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1928年の日本ハナゲ學会第3分科會において瓢箪屋蓑吉氏が発表した「傳説の白ハナゲと黑ハナゲの脱色化の判別に關する文化論的一考察 ―ルウブル美術館をくまなく回ろうとして挫折したフレデリツク勅使河原氏の手記を中心に―」を再読したり、検証したりするBLOGではないことは確かなことです。ええ!確かなことですとも!
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Wolfgang Amadeus Mozart: Piano Concerto No.14 in E flat major, K.449
Werner Haas (Pf.)
Radio-Sinfonieorchester Stuttgart des SWR / Mladen Bašić
(Rec. 28 January 1971 Stuttgart, SDR; Funkstudio 2)
Wolfgang Amadeus Mozart: Piano Concerto No.19 in F major, K.459
Werner Haas (Pf.)
Stuttgart Kammerorchester / Karl Münchinger
(Rec. 1 September 1965  Stuttgart, Liederhalle) Live Recording without Applause







ヴォルフガング・アマデウス・モーツァルト(Wolfgang Amadeus Mozart, 1756-1791)は、オーストリアのザルツブルグに生まれた作曲家です。
幼少期から、ザルツブルクの宮廷副楽長を務めていた父レオポルトの英才教育を受け、5歳で作曲を始めたため、日本では「神童」というキャッチ・コピーで知られています。
天才少年としてヨーロッパ各国を回ったモーツァルトは、6歳の時に7歳のマリー・アントワネットに求婚したり、ローマ教皇から勲章をもらったりしながら見聞を広めました。ただし成人してからは、1777年にザルツブルク宮廷の楽師職を辞職し、他の地の宮廷へのトレードを何度となく試みましたが悉く失敗しています。1779年にザルツブルグ宮廷のオルガニストとして再就職したものの、1781年には再度辞職し、ウィーン宮廷の作曲家としての肩書を得ながら、フリーのピアノ奏者兼教師として活躍しました。

モーツァルトは、作曲を始めた5歳の頃より、1791年にウィーンで没するまで精力的に作曲活動を展開しましたが、19世紀オーストリアの音楽学者であるルートヴィヒ・フォン・ケッヘルが作曲年代順にモーツァルトの作品を整理し、通し番号をつけました。これをケッヘル番号(Köchelverzeichnis)といいます。
ケッヘル番号は、演奏可能な完成作品の通し番号の頭に”K”(ドイツ語圏では”KV”)をつけ、断片的な未完成作品や、モーツァルトの作品とは疑わしいものには”K.Anh.”(Anh.は「補遺」を意味する”Anhang”の略)をつけています。
その後の研究の進展で、ケッヘルの整理した作曲年代順との齟齬が生まれ、ケッヘル番号の改訂が進められるようになりました。1931年に改訂を施したアルフレート・アインシュタインは、初版のケッヘルの番号を尊重しながら、当時の研究で得られた知見から番号付けの訂正を行おうとしました。
しかし、こうしたリナンバリングの煩雑さから、一般的にはケッヘルの作った目録の初版の番号が用いられます。
ケッヘル番号の面白いのは、番号の数字を25で割って10で足すと、モーツァルトが作品を作った大まかな年齢を算出できるところです。
試しに、本CDに収録されている第14番(K449)と第19番(K459)で計算してみると、以下の様になります。

(449 / 25) + 10 = 27.96
(459 / 25) + 10 = 28.36

これらの作品は、28歳(1784年)頃に作曲された作品だということが類推できました。
モーツァルトは、父親らと書簡のやりとりを頻繁に行い、自分の作品目録まで作るようになっており、それらの証拠から、第14番の協奏曲は1784年の2月頃、第19番は同年12月頃の作だと考えられています。
ウィーンに来てからのモーツァルトは、自作発表の為の予約制演奏会を頻繁に企画運営しており、第17番は、作曲された年の3月の演奏会、第19番は年末の演奏会用に作曲されたと考えられます。
特に第14番のほうは、弟子のバルバラ・フォン・プロイヤーに献呈されており、予約演奏会で初演された後、程なくしてプロイヤー家で被献呈者の手で演奏されています。
モーツァルトがこの曲を作った頃には、既に急-緩-急という三楽章構成の協奏曲のフォーマットが出来上がっており、モーツァルトもそのフォーマットに則って作曲しています。

