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1928年の日本ハナゲ學会第3分科會において瓢箪屋蓑吉氏が発表した「傳説の白ハナゲと黑ハナゲの脱色化の判別に關する文化論的一考察 ―ルウブル美術館をくまなく回ろうとして挫折したフレデリツク勅使河原氏の手記を中心に―」を再読したり、検証したりするBLOGではないことは確かなことです。ええ!確かなことですとも!
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◈Richard Strauss: Vier letzte Lieder, op.posth
◈Richard Strauss: Muttertändelei, op.43-2
◈Richard Strauss: Waldseligkeit, op.49-1
◈Richard Strauss (arr. Robert Heger): Zueignung, op.10-1
◈Richard Strauss: Freundliche Vision, op.48
◈Richard Strauss: Die heiligen drei Könige, op.56-6
Elisabeth Schwarzkopf (S)
Radio-Symphonie-Orchester Berlin / George Szell
(Rec. 1-3 September 1965, Grunewaldkirche, Berlin)
◈Richard Strauss: Ruhe, meine Seele, op.27-1
◈Richard Strauss: Meinem Kinde, op.37-3
◈Richard Strauss: Wiegenlied, op.41-1
Elisabeth Schwarzkopf (S)
London Symphony Orchestra / George Szell
(Rec. 10-14 & 18 September 1968, Kingsway Hall, London)
◈Richard Strauss: Morgen, op.27-4
Elisabeth Schwarzkopf (S)
Edith Peinemann (Vn)
London Symphony Orchestra / George Szell
(Rec. 10-14 & 18 September 1968, Kingsway Hall, London)
◈Richard Strauss: Das Bächlein, op.88-1
◈Richard Strauss: Das Rosenband, op.36-1
◈Richard Strauss: Winterweihe, op.48-4
Elisabeth Schwarzkopf (S)
London Symphony Orchestra / George Szell
(Rec. 10-14 & 18 September 1968, Kingsway Hall, London)



ドイツの作曲家、リヒャルト・シュトラウス(Richard Strauss, 1864-1949)の歌曲集のアルバムです。
リヒャルト・シュトラウスは、名うての歌曲作家でもあり、数多くの歌曲を作っています。
また、折を見て、自作の歌曲のピアノ伴奏をオーケストラ用に編曲していて、本CDに収録されている歌曲のほとんどが、リヒャルト・シュトラウス本人のオーケストラ伴奏用の編曲で収録されています。

内訳は、以下の通りです。

▨ 4つの最後の歌
▨ 《3つの古いドイツの歌》op.43より第2曲目〈母親の自慢話〉
▨ 《8つの歌》 op.49より第1曲目 〈森の幸福〉
▨ 《8つの歌》 op.10より第1曲目 〈献呈〉
▨ 《5つの歌》 op.48より第1曲目 〈親しき幻〉
▨ 《6つの歌》 op.56より第6曲目 〈東方の三博士〉
▨ 《4つの歌》 op.27より第1曲目 〈憩え、わが魂よ〉
▨ 《6つの歌》 op.37より第3曲目 〈我が子に〉
▨ 《5つの歌》 op.41より第1曲目 〈子守歌〉
▨ 《4つの歌》 op.27より第4曲目 〈明日〉
▨ 《3つの歌》 op.88より第1曲目 〈小川〉
▨ 《4つの歌》 op.36より第1曲目 〈薔薇のリボン〉
▨ 《5つの歌》 op.48より第4曲目 〈冬の捧げもの〉
op.10の《8つの歌》は、1883年から翌年にかけて成立した歌曲集です。この歌曲集は、全てヘルマン・フォン・ギルム(Hermann von Gilm, 1812-1864)というオーストリアの詩人の作を歌詞に用いていますが、第1曲目の〈献呈〉が特に名高く、リヒャルト・シュトラウスの歌曲集のアルバムではしばしば収録されます。
この作品について、本CDでは、伴奏のオーケストレーションを、ドイツ人指揮者のロベルト・ヘーガー(Robert Heger, 1886-1978)が行っています。

