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1928年の日本ハナゲ學会第3分科會において瓢箪屋蓑吉氏が発表した「傳説の白ハナゲと黑ハナゲの脱色化の判別に關する文化論的一考察 ―ルウブル美術館をくまなく回ろうとして挫折したフレデリツク勅使河原氏の手記を中心に―」を再読したり、検証したりするBLOGではないことは確かなことです。ええ!確かなことですとも!
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Wolfgang Amadeus Mozart: Piano Concerto No.12 in A major, K414
Wolfgang Amadeus Mozart: Piano Concerto No.18 in B-flat major, K456
Lili Kraus (Pf.)
Boston Symphony Orchestra / Pierre Monteaux
(Rec. 12-13April 1953, Boston Symphony Hall)








ヴォルフガング・アマデウス・モーツァルト(Wolfgang Amadeus Mozart, 1756-1791)は、オーストリアの作曲家。
父親のレオポルト・モーツァルトに鍛えられ、天才作曲家として幼少期から名声を獲得したことから、日本では「神童」などと呼ぶことがあります。
モーツァルトは、通し番号を付ければ、第27番までのピアノ協奏曲を作曲しています。通し番号のない3曲一組のK107のピアノ協奏曲集を含めれば30曲の協奏曲を書いたことになりますが、K107の協奏曲セットと第1番から第4番までの協奏曲は、他人の作品をアレンジしてピアノ協奏曲に仕立て上げた作品です。従って、モーツァルトのオリジナルのピアノ協奏曲は、第5番(K175)から第27番(K595)までの23曲ということになります。

モーツァルトの作品は、ルートヴィヒ・フォン・ケッヒェルという人が1862年に作品目録を作り、作られた年代順に作品を並べて整理番号を割り振りました。この作品整理番号は、ケッヒェルの名前をとって「ケッヘル番号」(Köchelverzeichnis)と呼ばれています。モーツァルトの作品に「K」や「KV」ではじまる番号がつけられていれば、それがケッヘル番号です。このケッヘル番号による目録は、ケッヘルの死後にも加筆されたり訂正されたりして版を重ねていますが、基本的に初版の番号を参照します。
モーツァルトは、生涯にわたって淀みなく作曲活動を続けていたこともあって、ケッヘル番号の数字を25で割って10を足すと、モーツァルトが一体何歳ごろに作品を書いたのかが分かるようになっているそうです。
では、本CDに収録された第12番(K414)と第18番(K456)のケッヘル番号から、何歳ぐらいに作られた作品なのかを推測してみましょう。
第12番のケッヘル番号は414なので、これを25で割って10を足すと、26.56という値が出てきます。また、第18番のケッヘル番号は456なので、同様に計算をすると、28.24という値が出てきます。実際いつごろ作られたと考えられているかということと照らし合わせてみれば、第12番は1782年(26歳)に作られた作品であり、第18番は1784年(28歳)に作られた作品ということで、ケッヘル番号から算出した作曲年代の見当は大きく外れていないということがわかります。

1781年にザルツブルグでの職を辞めてウィーンに飛び出してきたモーツァルトは、せっせと作曲に励み、演奏会を開くためのネタ仕込みをしていました。この第12番のピアノ協奏曲は、そうした演奏会のためのネタの一つとして用意されていたもので、モーツァルトが父親に出した手紙によれば、第11番(K413)と第13番(K.415)も、その演奏会用のネタとして作っていたことが明らかになっています。これらの3曲は、1782年の末には出来上がっていて、モーツァルトは楽譜の予約販売でも一儲けしようとしていたようです。楽譜の売れ行きを伸ばすために、他の楽器を省いて弦楽四重奏を伴奏にして演奏することも可能ということにしていましたが、高額な値段で売ろうとしたために、1785年にアルタリア社から値段を下げて売られるということになってしまいました。
作品の初演はについては、定かなことは分かっていません。1783年の3月に、ブルク劇場で開かれた皇帝臨席のコンサートで演奏されたらしいことが分かっていますが、それ以前にも、プロモーションのために自分で演奏していた可能性があります。
モーツァルトが、これらの作品を評して曰く、「やさしすぎもせず、むずかしすぎもせず、ほどよい中間」を保った協奏曲であり、「あちこちに音楽通だけが満足を覚える個所もありながら、それでいて、通でない人も、何故か知らないながらも、きっと満足する」作品とのことです。

