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1928年の日本ハナゲ學会第3分科會において瓢箪屋蓑吉氏が発表した「傳説の白ハナゲと黑ハナゲの脱色化の判別に關する文化論的一考察 ―ルウブル美術館をくまなく回ろうとして挫折したフレデリツク勅使河原氏の手記を中心に―」を再読したり、検証したりするBLOGではないことは確かなことです。ええ!確かなことですとも!
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◈Frederick Delius: Violin Sonata in B major, op.poth
◈Frederick Delius: Violin Sonata No.1
◈Frederick Delius: Violin Sonata No.2
◈Frederick Delius: Violin Sonata No.3
Tasmin Little (Vn)
Piers Lane (Pf)
(Rec. 18-19 February 1997, St. Silas's Presbytery, Kentish Town, London)



イギリスの作曲家、フレデリック・ディーリアス(Frederick Delius, 1862-1934)の現存するヴァイオリン・ソナタを全部集めて録音したアルバムです。
演奏はタズミン・リトル(Tasmin Little, 1965-)のヴァイオリンと、ピアーズ・レーン(Piers Lane, 1958-)のピアノです。
リトルはイェフディ・メニューイン音楽学校とギルドホール音楽学校でパウリーネ・スコットに学び、カナダに留学してローラン・フニヴの薫陶を受けたヴァイオリニストです。1982年にBBCが主催するヤング・アーティスト・オヴ・ザ・イヤー・コンクールで3位入賞を果たしてからソリストとして頭角を現すようになり、今日ではイギリスのヴァイオリン音楽の泰斗としての名声を定着させています。
レーンは、ロンドン生まれのオーストリアのピアニストで、クィーンズランド音楽院でナンシー・ウィアーに師事しています。その後、シアトルでベラ・シキ、ロンドンの王立音楽院でケンダール・テイラーとヨンティー・ソロモンの各氏の下で研鑽を積み、1989年からは王立音楽院のピアノ科の教授を務めています。

ディーリアスは、イギリス出身の作曲家ですが、フランスに定住していました。若かりし頃の放蕩生活が祟って、晩年は梅毒の進行に悩まされ、体が不自由になってしまい、1923年以後、しばらくの間作曲活動を停滞させてしまいましたが、1928年からエリック・フェンビーに口述筆記させ、作曲活動を再開しました。
通し番号の付いていないヴァイオリン・ソナタは、フランスに定住して4年目となる1892年に作曲された作品で、伝統的な三楽章の形式に依っています。まだ独自の作風に到達する前の作品ということで、ディーリアスは習作に位置づけました。
第1番のソナタは1905年から9年かけて作られた作品で、伝統的な三楽章ながら、第1楽章と第2楽章がアタッカ(休みなし)で演奏されます。番号なしのソナタにみられる精悍さを残しながらも、和声的なひねりを一層加え、作風の面でクロード・ドビュッシーへの接近を感じられるでしょう。
第2番のソナタは、急-緩-急のテンポ構造の意識は残しているものの、楽章分けは為されておらず、形式面でますます自由になっています。この曲を作った1923年ごろには、梅毒の症状が進行して全身麻痺を引き起こし、さらに失明して作曲家としての危機を迎えています。しかし、形式から自由になった本作品では、萌え立つような感興が凝縮され、ハンディキャップをものともしない感性の迸りを聴くことが出来ると思います。
第3番は、フェンビーの助けを得て完成された1930年の作品です。3楽章に分割されていますが、急-緩-急の形式に拘泥していません。どこか懐かしさを感じさせるメロディ・ラインを散りばめ、前作よりも静かな佇まいを感じさせる作品に仕上がっています。技術的な難易度が低い分、フレーズの一つ一つをどのように扱うかで聴き手の共感度を左右する、表現上の難易度の高い作品の一典型といえるでしょう。

本CDでは、レーンのピアノがなかなかの好演を聴かせています。番号なしのソナタでは、乱暴にならない磨き抜かれたタッチで、明るい未来を見据えた初々しさを作品から引き出しています。リトルのヴァイオリンも、歯切れよく、清潔感あふれる演奏を聴かせてくれます。第2番までのソナタでは、ヴァイオリンとピアノの両者が自由自在の駆け引きでドラマティックに盛り上げていますが、不思議と説明調のクドさはありません。
出色の出来栄えは第3番のソナタで、ことさら枯淡の境地を演出するのではなく、リトルはメロディ・ラインを美音で堂々と歌っています。レーンも、絶妙なニュアンスでリトルの演奏に対話を仕掛けており、聴き手を退屈させません。

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