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1928年の日本ハナゲ學会第3分科會において瓢箪屋蓑吉氏が発表した「傳説の白ハナゲと黑ハナゲの脱色化の判別に關する文化論的一考察 ―ルウブル美術館をくまなく回ろうとして挫折したフレデリツク勅使河原氏の手記を中心に―」を再読したり、検証したりするBLOGではないことは確かなことです。ええ!確かなことですとも!
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Joseph Haydn: Symphony No.92 in G major, Hob.I:92 "Oxford"
Het Residentie Orkest / Willem van Otterloo
(Rec. 28-29 December 1950, Concertgebouw, Amsterdam)
Edvard Grieg: Peer Gynt, Suite No.2, op.55
Het Residentie Orkest / Willem van Otterloo
Erna Spoorenberg (S)
(Rec. 30 December 1950, Concertgebouw, Amsterdam)
Edvard Grieg: Peer Gynt, Suite No.1, op.46
Het Residentie Orkest / Willem van Otterloo
(Rec. 30 December 1950, Concertgebouw, Amsterdam)








本CDは、デン・ハーグに本拠を置くオランダの名門オーケストラ、ハーグ・レジデンティ管弦楽団(Het Residentie Orkest)―本CDでは”The Residency-Orchestra (The Hague)”と表記―がフィリップス・レーベルに初録音した時の音源です。また、この録音が、フィリップスがリリースした最初のレコードとなりました。
ハーグ・レジデンティ管弦楽団は、オランダ・ヴァーグナー協会の発起人だったヘンリ・ヴィオッタによって1904年に設立されたオーケストラです。ヴィオッタは1917年まで首席指揮者をつとめ、その後は地元の作曲家であるピーテル・ファン・アンルーイやフリッツ・スフールマンが首席指揮者としてオーケストラを守っていました。アンルーイが職を辞した1935年からスフールマンが着任した1938年までの間には、カール・シューリヒトが客演を繰り返し、短期間ながらアメリカに亡命する前のゲオルク・セル(後のジョージ・セル)が首席客演指揮者待遇で在任していたこともあります。1949年にはスフールマンが南アフリカに移住したため、ウィレム・ファン・オッテルロー(Willem van Otterloo, 1907-1978)が1973年まで着任し、このオーケストラの黄金時代を築き上げていました。通称は「ハーグ・フィルハーモニー管弦楽団」であり、この名義での録音リリースも行っています。
オッテルローはオランダのウィンテルスヴァイクに生まれ、元々は医学を学びながら、音楽の道へと軌道修正した指揮者です。ユトレヒト大学で医学を学ぶものの、アムステルダム音楽院に入学し、サミュエル・ドレスデンに作曲を、マックス・オロービオ・デ・カストロにチェロを学んでいます。卒業後ははユトレヒト市立管弦楽団のチェリストとして働きながら作曲活動を続けました。1932年に自作の組曲がアムステルダム・コンセルトヘボウ管弦楽団の懸賞で入選し、そのオーケストラを振って指揮者デビューを果たしています。1937年からはユトレヒト市立管弦楽団の指揮者として実績を積み、1949年にスフールマンの後を継いでハーグ・レジデンティ管弦楽団の指揮者になりました。1967年からはオーストラリアのメルボルン交響楽団の首席指揮者も兼任し、1971年から亡くなるまでシドニー交響楽団の首席指揮者としてオーケストラの育成に力を注ぎました。

本CDではオーストリアの作曲家、ヨーゼフ・ハイドン(Joseph Haydn, 1732-1809)の交響曲第92番と、ノルウェーの作曲家、エドヴァルド・グリーグ(Edvard Grieg, 1843-1907)の劇音楽《ペール・ギュント》をコンサート用に編み直した2つの組曲を収録しています。
ハイドンの第92番の交響曲は1788年に作曲された3曲の交響曲のうちの最後の作品。ハイドンはパリのドーニ伯クロード=フランソワ=マリー・リゴレからの依頼を受けて第82番から第87番までの6曲の交響曲を作曲していましたが、その交響曲の評判がよかったので、第90番から第92番までの交響曲が制作されました。その後、1791年にオックスフォード大学から音楽博士号の学位授与を受け、その見返りとして渡英して彼の交響曲を作曲者自身の指揮で演奏することが求められたため、直近に作られたこの曲を持っていったという逸話から、「オックスフォード」というニックネームで呼ばれるようになりました。
ハイドン得意の4楽章構成の交響曲で、序奏つきソナタ形式の第1楽章、峻厳な中間部をゆったりとした歌謡風の楽節で挟んだ第2楽章、メヌエットの第3楽章、軽快なソナタ形式の終楽章からなります。

