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1928年の日本ハナゲ學会第3分科會において瓢箪屋蓑吉氏が発表した「傳説の白ハナゲと黑ハナゲの脱色化の判別に關する文化論的一考察 ―ルウブル美術館をくまなく回ろうとして挫折したフレデリツク勅使河原氏の手記を中心に―」を再読したり、検証したりするBLOGではないことは確かなことです。ええ!確かなことですとも!
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◈Richard Strauss: Don Juan, op.20
RIAS-Symphonie-Orchester Berlin / Ferenc Fricsay
(Rec. October 1952, Titania-Palast, Berlin)
◈Richard Strauss: Duet-Concertino for Clarinet, Bassoon with String Orchestra and Harp
Heinrich Geuser (Cl)
Willi Fugmann (Fg)
RIAS-Symphonie-Orchester Berlin / Ferenc Fricsay
(Rec. April 1953, Jesus-Christus-Kirche, Berlin)
◈Richard Strauss: Burleske in D minor for Piano and Orchestra
Margrit Weber (Pf)
RIAS-Symphonie-Orchester Berlin / Ferenc Fricsay
(Rec. September 1955, Jesus-Christus-Kirche, Berlin)
◈Richard Strauss: Till Eulenspiegel's Merry Pranks, op.28
Berliner Philharmoniker / Ferenc Fricsay
(Rec. June 1950, Jesus-Christus-Kirche, Berlin)



ハンガリー出身の指揮者であるフェレンツ・フリッチャイ(Ferenc Fricsay, 1914-1963)によるリヒャルト・シュトラウス(Richard Strauss, 1864-1949)作品集です。
R.シュトラウスは豪華絢爛なオーケストレーションで19世紀から20世紀初頭にかけてのドイツ・ロマン派の音楽を担った作曲家で、このCDに収録されている《ドン・ファン》と《ティル・オイレンシュピーゲルの愉快な悪戯》(以下《ティル》と表記)は、彼の代表作です。

《ドン・ファン》は、1889年に発表された交響詩で、ニコラウス・レーナウの詩の内容をオーケストラ音楽として写し取ったものです。同じ頃に出来上がった《マクベス》ではいまいち評判が得られませんでしたが、交響詩の第二作目である本作品では大成功を収めたことから、この《ドン・ファン》はR.シュトラウスの出世作と位置づけられます。
「ドン・ファン」というのは、17世紀スペインの伝説上の女たらしで、ヴォルフガング・アマデウス・モーツァルトの《ドン・ジョヴァンニ》の題材として知られています。
レーナウは、従来のドン・ファン像を覆し、神罰によって地獄に落ちるのではなく、究極の愛を求めて絶望して死んでいく男としてドン・ファンを描きなおしています。
R.シュトラウスの音楽は、金管楽器を存分に咆哮させて精力絶倫なドン・ファンを描写する一方で、物腰の柔らかい弦楽器の所作を織り込み、男性的なものと女性的なものの相克を描いています。最後は、レーナウに従って、生命が燃え尽きるように、静かに曲を閉じます。

《ティル》は1895年に作られた交響詩で、この頃にはすでにドイツ随一の管弦楽法の大家として名を轟かせていました。
この交響詩は、ドイツの伝説上の人物であるティル・オイレンシュピーゲルの様々な悪戯をユーモアたっぷりに表現したもので、縦横無尽なオーケストラの扱いに面白さがあります。
説教師に化けてホラを吹いたり、職人の親方をおちょくったりと、様々な悪戯を繰り広げるティルでしたが、ある女の子に恋をします。色んな悪戯で彼女の気をひこうとしますが、恋は結局失恋に終わり、ティルは自暴自棄に陥ります。その後のティルの悪戯はもはや犯罪行為でしかなく、町の人たちに捕まえられ、死刑に処せられてしまいます。この一連のティルの民話を、R.シュトラウスは独自の技法を駆使してまとめ上げ、オーケストラ・コンサートの演目として定着させました。

《ブルレスケ》は、R.シュトラウス流のピアノ協奏曲とも言うべき作品で、1886年ごろに作られました。
R.シュトラウスは指揮者としても名声を確立した人でしたが、その名声の手助けをしてくれたのが、ハンス・フォン・ビューローでした。ビューローは指揮者としてだけでなく、ピアニストとしても当世随一の腕前を持っていた人で、そのビューローに献呈するために、この曲を書き上げました。
しかし、ビューローはこの曲を演奏至難として自ら演奏することはなく、アイゼナハでの初演の時にはフランツ・リストの弟子のオイゲン・ダルベールがピアノ独奏を受け持っています。

二重小協奏曲と題される作品は、1947年に書き上げられた作品です。
R.シュトラウスは晩年になっても創作意欲は衰えず、この作品でもクラリネットとファゴットの協奏曲という形をとりながら、アンデルセン童話の『王女と熊』(いわゆる美女と野獣の物語)の筋書きを音楽にするという仕掛けを仕組んでいます。
若い頃の音楽と比べると、輝かしさの点では幾分の後退が見られるものの、力んだところのない軽妙洒脱な作風は、年齢的な衰えを感じさせません。

《ドン・ファン》と二重小協奏曲と《ブルレスケ》は、フリッチャイの手兵であるRIAS交響楽団(現:ベルリン・ドイツ交響楽団)による演奏で、二重小協奏曲ではハインリヒ・ゴイザー(Heinrich Geuser, 1910-1996)とウィリ・フークマン(Willi Fugmann)が、クラリネットとファゴットのソロをそれぞれ担当し、《ブルレスケ》ではマルグリット・ウェーバー(Margrit Weber, 1924-2001)がソロを務めています。
ゴイザーとフークマンは共にRIAS交響楽団の首席奏者で、ゴイザーはカール・ライスターの師匠、フークマンはクラウス・トゥーネマンの師匠として知られています。
ウェーバーは、同時代の作曲家の作品紹介に力を注いだスイスのピアニストです。

RIAS交響楽団は、1948年にドイツのアメリカ占領区に作られた放送オーケストラでしたが、ドイツの名手達が数多く集められたこともあって、高い水準を誇っていました。
《ドン・ファン》の演奏は、オーケストラが発足してから、4年ほどしか経っていませんが、同時代のベルリン・フィルハーモニー管弦楽団との《ティル》の演奏と並べてみても、互角かそれ以上の演奏を繰り広げていることが分かります。
2曲の協奏作品でも、一糸乱れぬアンサンブルで複雑なソリストたちとの絡みを処理しており、見事というほかありません。

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