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1928年の日本ハナゲ學会第3分科會において瓢箪屋蓑吉氏が発表した「傳説の白ハナゲと黑ハナゲの脱色化の判別に關する文化論的一考察 ―ルウブル美術館をくまなく回ろうとして挫折したフレデリツク勅使河原氏の手記を中心に―」を再読したり、検証したりするBLOGではないことは確かなことです。ええ!確かなことですとも!
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◈Jean Sibelius: Violin Concerto in D minor, op.47
Zino Francescatti (Vn)
New York Philharmonic / Leonard Bernstein
(Rec. 15 January 1963, Philharmonic Hall, New York)
◈Max Bruch: Violin Concerto No.1 in G minor, op.26
Zino Francescatti (Vn)
New York Philharmonic / Thomas Schippers
(Rec. 23 January 1962, Manhattan Centre, New York)



ジャン・シベリウス(Jean Sibelius, 1865-1957)のヴァイオリン協奏曲と、マックス・ブルッフ(Max Bruch, 1865-1957)のヴァイオリン協奏曲第1番のカップリングです。
フィンランドの作曲家であるシベリウスは、10代で自力で作品を書き上げる程音楽に入れ込んでいましたが、当初は法律を学ぶべく、ヘルシンキの大学に進学していました。しかし、音楽への情熱を抑えることができず、20歳でヘルシンキ音楽院に入学し、リヒャルト・ファルティンとマルティン・ヴェーゲリウスに作曲を学んでいます。1889年にはベルリンの帝室芸術院に留学してアルベルト・ベッカーに対位法を学び、1890年にはウィーンに移ってロベルト・フックスとカール・ゴルトマルクの薫陶も受けました。元来ヴァイオリニストになりたかったシベリウスは、1891年に意を決してウィーン・フィルハーモニー管弦楽団の入団オーディションに行きましたが、人前で上がってしまう質だったために落選してしまい、挫折してしまいました。
シベリウスがドイツやオーストリアでリヒャルト・ヴァーグナーやアントン・ブルックナーの作品に目を眩ませていた頃、ご当地ドイツの作曲界の重鎮だったのが、ブルッフです。フェルディナント・ヒラーやカール・ライネッケに学んだブルッフは、1867年にゾンダースハウゼンの宮廷楽長として名声を得、1983年からはブレスラウの管弦楽協会の会長も歴任していました。ただ、ブルッフが1891年に帝室芸術院の作曲科の主任教授になった時には、シベリウスはヴァイオリニストとしての夢が破れ、フィンランドに帰国しています。

演奏家崩れの作曲家の協奏曲は、しばしば独奏パートをこねくり回し、さらに厚手のオーケストレーションで独奏パートを吹き飛ばすような作風を示します。1903年に書き上げられたシベリウスのヴァイオリン協奏曲は、その典型例だといえます。ドイツ随一の名手ヴィリー・ブルメスターを独奏者に当て込んだこの協奏曲は、結局ブルメスターが初演の日程を合わせられず、1904年の2月8日にヘルシンキ音楽院教授のヴィクトル・ノヴァチェクの独奏で初演されました。しかし、作品としては評論家筋から「冗長」の烙印を押されたシベリウスは、出版の話を取り下げて改訂を施しています。改訂にあたっては、ヨハネス・ブラームスのヴァイオリン協奏曲を参考にし、詰め込み過ぎたヴァイオリン独奏パートの刈り込みと、オーケストラの最適化を行いました。この1905年の改訂版は10月19日にベルリンで、カレル・ハリルの独奏とリヒャルト・シュトラウスの指揮によって演奏されて成功を収め、今日ではこれが現行版として演奏されます。この曲は、3つの楽章からなりますが、特にシベリウスが念入りに作曲したのが第1楽章で、3つの主題を投入した大柄なソナタ形式により、全曲の半分くらいのボリュームがあります。残り半分は第2楽章と第3楽章が分け合い、第2楽章が第1楽章の厳粛さを引き継いでいます。

ブルッフのヴァイオリン協奏曲は、ブルッフ初のオーケストラ曲となった1866年の作。ピアノを得意とし、ヴァイオリンについては門外漢だったブルッフは、マンハイム歌劇場のコンサート・マスターを務めていたヨハン・ナレット=ケーニヒに助言をもらいながら作曲を進めました。初演はナレット=ケーニヒの予定でしたが、彼が急病でキャンセルし、完成した年の4月26日にコブレンツでオットー・フォン・ケーニヒスロウをソリストに立てて初演して大成功を収めました。ただ、作曲者のブルッフは作品の出来に不満を持ち、ヴァイオリン演奏の権威として知られていたヨーゼフ・ヨアヒムに相談して改訂を施しています。1867年に出来上がった改訂版は翌年の1月5日にブレーメンで演奏されて好評を博し、それが現行版として出版され演奏されています。
この作品も伝統的な三楽章構成を採りそれぞれが7~8分でほぼ均等に時間配分されていますが、第1楽章を「前奏曲」と名付けて第2楽章と連結させています。こうした楽章の連結は、ルイ・シュポアのヴァイオリン協奏曲第8番やフェリックス・メンデルスゾーンのホ短調のヴァイオリン協奏曲で行われていた作法でした。第1楽章をレチタティーヴォ、第2楽章をアリアと考え、「終曲」と題する第3楽章を豪華絢爛さで盛るような構成として捉えると、シュポアの影響がちらつきます。