グリーグの《ペール・ギュント》の組曲はヘンリク・イプセンの劇『ペール・ギュント』(全5幕)の音楽として1874年から翌年にかけて作曲されました。1876年2月24日にクリスチャニア(現:オスロ)の王立劇場で行われた初演では、イプセンの劇に対してグリーグの音楽がロマンティック過ぎるという批判が聞かれ、その後も劇の上演ごとにグリーグは音楽を改訂し続けることになりました。そうした中で、1888年に劇音楽の中から演奏会用の最初の組曲(op.46)が編み出され、1892年には二番目の組曲(op.55)が編纂されました。
それぞれの組曲の内容は、劇音楽の次の場面に使われていた音楽です。

第1組曲
▤ 朝(第4幕への前奏)
▤ オーセの死(第3幕の母親オーセの死の場面)
▤ アニトラの踊り(第4幕でアラビアのベドウィン族酋長の娘アニトラがペール・ギュントを誘惑する場面)
▤ 山の魔王の宮殿にて(第2幕前半の森の中から山の魔王の洞窟への場面転換の挿入曲)

第2組曲
▤ 花嫁の略奪とイングリッドの嘆き(第2幕への前奏)
▤ アラビアの踊り(第4幕でベドウィン族がペール・ギュントを歓迎する踊りの音楽)
▤ ペール・ギュントの帰郷 (第5幕への前奏曲)
▤ ソルヴェイグの歌 (第4幕でペール・ギュントの帰りを待つソルヴェイグの場面)

第2組曲の初版で〈ソルヴェイグの歌〉の歌唱パートは器楽用に置き換えられましたが、翌年に改訂を施して歌唱つきに改められました。本CDではエルナ・スポーレンベルク(Erna Spoorenberg, 1925-2004)が歌っています。
スポーレンベルクは旧オランダ領ジャワ島のジョグジャカルタに生まれた人で、アールチェ・ノールデウィール=レディンギウスの薫陶を受け、1947年にヒルヴェルサムの放送局でソプラノ歌手としてデビューしました。1970年代に交通事故で胸部を負傷してからは教育活動に力を入れるようになり、オランダ南部の町フトで生涯を終えています。

演奏は、ハーグ・レジデンティ管弦楽団の初録音ということもあって、勢いのある演奏が展開されています。
ハイドンの交響曲など、このオーケストラの力量の限界ぎりぎりのところで勝負をかけたような熱気があります。その仕上がりは荒く、アインザッツが揃わないところもありますが、崩れそうになるアンサンブルを気合で立て直すモチベーションの高さが魅力です。グリーグの音楽でもメリハリをつけた演奏スタイルで〈花嫁の略奪とイングリッドの嘆き〉や〈山の魔王の宮殿にて〉などスリリングです。また〈オーゼの死〉も弦楽アンサンブルの響きが練れていないものの、ケチをつけようものなら吹っ飛ばされるような気迫が感じられます。ただ、〈アニトラの踊り〉は漲る気迫がかえって音楽の色気を弱めています。
スポーレンベルクの歌うソルヴェイグの歌は、イプセンの歌詞をドイツ語に翻訳したものを使っていますが、純朴な歌声にオーケストラも務めて澄んだ響きを作りだそうとしており、一聴に値します。
ここに収録された演奏は、まだまだ改善されるべき点がチラホラと見えますが、小賢く纏められた演奏よりも心の滋養になりそうな真剣さがあります。


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