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1928年の日本ハナゲ學会第3分科會において瓢箪屋蓑吉氏が発表した「傳説の白ハナゲと黑ハナゲの脱色化の判別に關する文化論的一考察 ―ルウブル美術館をくまなく回ろうとして挫折したフレデリツク勅使河原氏の手記を中心に―」を再読したり、検証したりするBLOGではないことは確かなことです。ええ!確かなことですとも!
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Johannes Brahms: Piano Quintet in F minor, op.34
中田 京子 (Pf)
The Israel String Quartet
{Yigal Tuneh (1st Vn), Raphael Markus (2nd Vn),
Ze'ev Steinberg (Vla), Sacha Kaganovsky (Vc)}
(Rec. 30 September 1990. 秋川キララホール, 東京)




ヨハネス・ブラームス(Johannes Brahms, 1833-1897)は、ドイツのハンブルク出身の作曲家です。ヨーゼフ・マルクスゼンにピアノと作曲を学び、ロベルト・シューマンに認められて、ルートヴィヒ・ヴァン・ベートーヴェンの衣鉢を継ぐ作曲家として名声を得ました。
ただ、自己批判の気の多い人だったらしく、10代に作った作品はすべて廃棄しており、その後も自分の設定した水準に達しないと見做した作品も、発表せずに廃棄したり、モチーフに分解してストックしたり、水準に達する作品に達するように改作を施したりしていました。
本CDに収録されているピアノ五重奏曲も、1862年に作られたときには弦楽五重奏曲でしたが、内輪で試演してみて出来に不満を感じ、1864年に2台のピアノ用のソナタに書き直し、カール・タウジヒと共に公開演奏しています。そして、クララ・シューマンのところに行って、講評を仰ぎましたが、クララは「いい曲だけど、ピアノ・ソナタ向きではない」と評し、その評価を受けて、このピアノ五重奏曲に改作し、1866年6月22日にライプツィヒで初演しました。この作品は初演に先立って1865年の冬に出版されましたが、出版譜にはヘッセン方伯の王太子妃マリア・アンナへの献辞が書かれています。もっとも、ブラームス自身は2台のピアノ用のソナタのバージョンも気に入っていて、そのバージョンは1871年に出版しています。
作品は4楽章構成で、両端楽章をソナタ形式にし、第2楽章を三部形式の緩徐楽章、第3楽章をスケルツォにしています。両端楽章の構成の堅牢さは、不愛想で気難しいブラームスの外面を象徴し、その間に挟まれた2つの楽章では、前者でクララに思慕の情を持つブラームスのロマンティストとしての側面が甘美なメロディのモチーフの使用で結び付けられ、後者では気の置けない友人たちの前で見せたジョーク好きなブラームスの側面を想起させます。作品は作った人のキャラクターをしばしば映し出すものですが、この作品においても、ブラームスの人間性がしっかり投影されているといえるでしょう。

ナミ・レコードのライヴ・ノーツというレーベルから出ているこの曲のCDは、中田京子(Kyoko Nakata)とイスラエル弦楽四重奏団(The Israel String Quartet)の演奏が収録されています。中田は名古屋を中心に活動しているピアニストで、現在は結婚して武本姓を名乗り、愛知教育大学や名古屋音楽大学等で教鞭をとり、「イメージ奏法」の発案と研究をライフワークにしているらしいです。
イスラエル弦楽四重奏団は、イーガル・トゥネ(Yigal Tuneh)、ラファエル・マルクス(Raphael Markus)、クゼフ・シュタインベルク(Ze'ev Steinberg) サッシャ・カゴノフスキー(Sacha Kaganovsky)の四人で構成される弦楽四重奏団です。元々は1940年にローラン・フニヴが、自らの名前を冠して作った弦楽四重奏団でしたが、1948年にイスラエル建国を機に現在の名前になりました。ただし、1956年にフニヴがスイスに移住したために弦楽四重奏団はいったん解散し、1957年からアレクサンダー・タル、マルクス、シュタインベルクとヤーコフ・メンゼの四人で再結成をしていますが、この時からフニヴ四重奏団の頃からのメンバーは姿を消しています。1974年にはタルの代わりにイラン・ゴロニッチが第一ヴァイオリンの座につき、1978にはゴロニッチからトゥネに交代。さらに1987年からメンゼが退団してカゴノフスキーが後任のチェリストとなりました。この録音の後、1993年にヴィオラのシュタインベルクが退団し、ユヴァル・カミンコフスキーが後任になりましたが、カミンコフスキーは2年で退団し、ロベルト・モーゼスが後任のヴィオラ奏者を務めました。1995年には第二ヴァイオリンのマルクスが退団してエリアクム・ザルツマンが後任につき、1999年にチェロのカゴノフスキーが退団後は2004年まで活動を停止しました。2004年からはトゥネとモーゼスのほか、第二ヴァイオリンにアヴィタル・スタイナー、チェロにエマヌエーレ・シルヴェストリを加えて活動を再開しています。

この1991年の録音は、イスラエル弦楽四重奏団が来日を果たした際に中田と共演する機会を得、その演奏が好評だったことを受けて録音が行われたものとのこと。確かに、イスラエル弦楽四重奏団のアンサンブルも練達の技で、中田のピアノ演奏も相応の切れ味があります。しかし、ライヴならば互いの技の見せ合いで盛り上がりますが、繰り返し再生されるレコードとなると、技のぶつかりあいだけでは充足できないのも確かです。特に、ブラームスの室内楽なので、演奏者間の阿吽の呼吸と落ち着いた雰囲気作りが求められるのではないでしょうか。
このCDで収録されている演奏は、ピアノと弦の会話が上滑りし、感興が連動しないもどかしさがあり、ピアノが弦とブレンドされない、未消化な部分の多い演奏になっています。
幾度となく競演を重ねて練り上げてから録音に臨めば、もっとまろやかな味わいがでたのではないかと思います。

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