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1928年の日本ハナゲ學会第3分科會において瓢箪屋蓑吉氏が発表した「傳説の白ハナゲと黑ハナゲの脱色化の判別に關する文化論的一考察 ―ルウブル美術館をくまなく回ろうとして挫折したフレデリツク勅使河原氏の手記を中心に―」を再読したり、検証したりするBLOGではないことは確かなことです。ええ!確かなことですとも!
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◈Richard Strauss: Sinfonia Domestica, op.53
Wiener Philharmoniker / André Previn
(Rec. 14 January 1962)
◈Richard Strauss: Parergon zur Sinfonia Domestica, op.73
Gary Graffman (Pf)
Wiener Philharmoniker / André Previn
(Rec. 14 January 1962)



本CDは、ドイツの作曲家、リヒャルト・シュトラウス(Richard Strauss, 1864-1949)の《家庭交響曲》(1903-1904年作)と《家庭交響曲余録》(1924-1925年作)がカップリングされています。R.シュトラウスはオーケストレーションの達人で、どんな題材でも音楽に出来ると豪語していました。この《家庭交響曲》では、自分の家庭の一日を題材にしており、豪語する通りの出来栄えに仕上がっています。

《家庭交響曲》は4部構成で、第一部は登場人物としての自分自身(懐の深い人物として美化)と奥さん、そして2人の間にできた幼い息子を描写し、自分方の叔母と奥さん方の伯父まで現れます。第二部では息子の一人遊びから疲れて眠るまでが描出され、そんな息子を2人で見守る構図も表現されています。第三部は夫婦の夜の時間でまったりと濃密に進行。第四部では子どもが起き、2人が子どもの教育方針を巡って喧嘩をするシーンでクライマックスを迎えます。最後は子どもが喧嘩をとりなして円満解決し、父親の威厳を示して曲を閉じますが、R.シュトラウスの実際の生活は奥さんのパウリーネの尻に敷かれていました。作品は1904年3月21日にニューヨークのカーネギー・ホールにて作曲者自身の指揮とニューヨーク交響楽団によって行われました。
《家庭交響曲余録》は左手ピアノとオーケストラのための作品で、息子が腸チフスを患い、病気から回復するまでを描写しています。余録というだけあって、《家庭交響曲》で使われた息子の主題を巧みに使って自分の息子を象り、ゴージャスなオーケストレーションと独奏ピアノの火花が散るような相克を通して快気へと向かう息子の病状を描いています。この曲は、同じ頃に作られた《アテネの大祭》とともにパウル・ウィトゲンシュタインの依頼を受けて作ったものであり、フリッツ・ブッシュの指揮するドレスデン・シュターツカペレによる1925年10月6日ドレスデンでの初演では依頼者が独奏ピアノを担当しました。出版はR.シュトラウスの死後、1950年に行われましたが、楽譜に「ヴィトゲンシュタイン氏の専有」と記していたため、ヴィトゲンシュタインの生前は、演奏に彼の許可が必要でした。

本CDで演奏するのは、アンドレ・プレヴィン(André Previn, 1929-)の指揮するウィーン・フィルハーモニー管弦楽団です。プレヴィンはドイツはベルリンにアンドレアス・ルートヴィヒ・プリヴィン(Andreas Ludwig Priwin)として生まれています。6歳の頃からシュテルン音楽院でルドルフ・ブライトハウプトの元でピアノを学びましたが、ナチスの台頭で1939年にアメリカに亡命し、10代でジャズ・ピアノ・プレイヤーとして名声を確立しました。一方で、ピエール・モントゥーに指揮法を教わり、1967年にヒューストン交響楽団の音楽監督に就任して指揮活動を本格化させました。その後はロンドン交響楽団やピッツバグ交響楽団、ロサンジェルス・フィルハーモニックやロイヤル・フィルハーモニー管弦楽団などの音楽監督や首席指揮者のポストを歴任。ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団をはじめとする世界各地のオーケストラにも客演し、世界的に押しも押されぬ指揮界の重鎮としてのポジションを確保しています。
《家庭交響曲余録》でピアノを担当するのは、ゲイリー・グラフマン(Gary Graffman, 1928-)です。グラフマンはアメリカのピアニストで、ヨゼフ・ホフマンに師事し、ヴラディミール・ホロヴィッツやルドルフ・ゼルキン等の薫陶も受けています。1979年に右手を故障し、以後左手のピアニストとして活躍していますが、母校のカーティス音楽院でも教鞭をとり、ラン・ランやユジャ・ワンなどを育てました。

本CDの演奏のほうは、ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団の本領発揮といったところ。《家庭交響曲》の第一部から金管セクション(特にトランペット)が豪放に音を飛ばしていますが、それが全くスタンド・プレイに陥らないところに、プレヴィンのバランス感覚の良さとオーケストラの合奏能力の高さが窺えます。オーボエやフルート等の木管セクションのおどけたような仕草にも余裕が感じられ、第三部で弦楽セクションの醸し出す艶めかしさなどにもオーケストラの自信が感じられます。R.シュトラウスの華麗なオーケストレーションの非の打ちどころのない再現は、却って自分の腕前自慢をしたり顔でしているような作曲者のキャラクターの嫌らしさまで想像させます。
《家庭交響曲余録》のほうは、初演者のヴィトゲンシュタインが大オーケストラとの渡り合いに不安を感じた作品ですが、プレヴィンの見事な采配とグラフマンの立派な独奏のおかげで、充分に対話に成功した作品となっています。ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団の豊穣な音色に、グラフマンは安易に飲み込まれず、音楽の流れに果敢に関与し、作品の持つスリル感を見事に引き出すことに成功しています。ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団も、グラフマンをソリストに迎えたことで、自家撞着気味であった《家庭交響曲》に比べて、より一層生き生きとした演奏に仕上がっているように感じられます。

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