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1928年の日本ハナゲ學会第3分科會において瓢箪屋蓑吉氏が発表した「傳説の白ハナゲと黑ハナゲの脱色化の判別に關する文化論的一考察 ―ルウブル美術館をくまなく回ろうとして挫折したフレデリツク勅使河原氏の手記を中心に―」を再読したり、検証したりするBLOGではないことは確かなことです。ええ!確かなことですとも!
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CD1-2:
◈Johan Sebastian Bach: Johannespassion, BWV245
Ferry Gruber (T: Evangelist)
Harald Buchsbaum (Bs: Jesus)
Gisela Rathauscher (S)
Elfriede Hoffstätter (A)
Rudolf Kreuzberger (T)
Walther Berry (Bs)
Wiener Akademie Kammerchor
Wiener Symphoniker / Ferdinand Grossmann
(Rec. August 1950)

CD3-5:
◈Johann Sebastian Bach: Matthäuspassion, BWV244
Erich Majkut (T: Evangelist)
Harold Buchsbaum (Br: Jesus)
Laurence Dutoit (S)
Maria Nussbaumer (A)
Rudolf Kreuzberger (T)
Otto Wiener (Bs)
Wiener Akademie Kammerchor
Kammerorchester Wien / Ferdinand Grossmann
(Rec. around 1954)

CD6-7:
◈Johann Sebastian Bach: Weihnachtsoratorium, BWV248
Erich Majkut (T: Evangelist)
Elisabeth Roon (S)
Dagmar Herrmann-Braunn (A)
Walter Berry (Bs)
Wiener Akademie Kammerchor
Wiener Symphoniker / Ferdinand Grossmann
(Rec. around 1952)

CD8-10:
◈Johann Sebastian Bach: Mass in B minor, BWV232
Friederike Sailer (S)
Margarethe Bence (A)
Fritz Wunderlich (T)
Erich Wenk (Bs)
Schwäbischer Singkreis Stuttgart
Orchester des 35. Deutschen Bachfestes / Hans Grischkat
(Rec. July 1958)



ヨハン・ゼバスティアン・バッハ(Johan Sebastian Bach, 1685-1750)のヨハネ受難曲(BWV245)、マタイ受難曲(BWV244)、クリスマス・オラトリオ(BWV248)、ロ短調のミサ曲(BWV232)の4曲を10枚組のCDに詰め込んだセットです。

「受難曲」というのは、4世紀ごろ以前から、キリスト教の礼拝でイエス・キリストの受難を朗唱するというしきたりから派生した合唱音楽です。
プロテスタント派の間ではこの受難曲が独自に発展し、J.S.バッハが活躍していたころには、オラトリオのような規模の音楽になっていました。J.S.バッハのヨハネ受難曲(BWV245)とマタイ受難曲(BWV244)は、オラトリオ風に発展した受難曲の極みと位置づけられます。

J.S.バッハのヨハネ受難曲は、聖書のヨハネ伝に基づいてキリスト受難を描いた作品です。この作品は、1724年に一旦完成し、その年の4月7日にライプツィヒの聖トーマス教会で初演されたものの、作曲者本人の手で度々改訂が施され、結局1749年に決定稿が成立しました。
この受難曲は、後述のマタイ受難曲に比べると、キリスト受難に対する当時の民衆の反応に重きがおかれ、合唱が充実した作品に仕上がっています。
なお、受難曲としてはオラトリオ化しているため、一応台本作者が歌詞を提供していますが、本作ではその台本の作者が明らかになっていません。

マタイ受難曲は、マタイ伝をベースにした受難曲です。ピカンダー(Picander)ことクリスティアン・フリードリヒ・ヘンリーチ(Christian Friedrich Henrici, 1700-1764)が台本を用意し、1727年4月11日にライプツィヒの聖トーマス教会で初演されました。例によって、作曲者であるJ.S.バッハの手によって何度か改訂を施され、1742年に決定稿が成立しています。
しかし、この作品は、その規模の大きさと演奏の困難さから、作曲者の死後は演奏されなくなり、フェリックス・メンデルスゾーンが1829年に復活上演するまで、私的に試演されるに留まっていました。
また、メンデルスゾーンのこの曲の上演によって、J.S.バッハの業績を中心に、18世紀以前の音楽の研究がなされるようになりました。
なお、J.S.バッハは、このマタイとヨハネの受難曲のほかに、ルカ伝とマルコ伝の受難曲を作ったことが確認されていますが、ルカ受難曲のほうは、J.S.バッハの作品ではないと見做されており、マルコ受難曲のほうは、楽譜が散逸してしまっています。

