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1928年の日本ハナゲ學会第3分科會において瓢箪屋蓑吉氏が発表した「傳説の白ハナゲと黑ハナゲの脱色化の判別に關する文化論的一考察 ―ルウブル美術館をくまなく回ろうとして挫折したフレデリツク勅使河原氏の手記を中心に―」を再読したり、検証したりするBLOGではないことは確かなことです。ええ!確かなことですとも!
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◈Franz Schubert: Symphony No.9 in C major, D444 "The Great"
Tbilisi Symphony Orchestra / Jansug Kakhidze
(Rec. Unknown)



オーストリアの作曲家、フランツ・シューベルト(Franz Schubert, 1797-1828)の交響曲は、未完成のものを除くと7曲になります。このCDでは、”No.9(7)”という表記が用いられているのは、19世紀の大昔のこの曲のナンバリングが第7番だったことに由来します。
シューベルトが書きかけのまま放置した交響曲は、1811年作、1818年作、1820年初頭作、1828年作のニ長調4作と1821年作のホ長調、そして《未完成》交響曲として知られるロ短調の作品の存在が確認されています。さらに、シューベルトの友人の書簡でのみ登場するグムンデン・ガシュタイン交響曲を加えると14曲という計算になります。
かつては完品の7曲に通し番号を割り振ったことで、本CDに収録の交響曲が第7番となり、人気の高い《未完成》交響曲を第8番に据えていましたが、未完成作品のうち、1821年作のホ長調の交響曲はフェリックス・ヴァインガルトナーが編作したことで、そのヴァインガルトナー編作の交響曲が第7番になり、元々第7番だったこの交響曲が第9番として扱われることになりました。一頃、幻のグムンデン・ガシュタイン交響曲を第9番に据えて、この交響曲を第10番と呼ぼうとしたこともありましたが、これはあまり定着しなかったようです。
しばらくこの交響曲は「第9番」で定着していましたが、ヴァインガルトナーの編作したものの元々のスケッチが、本当に交響曲として構想されたものか疑わしいということでナンバリングから外され、1978年に国際シューベルト協会が改訂したナンバリングでは、これまで第8番だった未完成交響曲が第7番になり、これまで第9番だった本CDの交響曲は第8番になりました。また、今日ではグムンデン・ガシュタイン交響曲は、本CDに収録されている交響曲のことではないかと考えられるようになっています。
国際シューベルト協会が改訂する前のナンバリングでレコードが流布していることもあって、今日でもナンバリングの認識が錯綜しているのが実情です。本CDに収録されている交響曲は、1817年ごろに作られた同じくハ長調の交響曲第6番よりも規模が大きいので、第6番と区別するために《グレイト(ザ・グレート)》というニックネームが昔から出版社の都合でつけられています。
《グレイト》交響曲は、1825年頃に作曲されましたが、演奏される当てがあって作曲されたものではないようです。1826年に、シューベルトはウィーン楽友協会に送付して、演奏の計らいが受けられることを期待しましたが、60分規模の作品に驚いた協会側は、シューベルトに謝礼こそ払ったものの、演奏不可能の判断を下されてしまいました。1828年に再提出してみたものの、結果は同じで、シューベルトが亡くなるまで、この作品はお蔵入りにされてしまいました。
1839年になって、ロベルト・シューマンがシューベルト邸を表敬訪問し、シューベルトの兄のフェルディナントを通じてこの曲を発見してから、この曲の存在が公に知られるようになりました。1839年3月21日にフェリックス・メンデルスゾーンの指揮でライプツィヒで初演され、なおかつシューマンが熱烈にこの曲を称賛したことで、この曲は、シューベルトの交響曲の中でも一番最初に公刊された作品になりました。

本CDで演奏するのは、ヤンスク・カヒーゼ(Jansug Kakhidze, 1936-2002)の指揮するトビリシ交響楽団の演奏です。カヒッゼはトビリシ音楽院でギリシャ出身のオディッシー・ディミトリアディスに指揮法を学んだ人。イーゴリ・マルケヴィチの下でも研鑽を積み、1957年には自分で声楽アンサンブルを結成して指揮活動を展開しました。1962年のトビリシ歌劇場、1973年のウッチ歌劇場の指揮者を経て1975年からグルジア国立交響楽団の首席指揮者を務めていました。トビリシ交響楽団は、1993年にカヒーゼが創設したオーケストラで、カヒーゼが亡くなった後は、息子のヴァフタンク・カヒーゼが後を引き継いでいます。
カヒーゼは、旧ソ連ではエフゲニー・ムラヴィンスキーと互角に渡り合うくらいの名声を持っていた指揮者ですが、演奏の出来にムラのあった人でもあったようです。この《グレイト》は、所々でオーケストラ団員の腕前に怪しさが顔を覗かせ、第1楽章の主部など、やや金管セクションと弦楽セクションのバランスが悪いところもありますが、概ね無難に纏まっています。第2楽章は、トビリシ交響楽団のやや暗めの音色がマッチして雰囲気のある演奏に仕上がっています。第3楽章はよほど練習して収録に臨んだのか、リズムに弾力性があり、聴き応えがあります。ただし、第4楽章は、終結部の響きが軽く、これまでの音楽を収斂させるには説得力不足の感があります。全体的には、この作品の享楽的な美しさをしっかりと掬い上げているので、1000円というお値段がもったいなく感じるかもしれません。

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