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1928年の日本ハナゲ學会第3分科會において瓢箪屋蓑吉氏が発表した「傳説の白ハナゲと黑ハナゲの脱色化の判別に關する文化論的一考察 ―ルウブル美術館をくまなく回ろうとして挫折したフレデリツク勅使河原氏の手記を中心に―」を再読したり、検証したりするBLOGではないことは確かなことです。ええ!確かなことですとも!
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CD1
◈Carl Vine: Symphony No.1 'Micro Symphony'
◈Carl Vine: Symphony No.2
◈Carl Vine: Symphony No.3
Sidney Symphony Orchestra / Stuart Challender
(Rec. May , July and September1990, Sydney Town Hall)
◈Carl Vine: Cerebrare Celeberrime
Sidney Symphony Orchestra / Edo de Waart
(Rec. 17-21 March 1997, Concert Hall of the SydneyOpera House)

CD2:
◈Carl Vine: Symphony No.4.2
Sidney Symphony Orchestra / Edo de Waart
(Rec. 17-19 March 1998, Concert Hall of the Sydney Opera House)
◈Carl Vine: Symphony No.5 'Percussion'
Synergy
Sidney Symphony Orchestra / Edo de Waart
(Rec. July 1996)
◈Carl Vine: Symphony No.6 'Choral'
Sidney Philharmonia Motet Choir
Sidney Symphony Orchestra / Edo de Waart
(Rec. 17-19 March 1998 Concert hall of the Sydney Opera House)



カール・ヴァイン(Carl Vine, 1954-)は、オーストラリアの作曲家です。
テレビ用の音楽からクラシック音楽まで幅広くこなす彼の音楽は、常に躍動性を持っています。
現代音楽特有の不協和音も散見されますが、演奏者に特殊な演奏法を強要することは皆無で、前衛的な試みを期待する人には不向きな作風です。
ヴァインは今までのところ、第1番(1986年作)、第2番(1988年作)、第3番(1990年作)、第4.2番(1998年作)、第5番(1995年作)、第6番(1996年作)の6曲の交響曲を発表しており、本CDは、暫定的なヴァインの交響曲全集となっております。
第4.2番は、元々1995年に交響曲第4番として書き上げられましたが、ヴァインはそのできに満足せず、1998年に改訂を施した結果、4.2という、一風変わった番号付けを行いました。
ヴァインの交響曲は、第1番から第4.2番までの交響曲は単一楽章の作品として仕上げていますが、第5番はパーカッションをふんだんに使った2楽章構成、第6番は4楽章構成の作品になっております。

第1番は、シドニーのユース・オーケストラのために作曲された作品で、ヴァインの交響曲の中では10分程度の小規模な作品となっています。ゆえに、ヴァイン自身が、この曲を《マイクロ・シンフォニー》という副題をつけているとのこと。初演は献呈されたユース・オーケストラが行い、当時ユース・オーケストラの指導をしていたスチュワート・チャレンダー(Stuart Challender, 1947-1991)がタクトを取ったそうです。本演奏でも、チャレンダーがタクトを取り、歯切れのいいサウンドをシドニー交響楽団から引き出しています。

第2番の交響曲は、オーストラリア放送協会の委嘱を受けて作曲された作品で、岩城宏之がメルボルン交響楽団と初演しました。第1番以上に躍動感を前面に打ち出した作品で、エネルギッシュかつ明快な音楽に仕上がっています。チャレンダー指揮するシドニー交響楽団も、リズム感のいい、ノリにノッた演奏を披露しています。

第3番は、チャレンダーとシドニー交響楽団が初演した作品であり、本録音は、初演後間もない時期の録音ということになります。
ヴァインは、リズミックな音楽を得意とし、これまでハリウッド映画のような盛り上がりの音楽語法で交響曲を書いてきましたが、この第3番では叙情的なシーンを加え、作品の風貌に彫りの深さを加えています。

4番目の交響曲をヴァインが発表したとき、ヴァインの作品の理解者だったチャレンダーは、すでにAIDSで亡くなっていました。元々第1番の交響曲を献呈したユース・オーケストラに演奏してもらうつもりで書いたそうですが、すでに触れたように、1998年に改訂して第4.2番などというケッタイな番号付けの交響曲になりました。
苦悩から歓喜という、ルートヴィヒ・ヴァン・ベートーヴェン並みのコンセプト(本CDのブックレットでは「闇から光へ」と説明しています)を、ハリウッド映画みたいなスペクタクル・サウンドで描き出した作品で、シドニー交響楽団は、オランダ人ベテラン指揮者のエド・デ・ワールト(Edo de Waart, 1941-)を招いてエネルギッシュな演奏を繰り広げています。

第5番の交響曲は、先に書いたように、パーカッションに力を入れた交響曲で、デ・ワールト指揮するシドニー交響楽団は、パーカッション・グループのシナジーを招いて演奏しています。
第1楽章は、重々しい前奏のあとに、野生的で躍動感のあるダンス音楽を披露しています。パーカッションが、さながらスパンコールをちりばめたようなキラキラ感を演出しています。中間部では心地よい瞑想的な音楽へと変わり、ただの馬鹿騒ぎな交響曲ではないということをしっかり主張しています。
第2楽章は、パーカッションにイニシアチブをとらせ、第1楽章以上の快活さを聴かせてくれます。シドニー交響楽団も、パーカッションの荒々しい動きによくついていっており、なかなかの好演を繰り広げています。

第6番の交響曲は、ギルドフォード高校から委嘱を受けて作った作品。合唱団だけでなくオルガンまで持ち出して、非常に物々しい交響曲に仕上がっています。本CDでは、デ・ワールト指揮するシドニー交響楽団に、シドニー・フィルハーモニー・モテット合唱団が加わり、純度の高いハーモニーを響かせてくれています。
歌詞は太陽と月と地球を題材にしたギリシャ聖歌を使ってるそうですが、本CDのブックレットには歌詞の記載はありませんでした。
ところどころ、カール・オルフのカルミナ・ブラーナ風だったり、ジョン・ラターの宗教音楽風だったり、ミュージカルのコーラス風だったりと、その音楽のキャラクターが目まぐるしく変わります。総花的にヴァインの音楽の器用さはわかるものの、伝えたい音楽的メッセージの照準が定まらないもどかしさが残ります。ヴァインにしてみれば、交響曲という入れ物に何をどうつめられるかを模索している最中なのでしょう。
今後、ヴァインはどのような交響曲を世に問うてくるのでしょうか?

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