本CDの演奏は、両曲ともジノ・フランチェスカッティ(Zino Francescatti, 1902-1991)がヴァイオリン独奏を受け持っています。伴奏は両曲ともニューヨーク・フィルハーモニックですが、担当の指揮者が、シベリウスの作品ではレナード・バーンスタイン(Leonard Bernstein, 1918-1990)、ブルッフの作品ではトマス・シッパーズ(Thomas Schippers, 1930-1977)となっています。
フランチェスカッティは、ニコロ・パガニーニ直系のヴァイオリン教師の一家に生まれ、父親からヴァイオリンの手ほどきを受けたフランスのヴァイオリニストです。1930年代に演奏活動の本拠をアメリカに移し、ラテン的に明るい芸風で成功を収めました。
バーンスタインはアメリカのマルチ音楽家で、作曲家でもあり、ピアニストでもありました。指揮者としてのバーンスタインはフリッツ・ライナーやセルゲイ・クーセヴィツキーの薫陶を受け、アルトゥール・ロジンスキのアシスタントとしてニューヨーク・フィルハーモニック交響楽団に就職し、1943年にブルーノ・ヴァルターの代役として指揮者デビューを果たしています。その後ニューヨーク・フィルハーモニック交響楽団がディミトリ・ミトロプロスの代に変わった後もミトロプロスの下で研鑽を続け、1958年にニューヨーク・フィルハーモニック交響楽団の首席指揮者の座を引き継ぎました。このニューヨーク・フィルハーモニック交響楽団を「ニューヨーク・フィルハーモニック」に改名したのはバーンスタインの発案です。
シッパーズもアメリカの売れっ子指揮者として23歳でメトロポリタン歌劇場に登場した鬼才。カーティス音楽院とジュリアード音楽院の卒業生で、アメリカに亡命していたパウル・ヒンデミットの薫陶も受けていたのだとか。ニューヨーク・フィルハーモニックの客演指揮の常連として人気を博し、1970年にはシンシナティ交響楽団の首席指揮者になりました。アメリカの生んだ大指揮者となるべく期待の掛けられたシッパーズでしたが、肺癌のために急逝しています。

シベリウスのヴァイオリン協奏曲は、フランチェスカッティの独奏が華やかな音で朗々と歌い、音楽の極寒の澄み切った空気を思わせる作品の相貌とは別方向の演奏。第1楽章などイタリア風の歌謡性を掘り起こそうと奮闘していますが、今一つ演奏効果が上がっていません。第2楽章中間部ではうまく行かない力みからかオーケストラと主導権を競り合うだけに終始しています。
バーンスタインの伴奏は、フランチェスカッティを支えるというよりも、逐一注釈を加えて自分の手柄にしようとしている風。本来どっしりとしているはずの第1楽章のオーケストラに落ち着きがなく、雄大さに結び付かないのは、色々とひねったことをやろうとし過ぎているからでしょう。第3楽章は、逆に言いたいことが多すぎて何から言いだせばいいのか分からないと言った風で、響きが散らかっています。全体的に都会の喧騒を想起させ、その迷走感がある意味面白いといえますが、それは作品自体から生み出されるものとは関係がありません。もう少しバーンスタインがオーケストラの響きをデリケートに調整していれば、演奏の精度も上がったかもしれません。

ブルッフの作品は、シッパーズのダイナミックなオーケストラ・コントロールが楽しい演奏です。第1楽章の付点リズムのとりかたが程良い粘りを持っていて、オーケストラの盛り上がりに弾みがつき、豊麗なフランチェスカッティのヴァイオリンの音色がドラマティックに映える趣向になっています。第2楽章ではシッパーズの伴奏が持て余し気味ですが、フランチェスカッティがオペラ歌手のような見事な歌い上げでしっかりと作品のツボを押さえています。第3楽章は、第1楽章の付点リズムによる弾みを効かせて、シッパーズが大空へ向かって飛び上がるような爽快感を演出しています。フランチェスカッティの柔軟性に富んだボウイングも存分に発揮され、演奏効果の面ではとても聴き映えのする演奏に仕上がっているように思えます。
ただ、シッパーズの伴奏の高揚感は素晴らしいものがあり、フランチェスカッティのヴァイオリンはオーケストラの勢いをうまく生かした佳演ではあるものの、ここまで弾けば大丈夫だろうという打算も感じます。

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