J.S.バッハのクリスマス・オラトリオ(BWV248)は、1734年に作曲された作品。
「オラトリオ」というのは、日本語で「聖譚曲」と意訳されたように、宗教的題材に基づいた舞台音楽です。元々オラトリオという言葉自体は、礼拝所を意味し、この礼拝所で聖書等の訓読をする際に節をつけたのが、音楽としてのオラトリオの発祥とされます。17世紀ごろにイタリア・オペラとともに発展を遂げたことで、宗教音楽の中でも、オペラに近い音楽になりました。オペラと峻別するべく、出演者はオペラに使うような衣装や道具などは用いず、キリスト教的な題材のみを取り扱うのが原則になりましたが、ドミトリー・ショスタコーヴィチの《森の歌》のように、宗教とは関係のないオラトリオも存在します。
宗教音楽の中では、自由に題材が選べ、曲の形式にも制約がないので、作曲家の創意を活用できます。
J.S.バッハの本作は、6つのカンタータの連作として作曲が行われ、教会暦のクリスマスから顕現祭までの日曜祝日に1つずつ演奏していくものとして構想され、その構想通りに初演されました。

「ミサ曲」は、教会の典礼に沿って作られた音楽を指します。教会の典礼は、大まかに「開祭」、「言葉による典礼」、「聖餐式」の3つの部から成り、ミサ曲を作る時には、「開祭」の「キリエ」(主よ、憐れみ給え)と「グローリア」(天には神の栄光を)、「言葉による典礼」の部分の「クレド」(我は信ず)、「聖餐式」の「サンクトゥス」(感謝の賛歌)と「アニュス・デイ」(神の子羊)の個所に曲をつけます。このそれぞれの部分は、どのミサ曲でもセリフが決まっており、たとえば、「クレド」で使われる言葉は、381年のコンスタンティノープル公会議で採択されたとする「ニケーア信条」が主に使われます。
しかし、それぞれの部分の作曲は、作曲者や典礼の規模によって省略されたり、他の部分が付け加えられたりしているので、その楽曲の規模はまちまちです。
バッハが1749年に作ったロ短調のミサ曲(BWV232)は、「クレド」の部分を「ニケーア信条」と称し、聖餐式の部分では、上記の部分のほかに、「ベネディクトゥス」にも曲がつけられています。

本CDセットは、これら4曲のJ.S.バッハの宗教音楽が詰め込まれており、宗教音楽家としてのJ.S.バッハの仕事のハイライトを味わうことができます。
歌詞対訳や解説は一切ついていませんが、リーズナブルな価格で、これらの代表作を一挙に味わえるのは魅力かもしれません。
収録されている録音のキャストは以下の通りです。
▨ ヨハネ受難曲
フェリー・グルーバー (T:エヴァンゲリスト)
ハラルド・ブックスバウム (Bs:イエス)
ギーゼラ・ラートハウシャー (S)
エルフリーデ・ホーフシュテッター (A)
ルドルフ・クロイツベルガー (T)
ヴァルター・ベリー (Bs)
ウィーン・アカデミー室内合唱団
ウィーン交響楽団/フェルディナント・グロスマン

▨ マタイ受難曲
エーリヒ・マイクート (T:エヴァンゲリスト)
ハラルド・ブックスバウム (Bs:イエス)
ローレンス・デュトワ (S)
マリア・ヌスバウメル (A)
ルドルフ・クロイツベルガー (T)
オットー・ウィーナー (Bs)
ウィーン・アカデミー室内合唱団
ウィーン室内管弦楽団/フェルディナント・グロスマン

▨ クリスマス・オラトリオ
エーリヒ・マイクート (T:エヴァンゲリスト)
エリザベス・ローン (S)
ダグマール・ヘルマン=ブラウン (A)
ヴァルター・ベリー (Bs)
ウィーン・アカデミー室内合唱団
ウィーン交響楽団/フェルディナント・グロスマン