op.27の《4つの歌》は、1894年に発表された歌曲集です。ここでは、〈憩え、わが魂よ〉と〈明日〉の2曲がチョイスされていますが、前者の歌詞はドイツの詩人、カール・フリードリヒ・ヘンケル(Karl Friedrich Henckell, 1864-1929)の作品を用い、後者の詩はジョン・ヘンリー・マッケイ(John Henry Mackay, 1864-1933)の詩を用いています。マッケイは、スコットランド生まれの作家ですが、本拠をドイツに定めて活動した人でした。
〈明日〉のオーケストレーションについて、リヒャルト・シュトラウスは巧みにヴァイオリン・ソロを配していますが、このソロは、本CDでは、エディト・パイネマン(Edith Peinemann, 1939-)というドイツの名手がわざわざ起用されています。

op.36の《4つの歌》とop.37の《6つの歌》は、1898年に発表された作品。この年に、リヒャルト・シュトラウスは子供を授かり、op.37を、自分の奥さんであるパウリーネに捧げています。
op.36の曲集に収録された〈薔薇のリボン〉は、18世紀ドイツの詩人、フリードリヒ・ゴットリープ・クロップシュトック(Friedrich Gottlieb Klopstock, 1724-1803)の詩が用いられています。この詩は、かのフランツ・シューベルトも歌曲にしたことがありますが、リヒャルト・シュトラウスは、意匠を凝らして、豪華絢爛な歌曲に仕上げています。
op.37のほうからは〈我が子に〉が選ばれていますが、これはドイツの作家であるグスタフ・ファルケ(Gustav Falke, 1853-1916)の詩によるもの。美しいメロディを殊更優しく織り上げるところに、作曲者の親心が滲み出ています。

op.41の《5つの歌曲》とop.43の《3つの古いドイツの歌》は1899年に発表された歌曲集です。前者の歌曲集からチョイスされた〈子守歌〉は、リヒャルト・デーメル(Richard Dehmel, 1863-1920)によるもの、子供を寝かしつける歌でありながら、最後には夫との夜の営みを恍惚として思い返すあたりが味わい深い作品です。
後者の歌曲集から選ばれた〈母親の自慢話〉はゴットリーブ・アウグスト・ビュルガー(Gottfried August Bürger, 1747-1794)の詩を用いています。美しいメロディをわざと簡素な伴奏で奏でる作品ですが、どこか人を食ったようなところがあります。

op.48の《5つの歌》は1900年の作品。この歌曲集からは、〈親しき幻〉と〈冬の捧げもの〉が収録されています。
〈親しき幻〉はオットー・ユリウス・ビーアバウム(Otto Julius Bierbaum, 1865-1910)というドイツ人作家の詩が用いられています。好きな人と平和に暮らす夢を描いた作品で、ふわっとした聴後感を残します。
〈冬の捧げもの〉は、ヘンケルの詩が用いられています。平易なメロディに複雑な伴奏という、職人芸的な逸品です。歌詞の内容は、愛する二人が愛の前に自分たちを捧げるというものです。

op.49の《8つの歌》は1901年の作。〈森の幸福〉は、デーメルの詩に曲をつけたもの。森の中へ分け入り、こんもりとした森の雰囲気を味わう歌です。うっそうとした茂みを思わせる序奏は、オーケストラの伴奏で聴くと格別のものがあります。

op.56の《6つの歌》は1906年に作曲された歌曲集で、本CDでも歌われる〈東方の三博士〉がとくに有名です。
ハインリヒ・ハイネ(Heinrich Heine, 1797-1856)の詩に曲をつけたこの作品は、そのドラマティックな仕上がりから、好んでオーケストラ伴奏で歌われます。

op.88の《3つの歌》は、1944年に刊行された歌曲集です。しかし、3曲それぞれは、それぞれ別の機会に作られた作品らしく、本CDに収録されている〈小川〉は1933年頃に作曲されたようです。この作品の歌詞の出どころにも謎があり、ヴォルフガング・フォン・ゲーテ(Johann Wolfgang von Goethe, 1749-1832)の詩と伝えられてきましたが、刊行されているゲーテの詩集には、該当作品がなく、最近では作者不詳として扱われるようになってきています。洒脱で簡素な歌曲で、ドラマトゥルギーを計算した壮年期の作風とは異なった芸風を示しています。

