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1928年の日本ハナゲ學会第3分科會において瓢箪屋蓑吉氏が発表した「傳説の白ハナゲと黑ハナゲの脱色化の判別に關する文化論的一考察 ―ルウブル美術館をくまなく回ろうとして挫折したフレデリツク勅使河原氏の手記を中心に―」を再読したり、検証したりするBLOGではないことは確かなことです。ええ!確かなことですとも!
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Johann Sebastian Bach: Goldberg Variation, BWV988
Karl Richter (Cemb.)
(Rec. 19 February 1979, 上野学園石橋メモリアル・ホール, 東京) Live Recording with Applause






ヨハン・ゼバスティアン・バッハ(Johann Sebastian Bach, 1685-1750)は、ドイツの作曲家です。彼は4巻のクラヴィーア練習曲集を出版していましたが、その最終巻としてバルタザール・シュミットの出版社から1741年の秋に出版されたのが、本CDに収録されているゴルトベルク変奏曲です。「ゴルトベルク変奏曲」というのは、J.S.バッハ自身の命名ではなく、ヨハン・ニコラウス・フォルケルの書いた『バッハ伝』(1802年刊)で紹介された逸話に由来します。フォルケルによれば、ヘルマン・カール・フォン・カイザーリンクという伯爵の「眠れる曲を」という依頼を受けて書かれました。カイザーリンク家には、J.S.バッハのところに修行に来ていたヨハン・ゴルトベルクという少年が音楽家として仕えており、出来上がった変奏曲をゴルトベルクが抜粋してカイザーリンク伯爵のために弾いていたことが紹介されています。本来であればカイザーリンク変奏曲と呼ぶべきでしょうが、実際に演奏していたといわれるゴルトベルクの名前が作品の通称に冠せられています。シュミットの出版譜に書かれている題名は、「2段鍵盤のチェンバロのためのアリアと様々な変奏からなる鍵盤楽器の練習曲集」(Clavier Ubung bestehend in einer Aria mit verschiedenen Veraenderungen vors Clavicimbal mit 2 Manualen)です。
ただ、フォルケルが記した内容は、まずシュミットが出版した初版にカイザーリンク伯爵への献呈文がなく「クラヴィーア練習曲集第4巻」として出版されていること、次に出版された1741年の時点でゴルトベルクが14歳であったことから、最近では疑問視されています。

本CDの演奏はバロック音楽の権威と謳われたドイツ人のカール・リヒター(Karl Richter, 1926-1981)によるチェンバロ独奏です。
リヒターはザクセンのブラウエンに生まれた音楽家。ライプツィヒでカール・シュトラウベとギュンター・ラミンに師事し、ライプツィヒの聖トーマス教会のオルガン奏者になりました。1950年にライプツィヒ・バッハ国際音楽コンクールでアマデウス・ウェーバージンケと一位を分け合い、聖トーマス教会のカントル(楽長)の後継者と目されました。しかし、当時の東ドイツでの活動に窮屈さを感じるようになったリヒターは、1951年にミュンヘンの聖マルコ教会のオルガン奏者に転出し、ハインリヒ・シュッツ合唱団の指揮者としても活動するようになりました。1954年にはハインリヒ・シュッツ合唱団をJ.S.バッハのカンタータを演奏する目的でミュンヘン・バッハ合唱団に改名し、合唱団の伴奏としてミュンヘン在住の音楽家たちに声をかけてミュンヘン・バッハ管弦楽団を創設しました。ミュンヘンをライプツィヒに負けないJ.S.バッハの作品演奏の中心地にするという野望を着実に実行していったことで1970年代までにJ.S.バッハの作品解釈の権威と目されましたが、晩年はグスタフ・レオンハルトらのような古楽器による演奏の研究が台頭し、自らも心臓疾患を抱えるようになったことで次第に活動が失速気味になりました。古楽器による演奏が主流化しつつあった状況の中でリヒターも古楽器のチェンバロを購入して鍛錬をしていましたが、ミュンヘンホテルで心臓発作を起こして急逝したため、ついに古楽器のチェンバロによる公開演奏は出来ませんでした。本CDで使っているチェンバロも、日生劇場が所有していたノイペルト製「バッハ・モデル」のモダン・チェンバロが使われています。

全盛期のリヒターは、正確な技巧を駆使した厳格な演奏で知られていましたが、このライヴ録音のリヒターは、冒頭のアリアから変な音が混じったり、第一変奏から右手と左手がズレて音の流れに淀みができたりしています。ライヴ録音だということを考慮してもミスタッチやトラブルは多く、リヒターのコンディションが心配されるレベルです。しかし、ブックレットで中野振一郎と池田卓夫が対談の中で「意地」や「執念」と表現するように、最後までどんなことがあっても弾き通すという気迫が持続しており、ミュンヘンをJ.S.バッハ作品演奏の聖地にしようとした男のプライドが犇々と伝わってきます。
また、同じ対談で中野がリヒターを「やはりもとはあるひとつのオルガン楽派の人だった」というように、オルガン・ストップを操るかのようにモダン・チェンバロのレジスターを最大限に使って演奏効果を高めているのが聴きものです。演奏内容は満身創痍ですが、各変奏の特徴を描き分けようとするバイタリティに、J.S.バッハの作品解釈の泰斗としてのプライドを感じることができるでしょう。


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