▨ ミサ曲 ロ短調
フリーデリケ・ザイラー (S)
マルガレーテ・ベンセ (A)
フリッツ・ヴンダーリヒ (T)
エーリヒ・ヴェンク (Bs)
シュトゥットガルト・シュヴァーベン聖歌隊
第35回ドイツ・バッハ音楽祭管弦楽団/ハンス・グリシュカート
マタイ受難曲の録音については、1959年とされていますが、音質から勘案すると1940年代から1950年代前半あたりと見積もれる音質であり、別資料では1954年ごろの録音とされています。
また、クリスマス・オラトリオについても、盤元のVOXレーベルでは、1952年の録音とされています。

ヨハネ受難曲からクリスマス・オラトリオまでは、オーストリア人指揮者のグロスマン(Ferdinand Grossmann, 1887-1970)が指揮を担当し、ロ短調のミサ曲はドイツ人指揮者のグリシュカート(Hans Grischkat, 1903-1977)が指揮を担当しています。
グロスマンの録音のほうは、ベリー(Walter Berry, 1929-2000)やグルーバー(Ferry Gruber, 1926-)、マイクート(Erich Majkut, 1907-1976)といった人たちを中心に、オーストリアのオペラ歌手が起用されています。また、ヨハネ受難曲の録音では、別資料ではウィーン音楽院のピアノ科教授として知られたブルーノ・ザイドルホーファー(Bruno Seidlhofer, 1905-1982)がチェンバロで参加しているのだとか。
ただし、VOXレーベルの原盤保存が杜撰なのか、はたまたCDへの復刻がいい加減なのか、あまり丁寧な録音・演奏とは言えません。
グロスマンが指導するウィーン・アカデミー室内合唱団(ウィーン室内合唱団)は、音の粒をそろえた精妙さからは遠く、団員が個々人に声を張り上げている感が強く残ります。しかし、フェリックス・ヴァインガルトナー門下で、オーストリアにおける合唱音楽の権威として知られたグロスマンの意地として、声を張り上げるような合唱ながらも、音程がブレず、声部のテクスチュアも明晰に整えられており、そこそこの出来栄えを示しています。
演奏に最も勢いが感じられるのは、クリスマス・オラトリオで、独唱陣も硬くならず、合唱も張り切った歌唱で、音楽の祝祭的な雰囲気をうまく引き出しています。
2つの受難曲では、オペラ風に歌いたい独唱陣と、理路整然かつ厳粛に音楽をまとめたいグロスマンの意図がぶつかり合い、いまいち座り心地の悪い演奏になっています。よくいえば情熱的な合唱も、その情熱が空回り気味です。マタイ受難曲では、復刻状態も不良で、本CDの4枚目では、不当に音量が小さく絞られている個所があります。

グリシュカートは、テューリンゲン大学で自然科学を専攻したものの、音楽への情熱を捨て切れず、シュトゥットガルトの音楽大学で、宗教音楽の大家だったヘルマン・ケラーに音楽学を学んだ人です。28歳の時には、自分で合唱団を組織し、ロイトリンゲンを自分の活動の中心に定めてからは、合唱団のみならず、シュヴァーベン交響楽団を創設してJ.S.バッハらの音楽を積極的に演奏していました。
本録音は、1958年に開かれたライプツィヒのバッハ音楽祭の時、その音楽祭のオーケストラを使ってセッション録音をしたもの。
グロスマンの録音のように、オペラ歌手で間に合わせることなく、録音のために歌手を吟味し、ドイツ人歌手のザイラー(Friederike Sailer, 1926-)やヴェンク(Erich Wenk, 1923-)、アメリカ人歌手のベンセ(Margarethe Bence, 1930-)など、シュトゥットガルト音楽大学で教鞭をとり、リート歌曲や宗教音楽にも造詣のある歌手たちを起用しています。そして、何よりも、オーストリアの名歌手であるヴンダーリヒ(Fritz Wunderlich, 1930-1966)まで録音に担ぎ出している点に、グリシュカートのこだわりが感じられます。ヴンダーリヒは、ウィーンで活躍する売れっ子のオペラ歌手でしたが、ドイツ歌曲や宗教音楽などにも造詣の深い歌手でした。
このグリシュカートの音源の保存状態は、劣化はしているものの、さほど重大な瑕疵はなく、その堅牢な演奏をしっかり楽しむことができます。
合唱の出来も、グロスマンのものに比べると、グリシュカートの手兵の合唱団は響きの純度が高く、表現も多彩です。
本録音は、ヴンダーリヒの歌唱のみが素晴らしいというわけではなく、全てにおいてぬかりがありません。

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