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1928年の日本ハナゲ學会第3分科會において瓢箪屋蓑吉氏が発表した「傳説の白ハナゲと黑ハナゲの脱色化の判別に關する文化論的一考察 ―ルウブル美術館をくまなく回ろうとして挫折したフレデリツク勅使河原氏の手記を中心に―」を再読したり、検証したりするBLOGではないことは確かなことです。ええ!確かなことですとも!
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Nicolò Paganni: Violin Concerto No.1 in D major, op.6
Nicolò Paganni: Violin Concerto No.3 in E major
Ingolf Turban (Vn.)
WDR Rundfunkorchester Köln / Lior Shambadal
(Rec. 27 March - 7 April 2000, Klaus-von-Bismarck-Saal, WDR Köln, Funkhaus)







ニコロ・パガニーニ(Niccolò Paganini, 1782-1840)はイタリアのヴァイオリン奏者兼作曲家です。当時の演奏家は作曲もこなすのが一般的で、自分で演奏する曲を自給自足していました。パガニーニもその例にもれず、自分の商売道具であるヴァイオリンのための作品を多く残しました。
ただし、自らの人気の源であったヴァイオリンの超絶技巧を他人に盗まれることを嫌ったパガニーニは、わざと自筆譜をわかりにくく書いて厳格に管理し、作品の出版についても積極的に事を進めませんでした。パガニーニの死後は、遺族によってその楽譜の多くが紙クズとみなされて処分されてしまい、彼の残した作品の全貌はわからなくなってしまいました。パガニーニのヴァイオリン協奏曲は、現在のところ6曲の存在が確認されており、そのうち第1番から第4番までがパガニーニのオリジナルのオーケストラ伴奏譜つきで発見されていますが、生前に何曲の協奏曲を完成させていたか―少なくとも7曲以上、多く見繕って12曲程度か―正確なところはわかっていません。本CDでは、第1番と第3番の協奏曲が収録されています。

パガニーニの協奏曲は同工異曲で、すべて三楽章構成で成り立っています。後続世代のヴァイオリン協奏曲よりも組み立て方は古風で、第1楽章は典型的な協奏風ソナタ形式をとります。協奏風ソナタ形式は、ソナタ形式の変形です。古典的なソナタ形式においては序奏(これはオプション)、提示部(第一主題と第二主題を提示)、展開部(主題の素材を用いた自由な創作)、再現部(主題の回帰)を経て終結します。協奏風ソナタ形式は、まず、提示部において管弦楽のみによる主題提示を行った後、独奏パートを加えてもう一度主題提示をやり直します。展開部では独奏パートが華麗な技を披露し、再現部に入るまでに独奏者による即興演奏の場面であるカデンツァを挟みます。ちなみに、主題提示においては第一主題と第二主題の間を長調の曲では属調、短調の曲では平行調という調関係で作曲するという不文律がありましたが、パガニーニはその不文律を律儀に守っています。ただパガニーニの場合、ヴァイオリン独奏による主題提示で管弦楽による提示主題をデフォルメしてしまうので、単純な主題提示の反復になりません。その効果的なデフォルメにより、作品にアクロバティックな魅力が備わるようになっています。
第2楽章は歌謡的な三部形式の緩徐楽章。ここで単に超絶技巧だけでなく、カンタービレを表現する楽器としてのヴァイオリンの腕前をパガニーニは示そうとしています。フランツ・シューベルトは、パガニーニの演奏を聴いて「アダージョでは天使の声が聴こえた」とコメントしていますが、この楽章においても、パガニーニのメロディ・メーカーとしての才を確認できます。
第3楽章は主要主題の繰り返しにエピソードを挟んでいくロンド形式をとり、ヴァイオリン独奏が自由奔放に超絶技巧を繰り出します。
パガニーニの協奏曲における伴奏は、刺身の妻のようにあっさりとしています。第1楽章の主題提示で演奏した後は、時折総奏が挟まれるくらいで、ひたすらリズムを刻み、合の手を入れるだけの存在になります。オーケストラの団員にすれば面白みのないところですが、その単純な伴奏の音を綺麗に揃えられるかどうかで、オーケストラのアンサンブル能力が測られることになります。また、リズムの切れ味や合いの手の入れ方が悪いと、今度は指揮者のバトン・テクニックと音楽性が疑われることになります。パガニーニの協奏曲がオーケストラに嫌われるのは、「内容がないから」というのは表向きの理由で、実際は指揮者ともども音楽性を色々と試されるというリスクからです。また、その伴奏も簡素な割にはよく響くように作られており、フェルディナント・パエールとガスパロ・ギレッティに学んだパガニーニの作曲法の素養が生きています。