第14番の協奏曲はモーツァルトの自信作で、彼がつけだした作品目録の最初の作品になります。この時期に書いたピアノ協奏曲は、作曲機会の拡大を狙い、管楽器のパートを外してピアノ五重奏曲として演奏できるように配慮されています。
第19番の協奏曲は、当時ヨーロッパの売れっ子ヴァイオリン奏者だったジョヴァンニ・バティスタ・ヴィオッティの作品の影響が取りざたされる作品。行進曲調の第1楽章の主題にその影響が見られると考えられています。1790年に皇帝レオポルト2世が即位した時、戴冠式の行われるフランクフルトに行き、第26番の協奏曲と一緒に演奏したのがこの第19番で、トランペットとティンパニがオプションとして付けて演奏されましたが、今日では、そのトランペットとティンパニのパートは紛失しています。

本CDで演奏するのは、シュトゥットガルトに生まれたドイツ人ピアノ奏者のヴェルナー・ハース(Werner Haas, 1931-1976)です。伴奏は、第14番のほうをムラデン・バシチ(Mladen Bašić, 1917-)の指揮するシュトゥットガルト放送交響楽団(Radio-Sinfonieorchester Stuttgart des SWR)、第19番のほうをカール・ミュンヒンガー(Karl Münchinger, 1915-1990)指揮するシュトゥットガルト室内管弦楽団(Stuttgart Kammerorchester)がそれぞれ担当しています。
ハースは、1947年に地元の音楽院に入学してリリ・クレベール=アッシュに師事し、1954年にザールブリュッケン音楽院に移ってヴァルター・ギーゼキングの薫陶を受けました。ギーゼキングに師事している1955年からシュトゥットガルトで演奏活動を始め、その翌年にはヨーロッパの主要都市を巡ってピアノ奏者としての地歩を固めました。クロード・ドビュッシーやモーリス・ラヴェルといったフランス音楽でギーゼキング譲りの精妙な演奏を披露し、ギーゼキングの後継者として将来を嘱望されましたが、フランスのナンシーで自動車事故を起こして急逝しています。
バシチはクロアチアのザグレブに生まれた指揮者です。
地元の音楽院でピアノと作曲を学び、1945年から10年間ザグレブ国立歌劇場の指揮者陣に加わりました。1959年から1968年まではザルツブルク・モーツァルテウム・カメラータ・アカデミカの首席指揮者を務め、1970年代にはザグレブでロヴロ・フォン・マタチッチの補佐をしていました。1978年から1990年まではマインツ市の音楽監督を務め、以後はザグレブを中心に演奏活動をしているとのことです。
ミュンヒンガーは、シュトゥットガルトに生まれ、シュトゥットガルトに没したドイツの指揮者です。
地元の音楽院でカール・レオンハルトに師事し、ライプツィヒに行ってヘルマン・アーベントロートの薫陶も受けています。さらにはクレメンス・クラウスらの謦咳にも接し、1941年にハノーファーのニーダーザクセン州立管弦楽団の首席指揮者となりました。1945年にはシュトゥットガルト室内管弦楽団を組織し、1987年に引退するまで首席指揮者を務めました。

本CDに聴くハースのピアノは、独奏者として自らの存在を際立たせるようなことをせず、むしろオーケストラの一部として溶け込もうとしているかのようです。
第14番の協奏曲で指揮を執るバシチは、当時ザルブルクでの仕事でモーツァルト作品の専門家と見做されていただけあって、客演したシュトゥットガルトのオーケストラから心弾むような可憐なモーツァルト像を引き出しています。演奏によっては野暮ったくなる第2楽章でも、聴き手を飽きさせない音楽の運び方は熟練の域といえるでしょう。
ハースは、はしゃぐようなオーケストラを見守る大人のように、その音風景の中に自然体で溶け込んでいます。理知的なアプローチは師のギーゼキング譲りですが、表情豊かなバシチの指揮から隔絶することなく、適度な距離感を保っているので、終始朗らかで気持ちの良い音楽の流れに身を任せることができます。
第19番のミュンヒンガーの指揮は、格式を感じさせる伴奏。無味乾燥な演奏なのではなくて、楽譜に書かれた音を厳格に実音化するという信念を感じさせます。20世紀後半から台頭してきた古楽器演奏の演奏とは趣が異なるものの、余計な表情付けを排した演奏は、ハースのピアノの清潔なタッチとは相性が良く、シャキッと引き締まったように聴こえます。
ただ、ライヴ録音といいながらも、ハースがオーケストラを挑発したり、オーケストラがハースに仕掛けたりということがないので、バシチとの共演に比べると仏頂面の演奏になってしまいます。
お互いに理路整然とした演奏なので、両端楽章の対位法的なパッセージでは堅牢で聴き応えがありますが、第2楽章のような息の長いメロディでは情感が不足します。

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