《4つの最後の歌》は、本CDの目玉となる歌曲集です。
最晩年の1948年に相次いで書き上げられたこの歌曲集は、〈春〉、〈9月〉、〈眠りにつこうとして〉、〈夕映えの中で〉の4曲からなります。最初に書き上げたのは第4曲目〈夕映えの中で〉で、ヨーゼフ・フォン・アイヒェンドルフ(Joseph von Eichendorff, 1788-1857)の詩を用いています。その後、第1曲目〈春〉が書き上げられ、さらに第3曲目の〈眠りにつこうとして〉を脱稿し、最後に第2曲目の〈9月〉が完成しましたが、この3曲は、どれもヘルマン・ヘッセ(Hermann Hesse, 1877-1962)の詩が使われています。初演は作曲者の死後に、ロンドンのロイヤル・フェスティヴァル・ホールで行われましたが、このときは〈眠りにつこうとして〉、〈9月〉、〈春〉、〈夕映えの中で〉の順で演奏されました。
この歌曲集は、必ずしもリヒャルト・シュトラウスの最後の作品ではありませんが、歌詞の端々に死の予感を感じさせます。
音楽は、壮年期の作品のように手練手管を駆使したものではなく、むしろ淡々としていますが、伴奏のオーケストラの重厚な響きに、オーケストレーションの名手としての作曲者の自負が見え隠れします。
また、作曲者の作品を熟知した人のための仕掛けも施してあり、第4曲目の〈夕映えの中で〉の終結部では、作曲者自身の作った《死と変容》のモチーフがそっと忍ばせてあります。

本CDは、ドイツ人ソプラノ歌手のエリザベート・シュヴァルツコップ(Elisabeth Schwarzkopf, 1915-2006)の独唱と、ジョージ・セル(George Szell, 1897-1970)の指揮するオーケストラの演奏が収録されています。
セルが指揮しているオーケストラは、収録演目の内訳の《4つの最後の歌》から《6つの歌》 op.56より〈東方の三博士〉までがベルリン放送交響楽団(現:ベルリン・ドイツ交響楽団)で、後の曲はロンドン交響楽団です。
《4つの最後の歌》に関して、シュヴァルツコップは、オットー・アッカーマンやヘルベルト・フォン・カラヤンとも録音をしており、特にアッカーマンとの録音が、セルとの録音とよく比較されます。

アッカーマンの録音は、1950年代前半という録音時期もあり、モノラル録音という点で、セルとのステレオ録音に比べて、やや音質面で劣ります。
また、アッカーマンは、ウィンナ・オペレッタを得意とした指揮者であり、伴奏の感触は、ドロッとしたものがあります。
セルの伴奏は、その点あっさりしていて、機能的にオーケストラをコントロールして、キリット引き締まった演奏を展開しています。
シュヴァルツコップの歌唱も、アッカーマンとの録音では、溌剌としていましたが、セルとの録音では、その溌剌さに陰りがみられ、慎重に噛んで含めるような歌い口になっています。アッカーマンとの録音に於いてアッカーマンが引き受けていた斜陽の雰囲気を、今度はシュヴァルツコップ自身が引き受け、セルの伴奏が華やかさを添えるというバランスで実現しています。

シュヴァルツコップの落ち着いた歌唱は、他の歌曲でも一切ぶれず、セルもシュヴァルツコップの微妙な表情の機微に敏感に反応し、ピッタリと張り付くような名伴奏を繰り広げています。適当な演奏がどれ一つとしてない、非常に完成度の高いアルバムと言えるでしょう。

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