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1928年の日本ハナゲ學会第3分科會において瓢箪屋蓑吉氏が発表した「傳説の白ハナゲと黑ハナゲの脱色化の判別に關する文化論的一考察 ―ルウブル美術館をくまなく回ろうとして挫折したフレデリツク勅使河原氏の手記を中心に―」を再読したり、検証したりするBLOGではないことは確かなことです。ええ!確かなことですとも!
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◈Giacinto Scersi:Canti del Capricorno
平山 美智子 (vo, Bs-Bfl)
Alvin Curran (Thai-Gong)
中川 昌巳 (Sax)
吉原 すみれ (perc)
山口 恭範 (perc)
(Rec. 1969 & 1981-1982)



ジャチント・シェルシ(Giacinto Scersi, 1905-1988)はイタリアの作曲家です。
《山羊座の歌》は、平山美智子(Michiko Hirayama, 1923-)のために、1962年から十年間にわたって書かれた19の連作集です。言語としての歌詞はなく、ひたすら様々な発声発音が探求されます。
第1番がゴングを打ち鳴らしながらの歌唱、第5番と第7番がサクソフォーンと声の絡み、第14番と第18番がパーカッションとの共演、終曲の第19番がバス・リコーダーを1分間弱延々と吹き続ける音楽であり、その他は、ただ平山が一人パフォーマンスを繰り広げます。
この録音は、1969年に第1番と終曲が録音され、あとの第2番から第18番までは1981年から翌年にわたって録音されています。
第1番でゴングをたたいているのは、アメリカの作曲家であるアルヴィン・カラン(Alvin Curran, 1938-)です。また、サクソフォーン奏者でフルーティストでもある中川昌巳(Masami Nakagawa, 1947-)が第5番と第7番でサクソフォーンを吹き、第14番と第18番のパーカッションを吉原すみれ(Sumire Yoshihara, 1949-)と山口恭範(Yasunori Yamaguchi, 1941-)が担当しています。

何の予備知識もなくこの曲に接すると、最初のコツーンコツーンと鳴るゴングの音色と、それに続く平山の奇声に蹴倒され、まるで古代呪文の朗誦を聞かされているような気分になることでしょう。
ヨーロッパ世界にはない喉歌の歌唱法や、日本の伝統芸能(例えば能や狂言)の発声法に近いことをやらせてみたり、ヴィブラートを加えながらメリスマ(一音節に複数の音をあてがう方法)を駆使してイスラム教の典礼のような雰囲気を作り出したりと、人間の声の可能性にとことん挑戦するような音楽を作り上げています。
シェルシたちが知りうる限りの声の特殊奏法をとことんつぎ込んだがゆえに、整備された音の三要素に基づく音楽になれた耳には、古代秘術の朗誦のように聴こえるのでしょう。実際はパフォーマンスも伴うでしょうから、見た目は叫び声をあげる狂女といったところでしょうか。
音声学的な興味のみならず、この作品の芸そのものも相当なインパクトがあります。
あらゆることが、かなりやりつくされてしまった感のあるアヴァンギャルドの世界の中で、30年以上の時代の経過に風化することなく生き残っているのには、それなりの存在感があるからだということを知らしめてくれます。
今後、この曲がどのように見直され、捉え直されて演奏されていくのでしょうか?

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