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1928年の日本ハナゲ學会第3分科會において瓢箪屋蓑吉氏が発表した「傳説の白ハナゲと黑ハナゲの脱色化の判別に關する文化論的一考察 ―ルウブル美術館をくまなく回ろうとして挫折したフレデリツク勅使河原氏の手記を中心に―」を再読したり、検証したりするBLOGではないことは確かなことです。ええ!確かなことですとも!
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◈Édouard Lalo: Symfonie Espagnole in D minor, op.21
Jacques Thibaud (Vn)
Orchestre de la Suisse Romande / Ernest Ansermet
(Rec. 17 November 1941, Geneva) Live Recording with Applause
◈Ernest Chausson: Poème, op.25
Jacques Thibaud (Vn)
Orchestre des concerts Lamoureux / Eugène Bigot
(Rec. 1947)
◈Camille Saint-Saëns: Havanaise in E major, op.83
Jacques Thibaud (Vn)
San Francisco Symphony Orchestra / Pierre Monteux
(Rec. 19 January 1947, San Francisco) Live Recording with Applause
◈Camille Saint-Saëns (arr. Georges Bizet): Introduction and Rondo Capriccioso in A minor, op.25
Jacques Thibaud (Vn)
Tasso Janopoulo (Pf)
(Rec. 1947)



フランスのヴァイオリニスト、ジャック・ティボー(Jacques Thibaud, 1880-1953)の独奏による、「フランス音楽集」と題されたアルバム。演目は、エドゥアール・ラロ(Édouard Lalo, 1823-1892)のスペイン交響曲、エルネスト・ショーソン(Ernest Chausson, 1855-1899)の詩曲、カミーユ・サン=サーンス(Camille Saint-Saëns, 1835-1921)の《ハバネラ》と《序奏とロンド・カプリチオーソ》の4曲がカップリングされています。
ティボーはボルドーの生まれで、1893年からパリ音楽院でピエール=マルタン・マルシックに師事しました。1896年に卒業後、エドゥアール・コロンヌにスカウトされてコンセール・コロンヌのヴァイオリン奏者になったティボーは、サン=サーンスの《ノアの洪水》の上演で前奏曲のヴァイオリン独奏をコンサート・マスターの代役で演奏して評判を呼び、ソリストとして活動するようになりました。ここに収録されたラロ、ショーソン、サン=サーンスの各作品は、何れもティボーが得意にし、何度もコンサートで取り上げていた演目でした。

最初に収録されているラロのスペイン交響曲は、エルネスト・アンセルメ(Ernest Ansermet, 1883-1969)の指揮するスイス・ロマンド管弦楽団との共演。ヴァイオリンに録音の照準を合わせているものの、アンセルメのオーケストラがなかなかの奮闘ぶりを聴かせます。アンセルメは、スイス出身の指揮者ですが、バレエ・リュスの専属指揮者を務め、バレエ音楽の専門家と謳われた人です。踊り手の動きや呼吸に合わせてオーケストラを操る術に長けていたこともあって、奔放なティボーのヴァイオリンに的確に歩調を合わせています。アンセルメのオーケストラを出し抜こうとするティボーのヴァイオリンと、ティボーが破綻しないようにガッチリと脇を固めにかかるアンセルメのせめぎ合いが、音楽に生気と緊張感を与えています。

ショーソンの詩曲は、ウジェーヌ・ビゴー(Eugène Bigot, 1888-1965)の指揮するラムルー管弦楽団の伴奏ということで、フィリップス・レーベルから発売されていた『ジャック・ティボーの芸術』に収録されていた演奏とほぼ同一のもの。ただ、本CDの復刻状態は、SP4面の継ぎ目が分かるほどにノイズが入っていますが、音の生々しさでは本録音のほうが上ではないかと思います。また、フィリップス盤では1950年の録音として報告されていた本演奏は、この盤では1947年の録音ということになっています。
伴奏指揮を務めるビゴーは、パリ音楽院で長年にわたって指揮法の教授を務め、フランス指揮界の御意見番として鳴らした人物でした。ラムルー管弦楽団の団員を自由に泳がせながら、要所要所で引き締めを図り、ドラマティックなクライマックスを築き上げる手腕はまさに職人芸。ティボーとオーケストラの艶のあるやり取りの絶妙さは、本盤でより鮮やかに味わうことができます。

サン=サーンスの《ハバネラ》はピエール・モントゥー(Pierre Monteux, 1875-1964)の指揮するサンフランシスコ交響楽団との共演。モントゥーは、バレエ・リュスの専属指揮者としてイーゴリ・ストラヴィンスキーの《ペトルーシュカ》や《春の祭典》等の初演を手掛けた名指揮者として知られますが、パリ音楽院ではジュール・ガルサンとアンリ・ベルトリエにヴァイオリンを学び、ティボーと共に一等賞を得て卒業しています。卒業後はオペラ=コミック座やコンセール・コロンヌなどでヴァイオリンやヴィオラを弾き、クロード・ドビュッシーの《ペレアスとメリザンド》の初演にも参加していました。ティボーはコンセール・コロンヌからソリストの道を歩みましたが、パリ音楽院在学中から指揮に興味を持っていたモントゥーは1906年にコンセール・コロンヌで指揮者に転身しました。
そういったわけで、ティボーとモントゥーは旧知の仲として共演を重ね、アコースティック録音でラロのスペイン交響曲を断片的に録音したこともあるそうです。ただ、第一次世界大戦が勃発すると、モントゥーがアメリカに移住してしまったため、なかなか共演の機会が持てなくなり、アメリカに演奏旅行に出かけた際に残した、ここに収められているサン=サーンスの《ハバネラ》の録音が、数少ない二人の友情の記録となりました。
モントゥーの指揮は、バレエ・リュスで鍛えられただけあって、すっきりとした立ち居振る舞いで過不足のない伴奏です。特に中間部ではムードに流されず、思い切りのいい音で変幻自在なティボーの演奏に対抗しています。ティボーは、作曲者自身から「私の想定以上に美しい演奏」と言われただけあって、しなやかさと艶やかさを兼ね揃えた独奏を聴かせます。しかし、本CDの一連の演奏のような伴奏を出し抜くような自在さとは異なり、比較的モントゥーと歩調の合った演奏に仕上がっています。両者とも、お互いの芸風を知り尽くしていただけに、阿吽の呼吸で合わせることができたのでしょう。

本CDの最後に収録されているサン=サーンスの《序奏とロンド・カプリチオーソ》は、ジョルジュ・ビゼー(Georges Bizet, 1838-1875)が伴奏をピアノ用に書き換えたバージョンでの演奏で、サン=サーンスはビゼーに編曲されたことを誇りにしていたそうです。本録音の伴奏はタッソ・ヤノポウロ(Tasso Janopoulo, 1897-1970)と伝えられますが、ティボーのヴァイオリンをクローズアップした録音から、ピアノはかすかに聴こえるのみに留まります。そのティボーのヴァイオリンは千変万化で、聴き手を飽きさせないサービス満点の歌い口で、壮年期で脂の乗った時期の彼の芸風を楽しませてくれます。

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