第1番の協奏曲は、1819年に作曲者本人の独奏によって初演されています。いつ頃この曲が作られたのかは分かりませんが、1818年ごろには完成していたようです。ただし曲が出版されたのはパガニーニの死後の1851年とのこと。この曲のオリジナルは、ヴァイオリン独奏のパートがニ長調で書かれ、オーケストラのパートは独奏ヴァイオリンのパートよりも半音上げて書かれています。これはつまり、独奏ヴァイオリンのパートを半音上げて調弦し、ニ長調の譜面通りに弾くことで変ホ長調になるように仕掛けをしていたということです。現在ではオーケストラのパートはニ長調に移調され、ニ長調の協奏曲として演奏されるのが普通ですが、時折パガニーニのやったように、変ホ長調の曲として演奏することもあります。本CDではニ長調で演奏しています。

第3番の協奏曲は、1828年に演奏したという記録のある作品。1920年代にはパガニーニの子孫が第二楽章だけを切り取ってピアノ伴奏で演奏していたのだとか。その噂を聞きつけたヘンリク・シェリングが1970年代にパガニーニの子孫と連絡を取り、子孫の信頼を勝ち得てパガニーニの遺品からこの曲の全曲を発見したことで、演奏されるようになりました。1973年にロンドンでシェリングの手により公開蘇演されましたが、シェリングが前もってスタジオ録音を残しており、その録音が世界初録音としてしばしば復刻されています。

本CDでヴァイオリン独奏を務めるのは、ミュンヘン・フィルハーモニー管弦楽団のコンサートマスターだったドイツ人奏者、インゴルフ・トゥルバン(Ingolf Turban, 1964-)です。トゥルバンは、ゲルハルト・ヘッツェルにヴァイオリンを学んだあと、アメリカに渡ってドロシー・ディレイやイェンス・エラーマンの薫陶を受けています。1985年にセルジュ・チェリビダッケに見いだされてミュンヘン・フィルハーモニー管弦楽団のコンサートマスターとなり、チェリビダッケから「私がチェリ(Celi)だったら君はトゥルビ(Turbi)だ」と言われるほどのお気に入りになりました。1988年から独奏者としても活動するようになり、1992年からはシュトゥットガルト音楽院で教鞭をとっています。
伴奏は、イスラエル人指揮者のリオール・シャンバダール(Lior Shambadal, 1950-)の指揮するWDR放送管弦楽団(WDR Rundfunkorchester Köln)が務めています。シャンバダールは、カール・メレシュとハンス・スワロフスキーに指揮法を学び、フランコ・フェラーラやカルロ・マリア・ジュリーニのレッスンも受けていました。1980年にイスラエルのハイファ交響楽団の首席指揮者の職を皮切りに、テルアビブ室内管弦楽団やカイザースラウルテン歌劇場の音楽監督を務めてキャリアを積み、1997年から元西ベルリンのベルリン交響楽団の首席指揮者を務めています。
WDR放送管弦楽団は、WDR交響楽団(昔のケルン放送交響楽団)の第二オーケストラとして、1947年にケルン放送局で発足したオーケストラです。確かこのオーケストラは"WDR Funkhausorchester Köln"と名乗っていたはずですが…。

演奏について、1960年代までの演奏にありがちな第1楽章の管弦楽提示部をはじめとしたトラディショナル・カットを廃止しています。またカデンツァはトゥルバンの自作を使っています。
オーケストラは弦楽セクションの鳴りが悪く、クラリネットの音色が不安定で響きがこなれていないのが減点対象になるでしょうか。ただし、音楽の流れ自体はそんなに重ったるいものではなく、シャンバダールの指揮自体はトゥルバンの足を引っ張るものではありません。
トゥルバンの演奏は、身のこなしが華麗というわけではありませんが、フラジョレット(ハーモニクス)と重音奏法のコンビネーションや跳弓スタッカートなどの難所を堅実にこなしています。楽譜に書かれたとおりに演奏することに徹したトゥルバンの奏楽は抜群の安定感があります。ただ、第1番の協奏曲の第2楽章は演劇的な性格の作品なので、もう少し表現意欲の旺盛な演奏で聴いてみたかったところです。

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