第18番は、マリア・テレジア・フォン・パラディスという女性のために作曲された作品です。
このパラディス嬢の名前に、オーストリア女大公の名前が使われているのは、パラディス嬢の父がオーストリアの宮廷顧問官で、その父親が女大公にあやかって名付けたためです。女大公が名付け親になったという説もありますが、この説は定かではありません。
彼女は、幼少期に失明してしまいましたが、レオポルト・コジェルフ門下の歌手兼ピアニストとして、広く知られた人でした。彼女はまた、作曲家としても作品を残しています。ただ、彼女の作品として伝わっていたシチリアーノは、最近では彼女の作品ではないと言われています。
この作品も、例によって、いつ頃初演されたのかはわかっていませんが、モーツァルトの父が姉ナンネルに書き送った手紙によれば、1785年の2月16日にブルク劇場でモーツァルト自身の手で演奏され、皇帝ヨーゼフ2世から「ブラボー」の掛け声を送られたことが記されています。
作品を献呈されたパラディスも、この作品をレパートリーに加えて度々演奏していたらしく、作曲当初から名作として名高い作品だったことが窺えます。
なお、この作品については、第1楽章と第2楽章に、後年作曲するオペラ《フィガロの結婚》との関わりが指摘されており、特に第2楽章では、そのオペラの第4幕で歌われるバルバリーナのカヴァティーナとの類似が指摘されています。

本CDは、リリー・クラウス(Lili Kraus, 1903-1986)のピアノと、ピエール・モントゥー(Pierre Monteaux, 1875-1964)の指揮するボストン交響楽団の演奏が収録されています。
クラウスは、チェコ人の父とハンガリー人の母の子として生まれたハンガリー出身のピアニストです。8歳でブダペスト音楽院に入学してベーラ・バルトークらに師事し、ウィーンに留学してエドゥアルド・シュトイアーマンやアルトゥル・シュナーベルの薫陶を受けました。22歳には、既にウィーン音楽院の教授に就任し、一角の権威者と見なされていたことが窺えます。
そんなクラウスが、日本でモーツァルト演奏の第一人者としての知名度を獲得したのは、シモン・ゴールドベルクとデュオを組んでモーツァルトのヴァイオリン・ソナタを録音した辺りからでしょう。第二次世界大戦中に、ゴールドベルクと演奏旅行に出かけた先のジャワ島で日本軍の捕虜になりましたが、彼女らのモーツァルトの作品演奏の素晴らしさを知っていた軍人たちにより、優遇的な措置が取られていたといわれています。

モントゥーは、元々弦楽器奏者として出発したフランスの指揮者です。ヴァイオリニストとしては、かのジャック・ティボーに匹敵し、テオフィル・ラフォルジュに習ったヴィオラの腕では、ヨハネス・ブラームス臨席の下で彼の弦楽四重奏曲を演奏しました。そんなわけで、モントゥーは、ドイツ系の音楽に格別の思いを持った人でした。
モントゥーは、セルゲイ・ディアギレフの率いるロシア・バレエ団の指揮者として、イーゴリ・ストラヴィンスキーの《ペトルーシュカ》や《春の祭典》、クロード・ドビュッシーの《遊戯》などの初演を手掛け、バレエ音楽の名匠だとか、ロシア音楽とフランス音楽の達人だとかと見なされるようになりました。
後進の指導にも熱心で、定住先のアメリカはメイン州ハンコックで1943年から指揮者のための学校を創設し、ネヴィル・マリナー、アンドレ・プレヴィンやデヴィット・ジンマンといった門下生を輩出しています。

本CDの演奏は、はちきれんばかりの元気いっぱいな演奏です。
バレエ指揮者として確かな手腕を持つモントゥーの指揮は、第12番の冒頭から聴き手をワクワクさせるような躍動感があります。ボストン交響楽団も、持って回ったようなごまかしのない、ストレートな音色で生き生きと奏でており、見かけだけの貴族的な上品さは吹き飛んでいます。
クラウスのピアノも、ダイナミックなモントゥーの表現に物怖じすることなく、真正面からがっぷりと組んで、力強い演奏を披露しています。
特に聴きものは、両協奏曲の第2楽章で、弱音でも身の詰まった音を鳴らし、ムード的な要素を一切排除しています。この楽章だけ取り出して聴くと、オーケストラ伴奏つきのルートヴィヒ・ヴァン・ベートーヴェンのピアノ・ソナタを聴いているような気分になります。特に、第18番の協奏曲の第2楽章は、ベートーヴェンの交響曲第7番の第2楽章とイメージがダブるかもしれません。
両端楽章でも、ピアノ独奏優先の録音ながら、クラウスとモントゥーがイニシアチブの取り合いをしているかのようなスリルがあります。
まるでモーツァルトの横っ面を叩いて挑発するような演奏であり、良い子ぶった演奏が貧弱に聴こえてしまうほどのインパクトがあります。

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