持つのは、アメリカ人ピアニストのアーサー・レッサー(Arthur Loesser, 1894-1969)で、ニューヨークの音楽芸術研究所(現:ジュリアード音楽院)でパーシー・ゲチウスとシギスムント・ストヨフスキの薫陶を受けた人。モード・パウエルやミッシャ・エルマンなど、当時の売れっ子ヴァイオリニストの伴奏者を務め、ドイツの名歌手だったエルネスティーネ・シューマン=ハインクからアメリカ演奏旅行での伴奏者として指名されるほどの人でした。
本CDに収録されている演目は、ブラームスのヴァイオリン・ソナタの第1番と第2番、そしてグリーグのヴァイオリン・ソナタの第3番という組み合わせです。
おそらく、ブラームスの第3番のソナタも録音の予定に入っていたのでしょうが、結局実現しなかったようです。
ブラームスの第1番のヴァイオリン・ソナタは1853年に手がけられた作品で、自分の歌曲のメロディを織り込んだ作品。そのため、その織り込んだ歌のタイトルをとって「雨の歌」という副題をつけられることがあります。
ここで演奏される第2番のヴァイオリン・ソナタ(1886年作)も、ブラームスの自作の歌曲が織り込まれており、ヴァイオリンの歌謡性がしっかりと試されています。
グリーグの第3番のソナタは、1886年にイタリアのヴァイオリニストであるテレジーナ・トゥアがトロルドハウゲンにあるグリーグの自宅を表敬訪問したのがきっかけで生まれた作品です。トゥアに失礼のないように、ピアノの技巧のみならず、ヴァイオリンの技巧も十分に盛り込み、演奏効果の上がる名作に仕上げています。
この曲は、トゥアと演奏するはずでしたが、結局スケジュールが合わず、ライプツィヒでの初演はアドルフ・ブロドスキーと作曲者のピアノで行われています。なお、ブロドスキーは、ピョートル・イリイチ・チャイコフスキーのヴァイオリン協奏曲を初演し、積極的に擁護したヴァイオリニストとしても知られています。
閑話休題、ザイデルの演奏は、ライバルだったハイフェッツのスタイルとは違い、共演者との対話を大事にしています。第1番のソナタの第1楽章など、ヴァイオリンの音がクローズ・アップされ気味な録音バランスの不自然さを差し引いても、自分から目立とうという所作が感じられません。
微妙なニュアンスをつけて、レッサーのピアノと積極的に絡み合い、レッサーもヴァイオリンの絶妙な表情付けが引き立つよう、陰影に富んだ表現を聴かせています。
それぞれのソナタの第2楽章では、ザイデルのヴァイオリンのたおやかな音色が曲想とよくマッチしていて、しっとりとした抒情を味わわせてくれます。
ザイデルの演奏は、技巧的な華麗さよりはしっとりとした歌いくちを重視したスタイルですが、決して技巧的な弱さはありません。グリーグのソナタでは、レッサーのピアノと激しく拮抗し、スリルのある演奏に仕上がっています。
ロシアのオデッサに生まれたザイデルは、レオポルト・アウアーの愛弟子の一人で、アウアーが1918年にアメリカに亡命してきた時、アウアーが一緒に連れてきたのは、このザイデルでした。
アウアーが亡命してくる前年に、同門のハイフェッツがカーネギー・ホールでデビューしており、ハイフェッツを「ヴァイオリンの天使」になぞらえる人は、ザイデルを「悪魔」にたとえていたのだとか。
ハイフェッツの好敵手としてアメリカのキャリアをスタートさせ、1920年代から1930年代にかけて、ザイデルは、ヴァイオリンの大スターへの道をひた走りに走っていました。
本CDに収録されているヨハネス・ブラームス(Johannes Brahms, 1833-1897)とエドヴァルド・グリーグ(Edvard Grieg, 1843-1907)のヴァイオリン・ソナタの録音からも、ザイデルが名ヴァイオリニストしての活動を期待されていたのが分かります。
伴奏を受け持つのは、アメリカ人ピアニストのアーサー・レッサー(Arthur Loesser, 1894-1969)で、ニューヨークの音楽芸術研究所(現:ジュリアード音楽院)でパーシー・ゲチウスとシギスムント・ストヨフスキの薫陶を受けた人。モード・パウエルやミッシャ・エルマンなど、当時の売れっ子ヴァイオリニストの伴奏者を務め、ドイツの名歌手だったエルネスティーネ・シューマン=ハインクからアメリカ演奏旅行での伴奏者として指名されるほどの人でした。
本CDに収録されている演目は、ブラームスのヴァイオリン・ソナタの第1番と第2番、そしてグリーグのヴァイオリン・ソナタの第3番という組み合わせです。
おそらく、ブラームスの第3番のソナタも録音の予定に入っていたのでしょうが、結局実現しなかったようです。
ブラームスの第1番のヴァイオリン・ソナタは1853年に手がけられた作品で、自分の歌曲のメロディを織り込んだ作品。そのため、その織り込んだ歌のタイトルをとって「雨の歌」という副題をつけられることがあります。
ここで演奏される第2番のヴァイオリン・ソナタ(1886年作)も、ブラームスの自作の歌曲が織り込まれており、ヴァイオリンの歌謡性がしっかりと試されています。
グリーグの第3番のソナタは、1886年にイタリアのヴァイオリニストであるテレジーナ・トゥアがトロルドハウゲンにあるグリーグの自宅を表敬訪問したのがきっかけで生まれた作品です。トゥアに失礼のないように、ピアノの技巧のみならず、ヴァイオリンの技巧も十分に盛り込み、演奏効果の上がる名作に仕上げています。
この曲は、トゥアと演奏するはずでしたが、結局スケジュールが合わず、ライプツィヒでの初演はアドルフ・ブロドスキーと作曲者のピアノで行われています。なお、ブロドスキーは、ピョートル・イリイチ・チャイコフスキーのヴァイオリン協奏曲を初演し、積極的に擁護したヴァイオリニストとしても知られています。
閑話休題、ザイデルの演奏は、ライバルだったハイフェッツのスタイルとは違い、共演者との対話を大事にしています。第1番のソナタの第1楽章など、ヴァイオリンの音がクローズ・アップされ気味な録音バランスの不自然さを差し引いても、自分から目立とうという所作が感じられません。
微妙なニュアンスをつけて、レッサーのピアノと積極的に絡み合い、レッサーもヴァイオリンの絶妙な表情付けが引き立つよう、陰影に富んだ表現を聴かせています。
それぞれのソナタの第2楽章では、ザイデルのヴァイオリンのたおやかな音色が曲想とよくマッチしていて、しっとりとした抒情を味わわせてくれます。
ザイデルの演奏は、技巧的な華麗さよりはしっとりとした歌いくちを重視したスタイルですが、決して技巧的な弱さはありません。グリーグのソナタでは、レッサーのピアノと激しく拮抗し、スリルのある演奏に仕上がっています。
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